骨粗鬆症の評価

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高齢者が被害者の場合の交通事故で、保険会社から医師への問い合わせで必ずと言ってもいいぐらいある質問項目が骨粗鬆症の有無、あればその程度、治療歴、骨折歴です。

 

そもそも骨粗鬆症とは“低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である”とWHOで定義されています。

 

低骨量かどうかは骨密度を測定して評価しますが、測定方法にはいくつかあります。

診療所では手のレントゲン撮影で簡易に測定できるMD法が頻用されていますが、末梢の皮質骨での測定ですので、早期の骨粗鬆症の診断には向かず、治療効果の判定も困難です。

 

最も信頼性が高いのはDXA法で腰椎または大腿骨近位部を測定した骨密度です。ただし腰椎で測定する場合は陳旧性の圧迫骨折や変形性腰椎症のある方では実際よりも高い数値が出ますので注意が必要です。

 

ちなみに保険会社からの問い合わせの書類でよく用いられている慈恵医大式の椎体側面像での評価は定量的ではなく、客観的でもありません。そしてレントゲンの撮影条件に大きく左右されるため、実臨床ではほとんど使われません。なぜ今この時代遅れな評価方法で訊いてくるのか不思議でなりません。

 

損保会社は骨粗鬆症があれば素因減額を主張するものと思われます。しかし結局は結果だけしか見ていないので、“骨が弱かったから折れた”のかもしれませんし、“骨が強くても折れていた”かもしれません。そもそも日本には1200万人以上の骨粗鬆症患者さんがおられますので、“車に乗れば骨粗鬆症にあたる”と言える状態です。保険会社の対応は、他人のガラスのコップを誤って割ってしまった人が、“鉄のコップなら割れてなかった”と開き直る態度と同じように思えてなりません。

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