交通事故で足関節靱帯損傷を受傷したにもかかわらず、後遺障害が非該当と判断されるケースは少なくありません。
足関節靱帯損傷は、レントゲン検査では異常が分かりにくく、痛みや不安定性といった症状が軽視されがちです。
こうした時、重要な役割を果たすのが医師意見書です。医師意見書は、専門医が後遺症の程度や事故との因果関係を詳細に解説した文書です。
本記事では、足関節靱帯損傷の医師意見書に盛り込むべき内容、診断書との違い、取得方法、そして活用法までを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/11/4
Table of Contents
- 1 足関節靱帯損傷の医師意見書を理解するために
 - 2 なぜ、足関節靱帯損傷では医師意見書が重要なのか
 - 3 医師意見書を最大限に活かすための実践的ポイント
 - 4 足関節靱帯損傷の医師意見書を依頼・取得するには
 - 5 足関節靱帯損傷の後遺障害認定で押さえるべき重要ポイント
 - 6 足関節靱帯損傷の後遺障害認定をサポートします!
 - 7 足関節靱帯損傷の医師意見書でよくある質問
- 7.1 医師意見書には足関節靭帯のうち、どの靱帯の損傷かを明記すべきですか?
 - 7.2 MRIやストレス撮影など、どの検査結果を意見書に添付すべきですか?
 - 7.3 受傷後の不安定性(動揺性)は、どのように医学的に評価・記載しますか?
 - 7.4 足関節靱帯損傷による後遺症(疼痛・可動域制限・歩行障害など)は、どのように表現すべきですか?
 - 7.5 手術をしていない場合でも、後遺障害との因果関係を証明できますか?
 - 7.6 「痛み」や「不安定感」など自覚症状中心の訴えを、医学的に補強するにはどんな所見が有効ですか?
 - 7.7 異議申し立て時点で症状固定後の経過(改善・悪化)は記載すべきですか?
 - 7.8 画像上で靱帯損傷の所見が乏しい場合、臨床的に損傷を裏づけるにはどのような記載が有効ですか?
 
 - 8 まとめ
 - 9 関連ページ
 - 10 資料・サンプルを無料ダウンロード
 
足関節靱帯損傷の医師意見書を理解するために
足関節靱帯損傷とは?受傷の原因と代表的な症状
足関節靱帯損傷は、交通事故や転倒、運動中に、足関節を急激な捻ることによって受傷します。
足関節靱帯損傷の主な症状は、足関節の腫れ、痛み、歩行時の不安定感、可動域制限などが挙げられます。
足関節靱帯損傷は画像検査でも見落とされやすく、足関節の不安定感や痛みが残るケースが少なくないのが特徴です。
<参考>
足首靭帯損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
医師意見書の役割と診断書との違い
診断書は病名や治療経過を簡潔に記載する文書です。一方、医師意見書は、後遺障害認定における医学的証拠として位置づけられています。
医師意見書は「後遺症の医学的妥当性」「後遺障害認定基準への適合性」「事故との因果関係」を医学的に解説した文書です。
医師意見書は、自賠責保険への異議申し立て、訴訟、保険会社との示談交渉などで、当方の主張を裏付ける証拠となります。
足関節靱帯損傷に関する意見書の主要な記載項目
足関節靱帯損傷に関する医師意見書には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
 - 治療経過
 - 後遺症の種類や重症度
 - 症状固定時期
 - 画像検査の結果
 - 靭帯損傷と後遺症の因果関係
 
これら以外にも、足関節靱帯損傷の後遺障害認定基準を満たしていることを、医学論文なども引用して解説します。
後遺障害認定で重視される医学的ポイント
足関節靱帯損傷の後遺障害認定では、足関節の痛みの原因を、画像所見などで提示することが、医学的なポイントとして重視されます。
一方、足関節靭帯損傷によって生じた足関節の不安定性や可動域制限に関しては、事実上、後遺障害認定の対象にはなりません。

なぜ、足関節靱帯損傷では医師意見書が重要なのか
足関節靱帯損傷後に残る痛みの医学的根拠
足関節靱帯損傷は、交通事故や労災事故に頻発して、治療後も足関節の痛みや不安定性などの後遺症が残るケースがあります。
医師意見書では、MRI検査やレントゲン検査のストレス撮影などで、客観的に明らかな靱帯損傷や機能障害の医学的根拠を記載します。
自覚症状だけでなく、画像所見や診療録をもとに、足関節靱帯損傷の重症度や事故との因果関係を丁寧に証明します。
医師意見書が後遺障害認定に影響する理由
医師意見書は、交通事故や労災事故で生じた靱帯損傷の医学的な妥当性や事故との因果関係を、客観的に証明する重要な文書です。
後遺障害認定では、画像所見や身体所見に基づいて後遺症の存在を論理的に解説することで、後遺障害等級が上がるケースもあります。
異議申し立て・訴訟における証拠力とその使い方
後遺障害認定の結果に納得できない場合、自賠責保険への異議申し立てや訴訟提起をする必要があります。
異議申し立てでは、受傷機転、治療経過、画像検査を、医学論文を引用して詳細に解説することで、認定結果の変更に繋がる可能性があります。
また、訴訟においては、専門医によって作成された医師意見書は、当方の主張を裏付ける医証として重視されます。
医師意見書を最大限に活かすための実践的ポイント
異議申し立てで後遺障害の非該当を覆す戦略
医師意見書には、画像検査や診療録などの具体的資料を添付して、後遺障害認定基準を満たすことを論理的に主張することが重要です。
認定結果を覆すためには、医師意見書を作成する鑑定医師と事前に必要項目を整理して、医学的な因果関係を主張する必要があります。
保険会社との交渉を有利に進めるための使い方
医師意見書は、保険会社との示談交渉時にも、当方の主張を裏付ける医学的根拠として活用できます。
医師意見書で後遺症の重症度を解説して、賠償金額を巡るやり取りを有利に進める材料とすることで、納得度の高い示談交渉が実現します。
裁判や調停で医師意見書を効果的に活用する方法
裁判や調停では、当方の主張を裏付ける医学的専門証拠として、医師意見書は非常に重視されます。
画像所見や治療経過を具体的に記載して、事故との因果関係や後遺症の客観的根拠を解説することで、当方の主張の説得力が高まります。
足関節靱帯損傷の医師意見書を依頼・取得するには
意見書を依頼する前に準備すべき資料と検査データ
足関節靱帯損傷の医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
医師に意見書を依頼する際の具体的な手順
足関節靱帯損傷の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
 - 画像検査
 - 後遺障害診断書
 - 診断書
 - 診療報酬明細(レセプト)
 - 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
 - 後遺障害等級結果連絡書
 - 診療録(カルテ)
 
