肩関節の腱板断裂事案の注意点

投稿日:2017年8月26日 更新日:

 

肩関節の腱板断裂は、交通事故事案の中でもポピュラーな傷害です。しかし、脊椎系の外傷とは少し異なる臨床上の特徴があります。本日は、臨床医として感じていることをお話しします。

 

まず、脊椎疾患と同様に、肩関節の腱板断裂においても、加齢による変性が問題となります。腱板断裂においても無症状の部分断裂が非常に多いという特徴があります。

 

40歳台以上になると、頚椎や腰椎に変性所見の無い方が少なくなります。ほとんどの方は何等かの変性所見を認めるのですが、肩関節の腱板に関しても、頚椎や腰椎ほどではないものの加齢とともに変性断裂の頻度が上昇します。

 

年齢のカットオフ値は、40歳以上で無症状の部分断裂発生頻度が上昇します。逆に言うと、30歳台以下ではほとんど加齢による腱板部分断裂は無いと言ってよいと思います。

 

このため、自賠責の判断も画像で腱板断裂有り=交通事故によって発生した傷害ということにはなりません。被害者や法律事務所の立場からは、画像で腱板断裂があるのに自賠責が認めないのはおかしい!と思うかもしれませんが、臨床的にはもともと存在した可能性が高いのです。

 

交通事故で腱板断裂が発生したのか否かは、事故直後のMRIで判定することになります。この時期のMRIで腱板周囲の新鮮出血や軟部組織の腫脹を認めれば、高率に交通事故が原因であることが示唆されます。

 

しかし、事故後数カ月経過してから撮像したMRIでは、急性期の所見が消失しているため、交通事故によるものか変性によるものかの区別がつかなくなります。これを回避するには、有症状の場合には早期にMRIを施行する必要があるという結論になります。

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