Table of Contents
肩関節可動域は屈曲角度の方が改善しやすい
先日、弁護士の先生から上腕骨近位端骨折後の肩関節拘縮例において、屈曲角度と外転角度が同じように改善するものなのか? というご質問をいただきました。
臨床医の感覚としては、肩関節の可動域では屈曲と外転の改善度には大きな違いがある印象を持っています。屈曲は比較的改善しますが、外転はなかなか改善しないのです。
しかし、このことは私が感じているだけかもしれないので、弊社内の肩関節外科医に確認しました。すると肩関節外科医の目線でも、屈曲→外転→外旋→内旋の順に改善するとのことです。
たしかに、屈曲は比較的改善するものの、外転の回復度合いはイマイチで、内旋は本当に改善しないです。このように同じ肩関節の可動域といっても、改善度合いにはかなりの差があることは知っておくべきでしょう。
このような肩関節可動域の改善度の違いは、実臨床であればほとんどの整形外科医が感じていますが、意外なほど教科書や文献には記載されていません。しかし最近、このことが記載されているシステマティックレビューが報告されました。
臨床的に問題になることは少ないですが、自賠責実務では屈曲と同じ程度まで外転角度も改善する可能性があると指摘されることがあります。
このような主張は実臨床では考えにくい机上の空論ではありますが、何等かの反論をする必要があります。反論の際には前述のシステマティックレビューを用いると有効と思われます。
交通事故の後遺障害はメディカルコンサルティングまで
メディカルコンサルティング合同会社は、医師が代表をつとめる会社としては業界最大手です。全国約130名の各科専門医と、年間約1000例の交通事故事案に取り組んでいます。
交通事故でお困りの事案があれば、こちらからメディカルコンサルティング合同会社までお問い合わせください。
関連ページ