外傷と画像検査の関係

投稿日:2017年4月22日 更新日:

今日は外傷と画像検査の関係についてお話しします。交通事故に起因した外傷に限らず、画像検査は外傷の程度を判断して治療をすすめる上で非常に有用です。先日、このことを再認識したことがありました。

 

私の外来に、足関節を捻転した若年女性が初診されました。いつも通りに単純X線検査を依頼しようとすると、妊娠している可能性があると申告されました。詳細にお伺いすると、しばらく生理がきていなくて、市販の妊娠検査薬は陽性だったとのことです。

 

もう一度丹念に診察すると、足関節は外果周囲の軽度の腫脹・圧痛および内果の圧痛を認めます。内果には腫脹はなく、足関節外側靭帯の圧痛は軽度です。外果の叩打痛もありません。印象としては、骨折ではなく足関節靱帯損傷ある可能性が高いです。

 

もし骨折があったとしても転位はほぼ無さそうです。一方、この方が妊娠していると仮定すると、最も放射線被爆が問題になる時期にさしかかろうとしています。この場面では単純X線検査を施行するか否かの判断が難しいです。

 

客観的にみると、きっちりプロテクターを着て撮影すれば、放射線の影響は最小限に抑えることは可能であり、この撮影のために胎児が流産したり障害を持って生まれる可能性は低いです。

 

しかし、自然経過の場合でも流産や障害児が生まれる可能性はあります。もしも、そのような転帰をとった場合には、この女性は大きな精神的トラウマを抱えてしまうことになります。

 

このあたりのことを正直に説明した上で、単純X線像を施行するか否かについて話し合った結果、今回は単純X線検査を施行せずに骨折に準じてU字スプリントで治療することにしました。

 

印象としては骨折ではなく足関節靱帯損傷なのですが、万が一骨折があった場合を考えて3週間免荷としました。何が正解かは分かりませんが、おそらく問題なく治療できると思います。

 

一方、今回のように単純X線検査なしで治療するのは、暗闇の中でモノを探すような感覚に陥りました。やはり、単純X線像が無いと治療を行う上で非常に不安になります。このように、整形外科専門医と言えども、客観的な証拠としての画像検査は、外傷とは切っても切り離せません。

 

自賠責の等級判定において画像検査は重視されますが、客観的な資料としての重要性を勘案すれば当然のことだと思います。

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