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MP関節靭帯損傷の後遺症と後遺障害障害認定ポイント|交通事故

交通事故やスポーツなどによって指のMP関節(中手指節関節)を損傷したら、見逃されがちなのが靭帯損傷による後遺症です。

 

MP関節は、手指の安定性や動きの中心となる重要な部位であり、靭帯に損傷を受けると、痛みや不安定感、可動域制限といった症状が長期化することも少なくありません。

 

さらに、症状が慢性化すれば「後遺障害」としての認定が問題となり、補償の可否や金額にも大きく影響します。

 

本コラムでは、MP関節靭帯損傷の基礎知識から、後遺症の具体例、後遺障害の認定基準、そして補償を受けるために知っておきたいポイントまで、分かりやすく解説していきます。

 

 

最終更新日: 2025/6/27

 

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MP関節靭帯損傷とは

MP関節靭帯損傷の原因と症状

MP関節、特に母指に横方向から強い外力が加わると、側副靭帯(内側・外側の靭帯)が損傷します。

 

典型的な受傷例はスキー中にストックで引っかかったり、球技で親指にボールが当たるなどで、靭帯が断裂・緩み、急性期には腫れ・痛みが出現します。

 

靭帯損傷により関節の不安定性が増すと、物をつまんだり力を入れる動作に支障が生じて、慢性的な違和感や不安定感が残る場合があります。

 

 

診断方法と治療の流れ

まず、問診と視診・触診で痛む部位や腫れ、圧痛を確認します。レントゲン検査では、剥離骨折の有無やストレス撮影で不安定性の程度を評価します。

 

MRI検査やエコーは、靭帯断裂やStener lesionの詳細な診断に有用です。

 

軽度~中等度では3~6週間のギプス固定やスプリントによる保存療法を行い、理学療法で可動域・筋力回復を図ります。

 

靭帯損傷が重度、Stener lesion、または保存療法でも症状に改善がないケースでは、アンカーによる縫合や腱移植を用いた再建術など外科的治療を検討します。

 

 

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MP関節靭帯損傷の後遺症

痛み(神経症状)

MP関節靭帯損傷後に関節の不安定性が続くと、慢性的な痛みが残ります。特に、Stener lesionのように断裂が自然修復されずに残っていると痛みが残りやすいです。

 

 

不安定感・関節の動揺性

側副靭帯の断裂や機能低下によって、MP関節は横方向にぐらつきやすく、つまむ・握る動作時に「関節が抜けそう」な不安定感が続きます。

 

 

可動域制限

MP関節靭帯損傷によって関節可動域が制限されると、屈伸や外転運動が困難になるケースがあります。

 

 

MP関節靭帯損傷で考えられる後遺障害

指の機能障害

等級

認定基準

7級7号

1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの

8級4号

1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの

9級13号

1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの

10級7号

1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

12級10号

1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

13級6号

1手のこ指の用を廃したもの

 

MP関節やPIP関節、母指のIP関節の可動域が、健側の1/2以下に制限され、かつその原因が骨折や靭帯断裂などの器質的損傷(画像所見等)で医学的に証明されると、「手指の用を廃したもの」として10級7号などの後遺障害等級が認定される可能性があります。

 

ただし、単なる可動域制限だけではなく、医学的根拠が必要です。

 

 

<参考>
指が曲がらない後遺障害の認定条件と傷病名|交通事故、労災事故

 

 

 

指の神経障害

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

可動域制限が1/2以下でなくても、靭帯損傷による関節の不安定性や慢性的な痛みが医学的に証明できる場合は、12級13号や14級9号の「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害が認定されることがあります。

 

 

 

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MP関節靭帯損傷の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】

因果関係と画像所見が重要

交通事故によるMP関節靭帯損傷が後遺障害として認定されるには以下の2点を満たす必要があります。

 

  1. 交通事故による損傷と因果関係が明確である
  2. MRIやストレスX線で靭帯損傷や関節不安定性の所見が確認される

 

交通事故とMP関節靱帯損傷との因果関係を証明するには、初診時の診断名やカルテ記載と画像所見が重要です。

 

手指の痛みは、初診時に意外と見落とされているケースがあります。そのような場合は、主治医に事故との因果関係を記載した診断書を依頼するのも一法です。

 

弊社では、必要に応じて、主治医への依頼文の起草や校正等を実施しています。お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

 

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MRI検査は有効だが、撮像方法が重要となる

靭帯の状態を評価する手段としてMRI検査も挙げられますが、ストレス撮影の代わりとして確実な証拠を得るには注意が必要です。

 

というのも、指の靭帯は非常に小さく繊細な組織であるため、通常のMRI検査では損傷を正確に捉えることが難しいのです。

 

そのため、3テスラといった高解像度の装置を使用し、適切な撮像方法を選ぶことが、靭帯損傷を客観的に示すうえで重要なポイントとなります。

 

 

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手外科専門医による意見書が後遺障害認定に有利

指の靭帯損傷は、見た目の重症度に比べて日常生活に大きな支障を及ぼすことが多いものの、後遺障害として認定されにくい現実があります。

 

このようなケースでは、手外科を専門とする医師による詳細な意見書が、症状の医学的根拠を補強して、後遺障害の適切な認定に繋がる重要な資料となることがよくあります。

 

MP関節靭帯損傷の後遺障害認定で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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MP関節靭帯損傷の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、指のMP関節靭帯損傷の後遺症が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング®

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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MP関節靭帯損傷の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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MP関節靭帯損傷でよくある質問

母指MP関節靭帯損傷は完治しますか?

軽度・不全断裂であれば、ギプス固定やスプリントによる保存療法で、多くの場合3〜6週間で治癒して、指の機能はほぼ回復します。

 

ただし、Stener Lesion(尺側側副靭帯が反転し修復阻害)など重症例では、自然治癒が困難で手術が必要となります。

 

母指MP関節靭帯断裂後2〜3週以内に縫合する新鮮例や、破損部が劣化した陳旧例では、再建術が行われる傾向です。 

 

 

MP関節が後遺障害になるのはどんなとき?

MP関節の後遺障害として認定されるのは、以下のケースが典型です。

 

  • Stener Lesionのように靭帯断裂が自然修復しないケース
  • 可動域が健側比50%未満に制限されている
  • MP関節に明らかな不安定性(動揺関節)がある

 

 

これらはいずれもストレスX線などの画像検査で立証でき、後遺障害等級(10〜12級など)の認定対象となります。 

 

 

母指MP関節靭帯損傷を放置するとどうなる?

治療せず放置すると、MP関節周囲の筋肉や腱、関節包に慢性的な負担がかかり、痛み・不安定感が慢性化します。

 

また、関節可動域が制限されたり、関節炎の一因となって将来的な機能低下が進行するリスクがあります。

 

 

 

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まとめ

 

MP関節靭帯損傷は、母指(親指)に強い外力が加わった際に靭帯が断裂・損傷するケガで、スキーや球技中によく発生します。

 

MP関節靭帯損傷により関節が不安定になり、つまむ・握るなどの日常動作に支障をきたす場合があります。

 

診断にはMRIやストレスX線が使われ、保存療法または手術で治療されます。

 

後遺症としては痛み、不安定感、可動域制限などがあり、機能障害や神経症状が医学的に証明されれば後遺障害に認定される可能性があります。

 

後遺障害認定には、手外科医師による医師意見書が有効であるケースが多いです。お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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