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TFCC損傷で皮下出血の存在する症例はない
先日、手関節のTFCC損傷の事案で「受傷時に皮下出血を認めなかった」ために事故との因果関係を否定された事案がありました。
この事案では受傷後早期のMRIで明らかなTFCCの尺骨小窩付着部損傷を認めており、しかも診療録ではballotment signや徒手的な不安定性(instability)を認める旨の記載がされています。
主治医は尺骨短縮骨切り術を検討するほどTFCC損傷の診断に疑いが無い状況であるにもかかわらず、自賠責保険のみが「TFCC損傷を認めない」という非常に滑稽な状況です。
某大学で手の外科を担当していたこともある医師に意見書を作成していただいたのですが、自賠責保険の認定基準の不思議さに首をかしげていたのが印象的でした。
そもそも手関節に皮下出血(内出血)や腫脹は認めなことは、TFCC損傷の発生を否定できる情報にはなり得ません。
TFCCは関節内の小さな構成体であり、損傷を受けても関節内に微量に出血するだけなので、体表から触知できるレベルにはならないからです。
大学で長年にわたって手外科専門医としてTFCC損傷の治療にあたってきた医師でさえも、皮下出血のある症例はほとんどみたことがないとおっしゃられています。
手関節のTFCC損傷に関する自賠責認定基準にかんしては、現実からの逸脱が甚だしいため改善が望まれます。
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