The Wakayama Spine Study

投稿日:2017年2月18日 更新日:

交通事故に起因する外傷性頚部腰部症候群では、受傷前から画像上で椎間板ヘルニア等が存在することがあります。特に中高年以上では、画像所見が全く無い人はほとんど居ないと言っても過言ではありません。

 

しかし、多くの人は無症状のまま生活を送っています。それでは、実際にはどの程度の割合で無症候性の脊椎症の人は存在するのでしょうか? 結論的には、無症候性の脊柱管狭窄症は高頻度に存在します。

 

世界最大規模のコホート研究であるROAD study(東京大学)の一環として実施されたThe Wakayama Spine Study(和歌山県立医科大学)を紐解くと、その解を得ることができます。

 

The Wakayama Spine Studyによると、1009名(男性335名、女性674名)平均年齢66.3才(21歳~97歳)の地域住民コホートにおいて、MRI所見上で中等度以上の脊柱管狭窄は地域住民全体の76.5%、MRI所見上の脊柱管狭窄と症状の双方を有する症候性脊柱管狭窄症は、地域住民全体の9.3%でした。

 

すなわち、8割近くの地域住民が、MRI所見上で中等度以上の脊柱管狭窄を有しているが、そのほとんどは無症候の脊柱管狭窄症であるという驚くべき研究結果です。私も初めてこの結果を知ったときには衝撃を受けました。

 

The Wakayama Spine Studyの結果を考察すると、MRI所見上で中等度以上の脊柱管狭窄は地域住民全体の76.5%、症候性脊柱管狭窄症は地域住民全体の9.3%であったので、症候性の脊柱管狭窄症は脊柱管狭窄を有する住民の12.2%に過ぎないことになります。

 

無症候性の脊柱管狭窄は一般的な状態であるため、受傷前から腰部脊柱管狭窄が存在していたとしても、交通事故後に発症した症状は、交通外傷とは直接関係がないとは言い切れないという結論が導き出されます。この意味からも、The Wakayama Spine Studyは貴重な論文であると考えています。

 

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