交通事故で膝を強くひねったり、ぶつけたりして「半月板損傷」と診断されたものの、後遺障害が非該当となるケースは少なくありません。
膝の痛みが残っていても、画像上の損傷が明確でなかったり、事故との因果関係が無いと判断されることが多いためです。
こうした場合に有効とされるのが「画像鑑定」です。専門医が、事故による損傷であるか、変性によるものかを客観的に評価します。
画像鑑定は、画像所見に基づく証拠力が高く、異議申し立てや裁判で有利に働くこともあります。
本記事では、半月板損傷の画像鑑定の基本から取得方法、後遺障害認定に活かすコツ、医師意見書との違いまで分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/11/7
Table of Contents
- 1 半月板損傷で画像鑑定が必要な理由
- 2 画像鑑定はどんな場面で有効?
- 3 半月板損傷の画像鑑定の依頼方法と流れ
- 4 半月板損傷の画像鑑定を最大限に活かすコツ
- 5 半月板損傷と医療鑑定のサポート例
- 6 半月板損傷の画像鑑定でよくある質問
- 6.1 半月板損傷が事故によるものか、加齢による変性なのかをMRI画像で区別できますか?
- 6.2 事故前の画像がない場合でも、事故との因果関係を画像で証明できますか?
- 6.3 MRIの撮影条件(T1・T2・PDなど)が異なると、鑑定結果に影響しますか?
- 6.4 主治医の診断と画像鑑定の結果が異なる場合、どちらが重視されますか
- 6.5 手術をしていなくても、画像鑑定だけで後遺障害の存在を示せますか?
- 6.6 半月板損傷の画像鑑定では、どのようなポイントを重点的に見ますか?
- 6.7 画像鑑定書には、事故との因果関係を明言してもらえるのですか?
- 6.8 事故直後に撮影したMRIが不鮮明な場合、再検査は意味がありますか?
- 6.9 画像鑑定の結果は、異議申し立てでどの程度重視されるのですか?
- 7 まとめ
- 8 関連ページ
- 9 資料・サンプルを無料ダウンロード
半月板損傷で画像鑑定が必要な理由
後遺障害に半月板損傷が認められにくい事情
交通事故による半月板損傷が後遺障害に認定されにくい主な理由は、加齢による変性や画像所見が不鮮明な場合が多いためです。
事故と半月板損傷の因果関係や、診断の時期、通院の継続性が十分でないと、交通事故との関係が否定される可能性があります
<参考>
交通事故の半月板損傷は後遺障害認定される?対処法も解説|医療鑑定
画像鑑定とはどういうものか
画像鑑定とは、MRIやレントゲンなどの画像検査を専門医が解析して、損傷の有無や程度を医学的根拠として報告書にまとめるものです。
画像所見から、半月板の損傷部位や断裂の状態を客観的に評価して、異議申し立てや裁判時の補強資料となります。
後遺障害認定と画像鑑定の関係
後遺障害認定では、画像鑑定によって客観的な半月板損傷の証拠を示すことが非常に重要です。
特に、画像所見によって事故との因果関係や症状の残存性を医学的に証明できれば、異議申し立ての成功率が高まり、等級認定にも影響します。
画像鑑定で記載されるポイント
半月板損傷の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 鑑定医師による総括
これら以外にも、半月板損傷の画像所見が後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。

画像鑑定はどんな場面で有効?