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
医師意見書を作成する費用の目安
概要  | 価格  | 
整形外科  | 23万円  | 
脳神経外科、脳神経内科  | 29万円  | 
耳鼻科、眼科、歯科など  | 29万円  | 
精神科  | 31万円  | 
訴訟加算(整形外科)  | 4万円  | 
訴訟加算(その他の科)  | 1万円  | 
多部位加算(3部位以上)  | 3万円/数  | 
特急対応加算  | 2万円  | 
難事案加算  | 6万円~  | 
反論意見書  | -5万円  | 
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
 - 訴訟事案
 - 顧問契約の有無
 - 弁護士特約の有無
 - 納品時期
 
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
医師意見書が納品されるまでの期間
足関節靱帯損傷の医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、整形外科専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
足関節靱帯損傷の後遺障害認定で押さえるべき重要ポイント
足関節靱帯損傷が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
 - 後遺症と各種検査が一致している
 - 事故後から症状固定まで症状が続いている
 - 常に後遺症が存在している
 
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
足関節靱帯損傷が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
足首靭帯損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
足関節靱帯損傷の後遺障害認定をサポートします!
弁護士・医師連携による後遺障害認定サポートサービス
弊社では、交通事故で受傷した足関節靱帯損傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者向けのサポートサービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

足関節靱帯損傷の医師意見書でよくある質問
医師意見書には足関節靭帯のうち、どの靱帯の損傷かを明記すべきですか?
足関節靭帯の損傷部位は、明確に記載すべきです。損傷部位の特定は、後遺障害の因果関係を判断する上で重要です。
特に、前距腓靱帯(ATFL)、踵腓靱帯(CFL)、三角靱帯(内側)など、どの靱帯が部分断裂または完全断裂しているかを明示する必要があります。
MRIやストレス撮影など、どの検査結果を意見書に添付すべきですか?
MRI検査が最も有力です。T2強調像やPD-FATで高信号領域があれば、足関節靱帯損傷の裏付けになります。
また、ストレスレントゲン検査で、距骨傾斜角や距骨前方移動量を測定していれば、その所見も記載すると動揺性の証明になります。
受傷後の不安定性(動揺性)は、どのように医学的に評価・記載しますか?
ストレスレントゲン検査で、距骨傾斜角や距骨前方移動量を測定して、健側比の数字を記載します。
足関節靱帯損傷による後遺症(疼痛・可動域制限・歩行障害など)は、どのように表現すべきですか?
後遺障害認定では、後遺症の存在を客観的に証明する必要があります。このため、自覚症状に画像所見や身体所見を対応させて記載します。
手術をしていない場合でも、後遺障害との因果関係を証明できますか?
保存療法でも疼痛・不安定性が残存していれば、画像所見・身体所見・経過記録などを総合的に評価して、後遺障害との因果関係を立証できます。
「痛み」や「不安定感」など自覚症状中心の訴えを、医学的に補強するにはどんな所見が有効ですか?
圧痛や腫脹している部位、MRI検査の画像所見、ストレステストの結果などが有効です。自覚症状と客観的所見の整合性が重要です。
異議申し立て時点で症状固定後の経過(改善・悪化)は記載すべきですか?
症状固定後の経過は、「症状固定後も改善が見られない」「日常生活動作で疼痛・不安定性が持続している」場合には記載するべきです。
画像上で靱帯損傷の所見が乏しい場合、臨床的に損傷を裏づけるにはどのような記載が有効ですか?
画像上で靱帯損傷の所見が乏しい場合は、具体的な身体所見を記載する必要があります。
しかし、画像所見が明確でないケースでは、12級以上の認定は困難です。通院頻度が多いようであれば、14級9号の目線になります。
まとめ
足関節靱帯損傷は、交通事故や転倒などで足首を強くひねった際に受傷して、腫れや痛み、可動域の制限、不安定感が残ることが多いケガです。
MRI検査でも靭帯損傷が分かりにくい場合があり、後遺障害認定で非該当になるケースも少なくありません。
そのようなときに重要となるのが「医師意見書」です。医師意見書は事故との因果関係や後遺症の医学的妥当性を詳しく説明する文書です。
異議申し立てや訴訟において、医師意見書が提出されることで、後遺障害認定結果が覆ることもあります。
正確な検査データや診療記録をもとに専門医が作成した医師意見書は、後遺障害認定や示談交渉を有利に進めるための重要な鍵となります。
足関節靱帯損傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。
  
                  
                
            
                  






