高齢の患者さんの増加とともに、病院内での転倒、骨折という事故が増えています。
認知症、夜間せん妄の患者さんの管理が十分できないことがその原因であるのですが、24時間誰かが見守りをするというのは現実的ではありません。
しかし中には“危険予見義務”があったとして病院の責任を問われることがあります。
その際争点になるのは、
ベッドからの転落の場合、転落防止のための柵はあったか。
柵を乗り越えようとする患者さんの場合、床にマットを敷きベッドを使用していなかったか。
徘徊を繰り返している患者さんの場合、センサーマットなどを使用していたか。
廊下が濡れていなかったか、障害物がなかったか、段差はなかったか。
夜間せん妄による転倒の場合、薬剤性の可能性を考え、薬剤の変更や中止を行っていたか。
トラブルを未然に防ぐためには、転倒を繰り返している患者さんの場合は、事前に家族にその状況を説明し、十分な予防策を取っているが、完全には予防できないことを理解していただくことが重要と考えます。