異議申立てでの活用例
後遺障害が非該当となった場合、画像鑑定による医学的根拠をもとに異議申し立てを行うことで、後遺障害認定の可能性を高めることができます。
診療録や新たな診断書と合わせて、画像所見を具体的に解説することで、当方の主張を裏付ける有力な補強資料となります。
裁判で必要となる医学的証拠
裁判では、半月板損傷の画像鑑定が医学的根拠とされて、半月板損傷が事故によるものであることを示す重要な証拠となります。
膝関節外科の専門医による客観的な解説や画像所見の診断は、当方の主張を補強します。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
半月板損傷の画像鑑定の依頼方法と流れ
依頼の流れ
半月板損傷の画像鑑定の取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
必要な資料
半月板損傷の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
料金の目安
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
取得までの期間
半月板損傷の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、膝関節外科の専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
半月板損傷の画像鑑定を最大限に活かすコツ
後遺障害認定を勝ち取るポイント
半月板損傷で後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的で医学的な裏づけが不可欠です。
画像鑑定によって後遺症の客観的証拠が補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、半月板損傷が後遺障害に認定されるためには、画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
すべての後遺障害認定基準を満たしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
半月板損傷の画像鑑定の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
半月板損傷が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
交通事故の半月板損傷は後遺障害認定される?対処法も解説|医療鑑定
画像鑑定と意見書の違い・使い分け
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
半月板損傷の後遺障害が非該当になった原因が、画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
半月板損傷と医療鑑定のサポート例
弁護士向けサービス
弊社では、交通事故で受傷した、半月板損傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者向けサポート内容
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

半月板損傷の画像鑑定でよくある質問
半月板損傷が事故によるものか、加齢による変性なのかをMRI画像で区別できますか?
加齢による変性と事故による損傷は、MRI検査である程度区別が可能です。新鮮損傷では半月板の断裂形態が異なり、関節内血種が存在します。
事故前の画像がない場合でも、事故との因果関係を画像で証明できますか?
事故以前の画像がなくても、事故直後のMRI検査の画像所見や臨床経過をもとに、医師の見解を添えることで因果関係を証明しやすくなります。
MRIの撮影条件(T1・T2・PDなど)が異なると、鑑定結果に影響しますか?
MRIの撮像条件によって半月板損傷の見え方が変わるため、T2強調画像やPD像など複数条件で撮像することで、画像所見の精度が高まります。
画像鑑定では、撮像条件による違いも鑑定結果に補足されます。
主治医の診断と画像鑑定の結果が異なる場合、どちらが重視されますか
主治医の診断が優先される場合もありますが、画像鑑定の医学的根拠が高ければ、後遺障害認定や裁判では画像鑑定が重視されます。
手術をしていなくても、画像鑑定だけで後遺障害の存在を示せますか?
半月板損傷で手術をしていなくても、画像鑑定で半月板損傷の存在や断裂部位を証明することは可能です。
MRI検査の画像所見で半月板損傷の部位が明確な場合は、画像鑑定で後遺障害の主張を補強できます。
半月板損傷の画像鑑定では、どのようなポイントを重点的に見ますか?
半月板損傷の画像鑑定では、断裂の種類や位置、画像変化、事故との因果関係などを重点的に評価します。
膝関節外科の専門医が、半月板損傷の画像所見を多角的に評価して、報告書にまとめます。
画像鑑定書には、事故との因果関係を明言してもらえるのですか?
事故との因果関係について、鑑定医師が画像所見を踏まえて、医学意見を述べることが可能です。異議申し立てや裁判において非常に有効です。
事故直後に撮影したMRIが不鮮明な場合、再検査は意味がありますか?
不鮮明なMRIしかない場合、新たな検査で正確な所見を得ることで、後遺障害に認定される確率が高まります。必要に応じて再検査を推奨します。
画像鑑定の結果は、異議申し立てでどの程度重視されるのですか?
異議申し立ての際に、画像鑑定の結果は、後遺障害認定基準を満たすための医学的根拠として重視されます。
まとめ
交通事故による半月板損傷は、加齢による変性と区別が難しく、画像が不鮮明な場合も多いため、後遺障害に認定されにくいのが現実です。
そこで有効なのが「画像鑑定」です。画像鑑定では、半月板損傷の有無や断裂の状態、事故との因果関係を医学的根拠として示します。
画像鑑定によって、後遺障害の異議申し立てや裁判で、客観的な証拠として当方の主張を補強できます。
半月板損傷で後遺障害に認定されるためには、画像所見を裏づける科学的根拠が不可欠であり、画像鑑定はその最も強力な手段の一つです。
半月板損傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
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