交通事故で中足骨骨折を負ったが、後遺障害が「非該当」や「軽い等級」と判断された…。そんなとき、カギとなるのが「医師意見書」です。
診断書だけでは十分に伝わらない後遺症の実態を、医学的根拠をもって裏付けるのが、医師意見書の役割です。
たとえば、骨癒合後も残る歩行障害や痛み、足趾の関節可動域制限などを医学的に解説することで、認定結果を覆す可能性が生まれます。
本記事では、中足骨骨折に関する医師意見書の内容や取得方法、交通事故での活用法までを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/10/24
Table of Contents
中足骨骨折と医師意見書の基本を理解する
中足骨骨折の症状と後遺障害として認められる基準
中足骨骨折では、骨折部の痛みやしびれ、足趾の可動域制限が残る可能性があります。
画像検査で、リスフラン関節内の不整像や偽関節などの異常所見が確認されると、12級13号や14級9号に認定される可能性があります。
骨折部で伸筋腱が癒着して足趾の可動域制限が残ると、足指の機能障害として9級、11級、12級、13級、14級に認定される可能性があります。
<参考>
中足骨骨折で歩けるまでの期間は?後遺症も解説|交通事故の医療鑑定
「診断書」だけでは不十分?意見書が持つ特別な役割
診断書は傷病名や治療経過などの事実記載が中心ですが、医師意見書は「後遺症の医学的根拠」を補足する文書です。
医師意見書には、痛みや足趾の可動域制限の原因を、画像検査や治療経過と結び付けて、後遺症の蓋然性を解説する役割があります。
このため、医師意見書には、被害者請求や異議申し立て、裁判などで極めて有効な証拠となります。
後遺障害等級を左右する、医学的証明の重要性
骨折後の疼痛などの後遺症は、画像検査や臨床経過による裏付けがないと、後遺障害認定が困難です。
後遺障害に認定されるためには、CTやMRI検査などを用いて後遺症の原因を医学的に証明する必要があります。
中足骨骨折の医師意見書に記載される内容
中足骨骨折に関する医師意見書には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- 治療経過
- 後遺症の種類や重症度
- 症状固定時期
- 画像検査の結果
- 中足骨骨折と後遺症の因果関係
これら以外にも、中足骨骨折の後遺障害認定基準を満たしていることを、医学論文なども引用して解説します。

なぜ医師意見書が中足骨骨折の後遺障害認定で重要なのか
後遺症の医学的根拠を明確にする
医師意見書は、主観的症状を客観的データと結びつけることで、後遺症に医学的説明を与える文書です。
画像検査や臨床所見をもとに、骨折部の痛みや足趾の機能障害の原因を説明することで、異議申し立ての成功率を高めます。
後遺障害認定基準を満たすことを医学的に立証する
後遺障害認定では、骨折部の痛みや足趾の可動域制限などの後遺症が、認定基準を満たしているかを審査されます。
医師意見書では、変形癒合やリスフラン関節症などが、後遺障害認定基準を満たすことを専門的立場から解説します。
異議申し立てや訴訟で有効な医学的証拠
後遺障害が非該当になった時の異議申し立てでは、医師意見書が説得力のある医学的証拠となります。
医師意見書で、後遺症の原因を医学的に提示することで、後遺障害等級が変更される可能性が高まります。
医師意見書を活用して正当な補償を得るための戦略
異議申し立てで「非該当」の結果を覆す
多くの場合、非該当は他覚的所見の不足が原因です。追加の画像検査を実施して医師意見書で解説することで後遺障害に認定されやすくなります。
保険会社との示談交渉を有利に進める
医学的根拠を解説した医師意見書は、保険会社との示談交渉において、当方の主張を裏付ける資料として有効です。
後遺症の程度や後遺障害の妥当性、休業期間の妥当性を証明することで、後遺障害慰謝料や賠償金の増額に寄与します。
裁判で医学的根拠として提出する
裁判では、整形外科専門医によって作成された医師意見書が、裁判官の判断に影響を及ぼすケースが少なくありません。
画像検査や身体所見などを客観的に解説した医師意見書を提出することで、当方の主張が採用される可能性が高まります。
後遺障害認定を有利に進める医師意見書の作り方
依頼から取得まで:スムーズに進めるためのステップ
中足骨骨折の医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
医師に伝えるべき必須情報と添付資料一覧
中足骨骨折の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
医師意見書の費用
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
中足骨骨折の医師意見書取得にかかる期間
中足骨骨折の医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
中足骨骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
中足骨骨折が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
中足骨骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
中足骨骨折で歩けるまでの期間は?後遺症も解説|交通事故の医療鑑定
中足骨骨折の後遺障害認定で弊社がサポートできること
弁護士の方へのご案内
弊社では、交通事故で受傷した、中足骨骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
【無料】被害者の方への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

中足骨骨折の医師意見書でよくある質問
非該当となった理由にはどのような医学的根拠が不足しているのか?
