多発骨折などの高エネルギー外傷では、下肢変形障害が問題になる場合があります。自賠責保険の下肢の変形障害の等級である7級、8級、12級の基準は下記のごとくです。
- 骨幹部・骨幹端部に癒合不全を残すもので常に補装具を必要とする程度
- 骨幹部・骨幹端部に癒合不全を残すものではあるが常に補装具は不要
- 15度以上屈曲して不正癒合
- 骨端部に癒合不全
- 骨端部のほとんどを欠損
- 骨端部を除く部分に直径の3分の2以下に減少した部分がある
- 明らかに回旋変形癒合が認められる
このうち、⑥に関しては画像での証明に少々コツがあります。最も詳細に分かるのはCTですが、撮影条件は前額断・矢状断・冠状断の3方向が必須となります。一方、3D-CTはあまり有用ではありません。なぜなら3D-CTは骨の表面から見ているので、内部構造が判断できないからです。
単純X線像もあなどれません。ご存知のように単純X線像は2Dの検査なのですが、それだからこそCTよりも視覚的に癒合不全や偽関節を訴えることが可能な場合もあるからです。この場合には通常の2方向に加えて、両斜位も加えるとよいでしょう。
ここまでをまとめると、下肢変形障害で重要な検査は下記のごとくです。
- CT(前額断・矢状断・冠状断の3方向)
- 単純X線像(正面・側面・両斜位)
ご参考にしていただければ幸いです。