腱板損傷後の脂肪変性

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肩関節の腱板損傷は、交通事故や労災事故との因果関係が争点になることがあります。これは、自然経過として腱板には加齢による変性断裂が頻発することが要因です。

 

しかし、受傷前にMRIを撮像していることはあまり無いので、受傷後のMRIの所見や症状の経過から事故との因果関係が検討されます。

 

そして、ここで登場するのが、腱板損傷後の回旋筋群の脂肪変性です。脂肪変性とは、腱板損傷をおこした回旋筋の筋肉内に起こる変化です。

 

筋肉内に脂肪変性を併発していると、腱板再建術を施行しても再断裂する可能性が高くなります。このため。実臨床では筋肉内の脂肪変性は手術適応を決める判断材料となります。

 

ところが、交通事故や労災事故の現場では本来の目的を逸脱して、腱板損傷の受傷時期の判断材料として、脂肪変性が扱われています。

 

通常、脂肪変性は受傷後3か月ほど経過してから画像上でみとめられるようになります。このため、事故後3か月以内に撮像したMRIで脂肪変性があると、事故との因果関係を否定されるのです。

 

私は、初めて肩関節腱板損傷の事案で脂肪変性の有無を訊かれた際に、このあたりの事情を理解できませんでした。なぜ、弁護士の先生は手術予後の予測因子を気にしているのだろう?

 

しかし、よくよく話を聞いてみると、本来の意味合いからは全くかけ離れた観点で用いられていることを知り驚いたものです。

 

腱板損傷後の脂肪変性併発率は30~70%とバラツキがあるため、感度が高いとは言い難いですが、画像所見で脂肪変性を認める場合には、事故との因果関係に注意する必要があります。

 

 

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