交通事故で足関節脱臼骨折を負って後遺症が残ったのに、後遺障害が非該当と判断されて、納得できない思いを抱えている方は少なくありません。
足関節は体重を支える重要な関節であり、わずかな可動域制限や痛みでも日常生活や仕事に大きな影響が出ます。
それにもかかわらず、初回の後遺障害申請では、画像所見や診断書の記載不足などを理由に、正当に評価されないケースが多く見受けられます。
しかし、足関節脱臼骨折の後遺障害は、認定基準を理解したうえで医学的根拠を補強して、異議申し立てすると等級変更される可能性があります。
本記事では、等級変更に成功するため押さえるべきポイント、非該当とされた理由の整理方法を、分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/12/19
Table of Contents
- 1 足関節脱臼骨折を等級変更するポイントとは?
- 2 足関節脱臼骨折の等級変更をサポートするサービス
- 3 足関節脱臼骨折の等級変更でよくある質問
- 3.1 足関節脱臼骨折なのに、なぜ後遺障害が非該当になるのですか?
- 3.2 足関節脱臼骨折では、どの後遺障害等級が問題になりますか?
- 3.3 痛みが強いのに画像に異常がない場合でも認定されますか?
- 3.4 可動域制限が少ししかなくても等級認定されますか?
- 3.5 異議申し立ての際、新しい検査は必須ですか?
- 3.6 後遺障害診断書は書き直してもらえますか?
- 3.7 後遺障害が非該当だったとき、異議申し立てで結果が覆る確率はどのくらいですか?
- 3.8 CT検査とレントゲン検査、どちらが後遺障害認定に有利ですか?
- 3.9 手術でプレートやスクリューを入れた場合、後遺障害認定に影響しますか?
- 3.10 初回申請で不足していた点を指摘されなかった場合、どうすればいいですか?
- 4 まとめ
- 5 関連ページ
- 6 資料・サンプルを無料ダウンロード
足関節脱臼骨折を等級変更するポイントとは?
足関節脱臼骨折が後遺障害に認定されない3つの理由
足関節脱臼骨折では、治療後も足首の痛みや可動域制限を残すことが多いですが、後遺障害に認定されないケースも少なくありません。
足関節脱臼骨折の後遺症が、後遺障害に認定されなかった理由として、主に以下の3つが挙げられます。
- 他覚的所見が不足している
- 後遺障害診断書の記載不足・不備
- 治療期間が短すぎる
特に多いのは、足関節脱臼骨折による後遺症の存在を証明できる画像所見が不足しているケースです。
足関節は荷重関節なので、わずかな関節面の不整であっても、痛みや可動域制限の原因となります。
しかし、レントゲン検査だけでは、明確な異常所見を証明できないことも珍しくありません。このようなケースでは、CT検査が必要になります。
非該当になった理由を把握する
異議申し立てで等級変更を成功させるには、まず非該当になった原因を正確に分析することが最も重要です。
自賠責保険から送られてくる後遺障害認定等級通知書には、定型文のため分かりにくいものの、非該当となった理由が記載されています。
この理由を詳しく検討して、画像所見不足なのか、診断書の記載内容が不十分なのか、事故との因果関係なのかを明確にする必要があります。
前回申請時の資料をすべて確認して、どの認定基準を満たせていなかったのかを把握することが、次のステップへの道筋となります。

後遺障害認定基準をクリアするための医証を収集する
非該当の原因が判明したら、それを補うための新たな医学的証拠を収集します。具体的には以下のような医証です。
医師意見書は、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などをベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定の争点になっている事案で有効になります。
<参考>
新たな医証を添付して異議申し立てする
まず異議申立書を作成します。異議申立書には、新たに提出する医証が後遺障害認定基準を満たすことを記載する必要があります。
単に「痛みが残っている」「動きが悪い」といった主観的な訴えだけではなく、画像検査や医師意見書で客観的に証明できることが求められます。
尚、足関節脱臼骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
足首骨折(足関節脱臼骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
等級変更に成功しなければ訴訟を検討する
自賠責保険に異議申し立てを行っても、等級が変更されない場合は、訴訟を検討する選択肢があります。
裁判では、自賠責保険とは異なる基準で後遺障害が判断されるため、医師意見書や画像鑑定報告書などの専門的な医証が重要な役割を果たします。
ただし、訴訟には時間と費用がかかるため、交通事故に詳しい弁護士に相談して、勝訴の見込みや費用対効果を十分に検討することが重要です。
足関節脱臼骨折の等級変更をサポートするサービス
弁護士向けのサービス
弊社では、交通事故で受傷した足関節脱臼骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
【無料】被害者向けの弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

足関節脱臼骨折の等級変更でよくある質問
足関節脱臼骨折なのに、なぜ後遺障害が非該当になるのですか?
足関節脱臼骨折の後遺障害が非該当になる最も多い理由は、「骨癒合が良好」と判断されるケースです。
実際には骨が癒合していても、関節面の変形のために、可動域制限や痛みが残ることは珍しくありません。
しかし、これらの後遺症を証明する画像所見や診断書の記載が不十分だと、非該当と判断されてしまいます。
これ以外にも、画像所見が不明瞭、事故との因果関係が証明できない、後遺障害診断書の記載内容が不備といった理由でも非該当になります。
足関節脱臼骨折では、どの後遺障害等級が問題になりますか?
