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放射線科医師の読影レポート
医療機関の医証の中には、放射線科医師による画像検査の読影レポートがあります。特にMRIやCTではほぼ一対一対応で存在すると言っても過言ではありません。
おそらく弁護士の先生も、放射線科医師による読影レポートを参考にして画像所見を読み解く方が多いことでしょう。しかし、この放射線科医師による読影レポートを鵜呑みにすることはできません。
その理由は、放射線科医師のレポートに記載されている画像所見は、臨床的な重要度と関係なく、存在する所見をすべて網羅しているからです。
日々大量の画像読影を要求される放射線科医師は、経過や問題となっている症状を詳細に検討する時間的余裕は無いです。このため、必然的に目の前にある画像所見を網羅的に記載することになります。
そして、放射線科医師による画像検査の読影レポートが、実臨床においてあまり参考にされない最大の理由は、放射線科医師に各科の疾患に関する臨床経験が無いことに尽きます。
このため自分の専門領域において、放射線科医師の読影レポートに頼っている専門医はほぼ皆無です。放射線科医師のレポートは、読影所見のノイズが多過ぎて使い物にならないのです。
また、放射線科医師の読影レポートは、過剰診断が多いことも特徴です。その理由は単純で、見落としで責任を問われないために、正常所見まで疑い所見として拾い上げる例が多いのです。
放射線科医師の立場からは「疑わしきは罰せよ」の作成方針になってしまうことは仕方ありません。放射線科医師に他意は無いのです。
このように交通事故や労災事故おいて、放射線科医師の読影レポートを読むときには「ノイズが多過ぎる」「過剰診断が多いこと」に注意するべきだと思います。
それでは、非医療者が放射線科医師の読影レポートを読む際のポイントは何でしょうか? それは「本当に意味のある画像所見は、主治医によってカルテに記載されている」ということです。
カルテに記載されていない画像所見は、ノイズもしくは過剰診断と思うべきでしょう。カルテに記載されている所見が正解なので、放射線科医師の読影レポートにはほとんど意味が無いことが理解できると思います。
このことから導き出されることは、放射線科医師による読影レポートの画像所見を根拠にして異議申し立てしても、12級以上の等級が認定される可能性はほとんどないということです。
尚、自賠責とは関係無い話ですが、実臨床では腫瘍に関しては放射線科医師の読影レポートが重視されます。外傷と腫瘍では、放射線科医師の読影レポートのクオリティが異なるのです。
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