中足骨骨折の後遺障害が非該当となる最も多い理由は、画像検査などでの他覚的所見の不足です。
レントゲンやCT検査などで、変形や関節障害を明確に確認できないと、後遺症の存在が否定されやすいです。
中足骨骨折の意見書にはどの検査結果を添付すべきか?
医師意見書には、骨折部や関節機能障害を説明できる画像検査として、レントゲン、CT、MRIを添付することが望ましいです。
特に、CTによるリスフラン関節の矢状断像が重要になりやすいです。また、関節可動域を明記すると、認定基準に沿った評価が可能になります。
痛みや歩行障害などの自覚症状をどう客観的に説明すべきか?
痛みやしびれなどの自覚症状を客観的に示すためには、画像検査による器質的異常の証明が重要です。
CTやMRIで、関節面損傷や偽関節の存在などを提示すれば、痛みの医学的説明が可能になります。
日常生活上の支障(階段昇降・立位持続など)を医学的にどう表現するか?
「階段昇降が困難」「長時間立位が維持できない」といった記載は、単なる主観的訴えに留まらないようにする必要があります。
筋力低下(徒手筋力テスト)や関節可動域制限の数値と関連づけて、日常生活上の支障を説明しましょう。
リスフラン関節への影響は、後遺障害認定にどの程度関係するか?
リスフラン関節は、足甲の安定性を保つ重要な関節群であり、損傷すると歩行時痛やアーチ低下を引き起こします。
CTやMRIで関節面の変形を確認して、疼痛や足趾の可動域制限の原因であることを示せれば、後遺障害認定に結びつく可能性が高くなります。
以前の診断書で不足していた情報を意見書で補完できるか?
異議申し立てに添付する意見書では、前回審査で不足していた医学的裏付けを補うことが可能です。
例えば、骨癒合の不良を示すCT検査を追加して、後遺障害認定基準を満たすことを解説します。
医学的根拠を補強するために意見書や画像鑑定を追加することは有効か?
非常に有効です。意見書や画像鑑定は、後遺症の有無や程度を客観的に証明する強力な資料です。
専門医がレントゲン・CT・MRI検査、身体所見などを多角的に分析して、後遺症との整合性を詳細に説明します。
まとめ
中足骨骨折では、痛みやしびれ、足の可動域制限が後遺症として残ることがあります。
後遺障害に認定されるには、CTなどの画像検査でリスフラン関節の変形や偽関節の所見を提示する必要があります。
医師意見書は、こうした画像所見や治療経過を基に、後遺症の医学的根拠を説明する重要な書類です。
単なる診断書では補えない「骨折と後遺症の因果関係」や「後遺症の蓋然性」を明確にして、異議申し立ての成否を左右します。
医師意見書があれば、後遺障害等級の妥当性が証明されて、慰謝料や賠償金額にも大きな影響を与えます。
中足骨骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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