膝関節不安定性における自賠責認定基準と実臨床との相違

投稿日:2021年2月6日 更新日:

バイク事故などでは、膝関節靭帯損傷で関節不安定性が残存するケースがあります。自賠責認定基準では(明文化されていないものの)ストレス撮影において健側比で約5mm以上の引き出しがあれば、関節不安定性有りとされています。

 

一方、膝関節外科の実臨床では「ストレス撮影で左右差3mm以上を不安定性残存とする」「3mm以上の患健差がある場合にはACL損傷である疑いは95%以上である」という報告があります。

 

ここで言うストレス撮影は、学術的に言うとTelosなどの機器を用いて測定しますが、一般の医療機関ではほとんど無いため、通常は徒手的最大筋力でのストレス撮影となります。

 

厳密には定量検査ではありませんが、「Manual maxでの評価であることから定量的な評価に劣るものではない」という論理構築は可能です。蛇足ですが、Telos機器を用いた測定では大腿四頭筋の緊張が除されにくく、徒手的検査と比較すると、より小さな数字が出る事が多いです。

 

最後になりますが、膝関節不安定性の等級認定で最も問題になることは、硬性装具の処方有無です。最近では「膝関節十字靭帯損傷に対する硬性装具の使用意義はほぼ無い≒支柱付きサポーターを補助的に使う程度でOK」ということがコンセンサスとして得られているため、硬性装具を処方する機会が激減しています。

 

このことは、膝関節不安定性が硬性装具では制御できないという膝関節外科の医学知見に、自賠責認定基準が追い付いていないことが原因です。自賠責認定基準は外傷にかかわる広範囲の領域をカバーしているので、医学の進歩にアップデートできないことは仕方ありません。

 

しかし、実際に障害が残っているにも関わらず、古い医学知識に基づいた自賠責認定基準と実臨床(膝関節不安定性は残存しているものの硬性装具は無意味なので処方されない)との相反のために非該当とされた事案については、救済されるべきだと考えています。

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