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交通事故の後遺障害認定で重要な深部腱反射
腱反射の評価は、頚椎捻挫や腰椎捻挫で12級13号の後遺障害等級が認定されるために重要な意味を持ちます。それは患者自身が随意的にコントロールをすることが不可能なため、筋力試験と違って客観的な神経学的診察といえるからです。
運動系では上位運動ニューロン障害により障害部位以下で腱反射は亢進し、下位運動ニューロン障害ないし感覚障害(糖尿病による末梢神経障害など)で腱反射は低下します。
通常の診察では誘発されやすい平山の五大反射(上腕二頭筋、腕橈骨筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋=膝蓋腱、下腿三頭筋=アキレス腱)を調べます。腱反射は筋伸張反射なので、筋を軽く伸張させておくと出やすく、各反射をうまく出すにはコツが必要です。例えばアキレス腱反射は腹臥位で膝を90度屈曲させて検査すると正確に出やすいと言われています。
検査を繰り返しても反応がない場合は反射が消失していると判断し、反射が低下気味で左右差があれば、より低下している側を低下と判断できます。また両側とも反射が強く、左右でより強い側があれば亢進と判断します。また軽く叩いても反射が出る場合も亢進と判断します。
頚椎の障害が疑われる場合は指屈曲反射も調べることが多いのですが、代表的なものは、Wartenberg反射、Hoffmann徴候、Tromner徴候があります。各検査の詳細は割愛しますが、このうちHoffmann徴候が陽性の場合は反射が亢進していると判断できるので診断的価値は高いです。
注意すべきはカルテ上の記載で、反射に関して国際的に統一された記載法はありません。通常は“→”を正常と判断し記載することが多いのですが、検者によっては“↑”は、正常という認識で記載している可能性があります。
腱反射は安定して出すことは難しく、技量のある人が行えば客観的な所見になり、当然有用な検査ですが、日常診療の中で惰性的に行っている場合は決して客観的な所見にはなりません。自賠責認定基準では頚椎捻挫や腰椎捻挫で12級13号が認定されるために腱反射の低下もしくは消失が必須です。
しかし臨床的観点では、腱反射は他の診察所見と合わせて評価すべきで、それだけで独立した診断根拠にはなりません。そういう意味で自賠責保険の腱反射崇拝とも言うべき偏重は今後正していくべきかと思います。
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