交通事故で肩を強く打ちつけた後に、腕が上がらなくなったり、夜間痛が続いたりする場合、「腱板断裂」が疑われます。
しかし、腱板断裂は加齢による変性でも生じることがあり、事故による外傷性断裂かどうかを区別するのが難しい傷病です。
そのため、後遺障害認定では「非該当」と判断されるケースも少なくありません。こうした状況で有効とされているのが「画像鑑定」です。
画像鑑定では、MRI検査を肩関節専門医が詳細に分析して、腱板の断裂形態や受傷時期、外傷との因果関係を医学的に説明します。
画像鑑定を適切に取得して活用すれば、事故との関連性を明確にして、後遺障害認定の可能性を高めることができます。
本記事では、腱板断裂の画像鑑定の概要から取得方法、医師意見書との違いや効果的な使い分けまで、分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/11/5
Table of Contents
- 1 腱板断裂の画像鑑定とは何か
- 2 画像鑑定の取得方法
- 3 腱板断裂の後遺障害認定に効果的な画像鑑定の活用法
- 4 腱板断裂の後遺障害認定における相談・支援サービス
- 5 腱板断裂の画像鑑定でよくある質問
- 5.1 腱板断裂が交通事故による外傷性のものか、加齢性の変性によるものかをどう区別できますか?
- 5.2 MRI画像で腱板断裂の有無や重症度をどのように判断しますか?
- 5.3 受傷直後の画像がない場合、事故との因果関係をどのように説明すればよいですか?
- 5.4 部分断裂と完全断裂では、後遺障害等級認定に影響がありますか?
- 5.5 肩の可動域制限がある場合、その原因が腱板断裂かどうかをどのように評価しますか?
- 5.6 手術(腱板修復術)を行った場合でも、後遺障害の対象になりますか?
- 5.7 画像鑑定で「外傷性断裂」と認められる典型的な所見にはどのような特徴がありますか?
- 5.8 事故前から存在した変性断裂と、事故後に発生した新たな断裂を見分ける方法はありますか?
- 6 まとめ
- 7 関連ページ
- 8 資料・サンプルを無料ダウンロード
腱板断裂の画像鑑定とは何か
なぜ腱板断裂は後遺障害認定が難しいのか
腱板断裂では、痛みや可動域制限といった自覚症状だけでは、後遺障害に認定されにくい傾向があります。
後遺障害に認定されるには、腱板断裂と事故の因果関係を証明できる医学的な証拠が必要とされるためです。
<参考>
腱板損傷と交通事故の因果関係を証明する方法|後遺障害の医療鑑定
後遺障害認定に画像鑑定が役立つ理由
画像鑑定は、MRI検査における腱板断裂の有無だけでなく、新鮮断裂か陳旧性断裂かも評価します。
MRI検査で新鮮断裂の画像所見があると、事故と腱板断裂の因果関係を医学的に証明できるため、後遺障害認定の可能性が高まります。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
画像鑑定に記載される内容
腱板断裂の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 鑑定医師による総括
これら以外にも、画像所見が腱板断裂の後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。

画像鑑定の取得方法
腱板断裂の画像鑑定を依頼する流れ
腱板断裂の画像鑑定の取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
必要な資料
腱板断裂の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
画像鑑定の費用の目安
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、肩関節などの各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定の取得期間は?
腱板断裂の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、肩関節専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
腱板断裂の後遺障害認定に効果的な画像鑑定の活用法
腱板断裂の後遺障害認定ポイント
腱板断裂で後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的な医学的な裏づけが不可欠です。
画像鑑定によって後遺症の客観的証拠が補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、後遺障害に認定されるためには、画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
すべての後遺障害認定基準を満たしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
画像鑑定の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
腱板断裂が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
腱板損傷と交通事故の因果関係を証明する方法|後遺障害の医療鑑定
腱板断裂における医師意見書と画像鑑定の違いと使い分け
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
後遺障害が非該当になった原因が、画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と腱板断裂による後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
腱板断裂の後遺障害認定における相談・支援サービス
弁護士向けサービス内容
弊社では、交通事故で受傷した、腱板断裂の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への支援内容
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

腱板断裂の画像鑑定でよくある質問
腱板断裂が交通事故による外傷性のものか、加齢性の変性によるものかをどう区別できますか?
MRI検査で、腱板を構成する筋肉の筋萎縮や脂肪浸潤が無い場合は、新鮮な断裂と判断できます。
一方、筋萎縮や脂肪浸潤が強い場合は、長期間経過した変性断裂と判断されます。年齢や受傷後の経過・症状の一貫性も参考となります。
MRI画像で腱板断裂の有無や重症度をどのように判断しますか?
MRI検査では、断裂部位・範囲・損傷程度(完全断裂・部分断裂)、腱の萎縮状態、筋肉の脂肪変性などで、腱板断裂の有無や重症度を判断します。
受傷直後の画像がない場合、事故との因果関係をどのように説明すればよいですか?
受傷直後に画像検査が無い場合は、症状発生のタイミングや経過、後日に撮像した画像で新鮮所見が認められるかを医学的に説明します。
腱板断裂では、可能な限り早期にMRI検査を実施することが、治療だけではなく後遺障害認定の観点からも望ましいです。
部分断裂と完全断裂では、後遺障害等級認定に影響がありますか?
腱板の部分断裂でも、痛みや可動域制限があれば、後遺障害に認定される可能性があります。
しかし、完全断裂の方が後遺症が重度となり、後遺障害等級が高くなる傾向にあります。画像所見と症状の一致が重要です。
肩の可動域制限がある場合、その原因が腱板断裂かどうかをどのように評価しますか?
医師による詳細な診察とMRI検査の画像所見を組み合わせて、肩の可動域制限の原因が腱板断裂かどうかを評価します。
手術(腱板修復術)を行った場合でも、後遺障害の対象になりますか?
腱板再建術後も症状が残る場合、画像所見と可動域制限が明確であれば後遺障害の対象となります。
手術の有無にかかわらず、医学的根拠が後遺障害認定に直結します。
画像鑑定で「外傷性断裂」と認められる典型的な所見にはどのような特徴がありますか?
外傷性断裂のMRI検査の画像所見として、以下が挙げられます。
- 新鮮な断端・出血・浮腫を認める
- 筋萎縮や脂肪変性を認めない
事故前から存在した変性断裂と、事故後に発生した新たな断裂を見分ける方法はありますか?
事故後に症状を発症して、MRI検査において断裂所見が新鮮である場合は、新たな断裂と判断されます。
まとめ
腱板断裂の後遺障害認定は、痛みや可動域制限だけでは難しいため、MRIなどの画像検査で断裂の有無や新鮮性を証明する必要があります。
腱板断裂と事故との因果関係を立証するには、事故直後の画像や診察記録が重要です。
画像鑑定では、断裂の有無や重症度、事故との因果関係を評価して、後遺障害認定の可能性を高めます。
必要な資料は、診断書や画像検査、事故関連書類などです。費用は7万円~12万円程度で、取得期間は約3週間です。
後遺障害認定には、画像所見だけでなく、事故と症状の整合性や症状の継続性も必要です。
腱板断裂の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
関連ページ
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