鎖骨遠位端骨折は比較的よくみかける骨折です。私たち整形外科医にとって、鎖骨遠位端骨折はやや骨癒合しにくい骨折なので、適応があれば積極的に手術を施行する症例が多いです。
しかし、鎖骨の骨折にばかり目を奪われていると足元をすくわれます。鎖骨遠位端骨折は烏口鎖骨靭帯損傷を合併することが多いからです。骨折型によっては烏口鎖骨靭帯の機能不全を併発します。
このような症例では鎖骨遠位端骨折がしっかり骨癒合しても、肩鎖関節の不安定性が残って変形性肩鎖関節症を併発してしまいます。この場合の症状は変形性肩鎖関節症に由来する疼痛です。
単純X線像やCTで骨棘形成や骨嚢腫の存在を確認できれば診断できます。また、MRIでは肩鎖関節に水腫を認める症例もあります。このような所見が観察されれば、外傷性肩鎖関節症による神経症状として12級13号が認定される可能性があります。