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半月板損傷は踏ん張っただけで受傷するのか?
交通事故の事案で、膝関節の半月板損傷は比較的多くみかける傷病名です。MRIではっきり描出されていることが多いため、弁護士の先生的には「これは事故を契機とした損傷である」と思いがちです。
しかし、実際には半月版損傷では加齢性の変化である変性断裂の割合が高いです。交通事故でよくみる受傷機転は追突された際に踏ん張って受傷したというものです。
「下肢をついて踏ん張る」≒「下肢軸圧負荷」に起因する半月板損傷としては唯一、高齢者において「内側半月板後根断裂」という形態があります。しかし、その病態を除くと軸圧負荷単独で半月損傷が起きる可能性は非常に小さく、【軸圧+強大な回旋負荷】というのが一般的な半月損傷の原因です。
膝関節に回旋負荷を伴う可能性がある状況は、「上半身や体幹が大きく揺り動かされて転倒をきたすような状況」や、「膝関節に外反+回旋強制を受けるような状況」となります。
このため、自動車に着席した状態で受傷する多くの交通事故事案では、その受傷機転から上記に該当しないということになります。高齢者以外の半月板損傷が軸圧負荷単独で半月損傷が起きる可能性があるとすれば、脛骨高原骨折や骨挫傷を伴うレベルの外力が必須です。
ここまでをまとめると、自動車乗車中の交通事故で膝関節の半月版損傷をきたす可能性があるのは、①高齢者が衝突時に踏ん張った時 ②脛骨高原骨折や骨挫傷を併発した時 に限定されることになります。
膝関節MRIで半月板損傷があったからといって、受傷機転を考えずに「交通事故による外傷である」と早とちりすると、痛い目にあうので注意が必要だと思います。
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