交通事故や労災事故で骨折した際、治療を続けても骨が癒合せずに偽関節と診断される可能性があります。
一方、偽関節では、痛みや可動域制限などの後遺症が残っても、後遺障害に認定されないケースがあります。
既存の資料だけでは、審査側に後遺症の程度が十分に伝わっていなければ、医学的根拠を補う「医師意見書」が重要になります。
偽関節の医師意見書は、画像所見や動揺性の有無、日常生活への影響などを詳細に評価して、事故との因果関係を明確にします。
本記事では、偽関節に関する医師意見書の記載内容や取得方法を分かりやすく解説して、どのように活用できるのかを紹介しています。
最終更新日: 2025/10/26
Table of Contents
「診断書だけでは不十分」後遺障害認定の厳しい現実
なぜ、偽関節のつらさが正当に評価されないのか
偽関節は、骨癒合が得られず痛みや機能障害を伴いますが、レントゲン検査などの画像所見だけでは、偽関節を確認できないケースがあります。
また、後遺障害診断書では、機能障害の実態や長期的影響が十分に反映されず、被害者が抱える生活上の支障が分かりにくいのが現実です。
<参考>
偽関節・遷延治癒の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
認定の壁を超える「医師意見書」とは
医師意見書は、後遺障害認定における医学的根拠を補完して、診断書では示せない事項を明確に記す文書です。
特に、偽関節では、骨形成の停止要因や後遺症の永続性を客観的に示して、審査側に当方の主張を伝える役割を果たします。
偽関節の医師意見書に記載される内容
偽関節に関する医師意見書には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- 治療経過
- 後遺症の種類や重症度
- 症状固定時期
- 画像検査の結果
- 偽関節と後遺症の因果関係
これら以外にも、偽関節の後遺障害認定基準を満たしていることを、医学論文なども引用して解説します。
医師意見書と診断書、その決定的な役割の違い
診断書は医学的事実の記載に留まるのに対して、医師意見書はその事実の評価と解釈を加えます。
医師意見書は、後遺症に関する専門的見解を示すことで、後遺障害認定における補完資料としての役割を果たします。

なぜ偽関節では医師意見書が重要なのか
偽関節による後遺症とその医学的根拠
偽関節は、骨癒合が6ヶ月以上停止して、骨形成機能の欠如や不安定性が見られる状態です。
医師意見書では、偽関節による痛み・関節変形・可動域制限・筋萎縮が日常生活に深刻な影響を及ぼすことを、医学的に解説します。
後遺障害認定における意見書の位置づけ
医師意見書は、偽関節による後遺症が、後遺障害認定基準を満たしていることを示す証拠資料として、異議申し立てや訴訟で重視されます。
特に、既存の資料だけでは説明できなかった、偽関節の有無や後遺症の蓋然性を、医学的に示す根拠となります。
異議申し立て・訴訟における活用法
非該当認定に対する異議申し立てや訴訟では、医師意見書が当方の医学的主張の根拠となります。
新たに取得した画像検査や診断書とともに、医師意見書を提出することで、後遺障害や当方の主張が認定されやすくなります。
偽関節の医師意見書を有効に活かすための実践方法
非該当からの異議申し立てで意見書をどう使うか
異議申し立て時には、前回審査で不足していた医学的根拠を補う形で、医師意見書を作成することが重要です。
特に、痛みや機能障害が残る原因を具体的に解説することで、審査側に後遺障害認定を促すことができます。
保険会社との示談交渉で信頼性を高める方法
医師意見書を保険会社との示談交渉時に提示することで、当方の主張の合理性を裏付ける医学的根拠となります。
診断書のみでは見落とされがちな後遺機能障害の重症度を明確化して、交渉の主導権を確保しやすくなるメリットがあります。
裁判・調停で医証として提出する際のポイント
提出時には、画像検査、手術記録、診療録などの医証を添付して、医師意見書の信頼性を担保することが重要です。
また、医師の署名・押印、作成日、所属機関、経歴の明記を徹底することで、証拠能力を高めます。
医師意見書・入手と作成の完全ガイド
意見書を依頼する際の手順
偽関節の医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
作成に必要な資料や検査データ
偽関節の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
医師意見書の費用
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
偽関節の医師意見書作成にかかる期間
偽関節の医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
偽関節の後遺障害認定で押さえるべきチェックポイント
偽関節が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と偽関節に因果関係がある
- 偽関節を示す画像所見がある
- 偽関節による症状が続いている
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
偽関節が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
偽関節・遷延治癒の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
偽関節の事案で弊社が提供できる支援内容
弁護士向けの法務医療サービス
弊社では、交通事故で受傷した偽関節が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

偽関節の医師意見書でよくある質問
偽関節の診断はどのような画像所見で確認されますか?
レントゲン検査やCT検査で、骨癒合の中断、線状透亮像、骨端の硬化などの所見が確認されます。
「可動性のある偽関節」と「可動性のない偽関節」は、後遺障害等級にどのように影響しますか?
可動性のある偽関節は機能障害が重度であるため、7級や8級に認定される可能性があります。
一方、可動性のない偽関節は痛みが中心であり、12級に認定される可能性があります。
骨移植やプレート固定などの再手術を行った場合、後遺障害の評価はどうなりますか?
再手術後も骨癒合しなければ、偽関節として後遺障害に認定されます。一方、再手術で骨癒合したら、偽関節としては非該当になります。
日常生活や就労における支障の程度は、どのように意見書で表現すべきですか?
日常生活や就労における支障の程度は、画像検査や可動域制限の結果を定量的に記載します。
立ち上がり・歩行・荷重・握力など具体的動作を挙げて、支障の程度を動作単位で表現することも有用です。
医師意見書ではどのような検査結果を添付すべきですか?
レントゲン、CT、MRI、骨シンチグラフィ、可動域の測定結果などを添付するのが望ましいです。
後遺障害診断書との記載内容に矛盾があると、認定に影響しますか?
後遺障害診断書と医師意見書の記載内容に矛盾があると、医学的信頼性が低下して、後遺障害認定が不利になります。
医師意見書は診断書の延長線上であり、より詳細な医学的理由を明示する形で整合を取ることが重要です。
偽関節が改善の見込みなしと判断される根拠は?
6ヶ月以上骨癒合が見られず、仮骨形成の進展や血流改善が認められない場合に、「改善見込みなし」と判断されます。
まとめ
偽関節とは、骨折後に骨癒合が得られず、痛みや動揺性などの後遺症を残した状態です。
偽関節は、診断書や画像所見だけでは後遺障害に認定されにくい傾向があり、補強資料として医師意見書が重要になります。
医師意見書では、骨形成が停止した要因や症状の永続性を専門的に説明して、事故との因果関係を明確にします。
異議申し立てや訴訟においても、医学的根拠を提示できるため、医師意見書は後遺障害認定を左右する重要な資料です。
偽関節の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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