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胸郭出口症候群は自賠責保険で等級認定されるのか
弊社には、交通事故後に発症した胸郭出口症候群についての相談がときどき寄せられます。胸郭出口症候群の説明は、下記の日本整形外科学会ホームページに記載されているものが分かりやすいです。
上肢やその付け根の肩甲帯の運動や感覚を支配する腕神経叢(通常脊髄から出て来る第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経から形成される)と鎖骨下動脈は、①前斜角筋と中斜角筋の間、②鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙、③小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方を走行しますが、それぞれの部位で絞めつけられたり、圧迫されたりする可能性があります。
その絞扼(こうやく)部位によって、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)と呼ばれますが、総称して胸郭出口症候群と言います。胸郭出口症候群は神経障害と血流障害に基づく上肢痛、上肢のしびれ、頚肩腕痛(けいけんわんつう)を生じる疾患の一つです。
胸郭出口症候群は、基本的に神経の絞扼障害によって発症します。それでは、交通事故と関係無いのではないのか?と思う方が多いことでしょう。ところが実臨床では、ちょっとした外傷が契機になって胸郭出口症候群が発症することを散見します。
もちろん、交通事故が100%原因となって発症することはありません。しかし、腕神経叢の絞扼がある程度存在しているにもかかわらず無症状だった場合、交通事故がきっかけになって胸郭出口症候群が顕在化することがあります。交通事故被害者の気持ちになれば「事故のために発症した」と感じるのも理解できます。
それでは、自賠責で胸郭出口症候群と交通事故との因果関係が認められることはあるのでしょうか? 弊社の少ない経験ではそのような事案は存在しません。やはり自賠責では胸郭出口症候群と事故との因果関係は否定されています。しかし、弁護士の先生はご存知のように、訴訟においては胸郭出口症候群と事故の因果関係が認められた判例は存在します。
このあたりはCRPSと同様で、自賠責認定基準と実臨床との乖離が大きな領域なので、認定を受けるためには訴訟提起せざるを得ないケースが多いのでしょう。
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