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後遺障害等級に必須の客観的所見
後遺障害等級の認定要素には「客観的所見が認められる」ことがあります。公正な補償制度の維持のためには、後遺障害が本当に残存するか否かの適切な判断が必要です。主観的所見は本人の申告ベースであるため、これが最終判断を決定付けることはありません。
あくまでも本人の主観を排除した客観的所見が存在することが、公正な補償制度維持のために必要不可欠なのです。さて、ここで問題になるのは「客観的所見」とは何かということです。
客観的所見にも濃淡があり、真に客観的な所見から主観の要素が強い所見までかなりの幅があります。実臨床に携わる医師としての見解は下記のごとくです。
① 真に客観的な所見
各種の画像検査、電気生理学的検査、血液生化学検査
② ある程度の主観の入る客観的所見
局所所見(腫脹など)、知覚検査(SW-testなど)、深部腱反射、巧緻運動障害
③ 主観の要素が強い客観的所見
神経根刺激兆候(スパーリングテスト、ジャクソンテスト、SLR)
上記の①真に客観的な所見であれば異論の無い結果となりますが、②ある程度の主観の入る客観的所見の扱いが難しいです。自賠責実務では、深部腱反射は①の真に客観的な所見とみなされていますが、実臨床ではかなり主治医の主観の入った検査となっています。
12級13号レベルの後遺障害では深部腱反射を確認すること自体に臨床的意味合いはあまり無いため、ほとんどの主治医は深部腱反射を流しているのが実情です。
一方、審査側は今でも深部腱反射を重視しているため、主治医の主観性に大きく依存した深部腱反射の存在が後遺障害等級認定の実務を大きくゆがめていることになるのです。
このため、自賠責保険の言うところの「客観的所見」は真に客観的な所見とは言い難いことを念頭に置いて、後遺障害等級認定を考えていくことが必要となります。
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