足関節脱臼骨折では、機能障害(可動域制限)と神経障害(痛み)の2つの観点から後遺障害等級が認定されます。
機能障害では、足関節の強直で8級7号、可動域が健側の1/2以下の制限で10級11号、3/4以下の制限で12級7号が認定される可能性があります。
神経障害では、画像所見で痛みの原因を他覚的に証明できれば12級13号、医学的に説明可能であれば14級9号が認定される可能性があります。
痛みが強いのに画像に異常がない場合でも認定されますか?
画像所見がない場合、後遺障害認定は非常に厳しくなります。12級13号認定には、関節面の段差、関節裂隙の狭小化などの画像所見が必要です。
画像所見がない場合でも、事故態様や治療経過、症状の一貫性から医学的に説明できる範囲であれば、14級9号が認定される可能性はあります。
しかし、14級9号すら認定されないケースも多いです。痛みの原因を客観的に証明するために、追加のCT検査を検討することが重要です。
可動域制限が少ししかなくても等級認定されますか?
可動域制限の程度によって認定される等級が決まります。可動域が健側の3/4以下に制限されていれば、12級7号が認定される可能性があります。
一方、可動域制限の原因となる関節の異常が画像所見で証明できない場合は、いくら可動域制限があっても認定されないため注意が必要です。
異議申し立ての際、新しい検査は必須ですか?
異議申し立てでは、新たな医学的証拠の提出が極めて重要です。前回と同じ資料だけを提出しても、認定結果が覆る可能性はほとんどありません。
新しい検査として、CT検査などの追加画像検査が有効です。また、新たな診断書、医師意見書や画像鑑定報告書の作成も有効なケースが多いです。
ただし、すべてのケースで新しい検査が必須ではありません。後遺障害診断書の記載漏れ・記載不備では、医師に追記や修正を依頼します。
後遺障害診断書は書き直してもらえますか?
後遺障害診断書の書き直しは、最終的には医師の判断になりますが、多くの場合は応じてもらえます。
記載漏れや誤りがあったり、自覚症状の記載が不明確な場合などは、医師に正当な理由を説明して書き直しを依頼することができます。
書き直しの際は、どの部分をどのように修正してほしいのかを具体的に伝えることが重要です。
また、一度作成した後遺障害診断書を訂正しても、後遺障害等級認定手続きに問題はありません。
後遺障害が非該当だったとき、異議申し立てで結果が覆る確率はどのくらいですか?
異議申し立ての成功率は約9.5%と低い水準です。2023年度の統計では、審査件数10,727件のうち、等級変更が認められたのは1,024件でした。
しかし、交通事故の後遺障害に詳しい専門家が、等級変更の見込みがあると判断した案件に限れば、成功率が50%程度まで上がる実感もあります。
異議申し立ての成功率を高めるには、非該当の原因を正確に分析して、認定基準を満たすための新たな医証を戦略的に収集することが不可欠です。
CT検査とレントゲン検査、どちらが後遺障害認定に有利ですか?
足関節脱臼骨折では、レントゲン検査とCT検査の両方が重要です。レントゲン検査は簡便で初期診断や治療経過の判定に広く用いられます。
CT検査は骨折部を詳細に描出でき、3次元的な評価も可能です。特に、関節面の段差や変形、骨折部の癒合状態を評価するにはCT検査が有効です。
また、後遺障害認定では、健側のレントゲン検査も実施して比較することが重要です。尚、MRI検査は、足関節脱臼骨折ではほとんど不要です。
手術でプレートやスクリューを入れた場合、後遺障害認定に影響しますか?
足関節にプレートやスクリューが残っていても、基本的には後遺障害認定に大きな影響はありません。
後遺障害認定で重要なのは、手術後に残った可動域制限や痛みの程度、そしてそれらを裏付ける画像所見や身体所見です。
プレートやスクリューによる固定術が行われた場合でも、関節面の変形や可動域制限が残っていれば、適切な等級に認定される可能性があります。
ただし、骨癒合が完全で可動域制限や痛みがない場合は、治癒扱いとなり後遺障害には認定されません。
初回申請で不足していた点を指摘されなかった場合、どうすればいいですか?
後遺障害認定等級通知書には、非該当の理由が記載されていますが、具体的にどの医証が不足しているかまで指摘されないことが多いです。
この場合、後遺障害診断書の記載内容、画像検査の種類と結果、事故との因果関係の証明、症状の一貫性などを自ら分析する必要があります。
交通事故の後遺障害に詳しい弁護士や専門家に相談して、どの認定基準が満たせていないのかを判断してもらうことが、効率的なアプローチです。
まとめ
足関節脱臼骨折は、痛みや可動域制限が残りやすいですが、画像所見不足や後遺障害診断書の不備などによって非該当になることがあります。
等級変更には、後遺障害認定等級通知書で非該当理由を正確に把握して、CT検査などで関節面の異常を客観的に示すことが重要です。
そのうえで新たな医証を添えて異議申し立てを行います。主観的な痛みだけでなく、医学的根拠を示すことが等級認定への近道です。
足関節脱臼骨折の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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