交通事故で腰椎捻挫と診断されて、痛みやしびれが長引いているのに、後遺障害が非該当になる…。そんな悩みを抱える方は少なくありません。
腰椎捻挫は、レントゲンやMRI検査で異常が映りにくいため、事故との因果関係を証明するのが難しいのが現実です。
そこで注目されているのが画像鑑定です。画像鑑定は、専門医が画像検査を詳細に評価するため、後遺障害認定で有力な医学的証拠となります。
本記事では、腰椎捻挫の画像鑑定とは何かから、取得方法、費用、活用法までを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/10/16
Table of Contents
腰椎捻挫の画像鑑定を理解する
なぜ腰椎捻挫は後遺障害に認定されにくいのか
腰椎捻挫は、レントゲンやMRI検査で異常が見つからないことが多く、痛みやしびれといった自覚症状だけが残るケースが多いです。
「医学的に証明された他覚的所見」が必要な後遺障害認定では評価されにくいです。このため、画像鑑定で医学的根拠を補強する必要があります。
<参考>
腰椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
画像鑑定の基本的な仕組みと目的
画像鑑定とは、脊椎外科専門医がレントゲンやMRI検査を第三者的に分析して、後遺症と整合する異常所見の有無をまとめた鑑定書です。
画像鑑定の目的は、後遺障害認定や訴訟において「症状が医学的に証明できる」ことを裏付けることです。専門性の高い分析が信頼性を支えます。
後遺障害認定で画像鑑定が果たす重要な役割
後遺障害認定では、レントゲンやMRI検査などで、異常所見を指摘できることが、12級13号認定に大きく影響します。
画像鑑定は、画像所見と神経学的所見の整合性を示すことで、異議申し立て成功につながる補強資料としての大きな価値を持ちます。
画像鑑定に盛り込まれる主な評価項目
腰椎捻挫の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 鑑定医師による総括
これら以外にも、画像所見が腰椎捻挫の後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。
腰椎捻挫の画像鑑定を後遺障害認定に活かす方法
異議申し立てで医学的根拠を補強する
後遺障害認定で非該当や14等9号になった場合、画像鑑定によって、後遺症の存在を裏付ける医学的根拠を追加できます。
画像鑑定と併せて、症状の一貫性や事故との因果関係を補強することで、異議申し立ての成功率を高められます。
裁判で有効な医学的根拠として活用
訴訟では、当方の主張を裏付ける医学的な客観資料が求められるため、画像鑑定は証拠価値が高いです。
臨床経験が豊富な脊椎外科専門医による画像鑑定は、裁判官に対する訴求性があり、症状の持続性を主張する重要な資料となります。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
腰椎捻挫の画像鑑定を依頼する流れ
依頼から結果までの手順と進め方
腰椎捻挫の画像鑑定の取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
画像鑑定依頼時に準備しておくべき資料
腰椎捻挫の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
画像鑑定費用はどれぐらい?
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定の結果が出るまでにかかる期間の目安
腰椎捻挫の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、脊椎外科専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
弁護士が押さえておきたい腰椎捻挫の実務ポイント
後遺障害認定で重視される医学的要素
腰椎捻挫で後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的な医学的な裏づけが不可欠です。
画像鑑定によって後遺症の客観的証拠が補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、腰椎捻挫が後遺障害に認定されるためには、画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
すべての後遺障害認定基準を満たしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
画像鑑定の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
腰椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
医師意見書との併用・使い分けの実践法
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
後遺障害が非該当になった原因が、画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
腰椎捻挫の後遺障害認定支援サービスのご案内
弁護士向けサービスの一覧
弊社では、交通事故で受傷した、腰椎捻挫の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者の方が受けられるサービス内容
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
腰椎捻挫の画像鑑定でよくある質問
腰椎捻挫はMRI画像で本当に確認できるのですか?
腰椎捻挫は、MRI検査で外傷性の異常所見を確認できないケースの方が多いです。
しかし、椎間板ヘルニアなどの加齢性所見であっても、後遺障害に認定される可能性があります。
腰椎捻挫の画像鑑定では、どのような点を重視して評価しますか?
主に、画像上の病変の位置と自覚症状・神経所見が一致しているかを重視して鑑定します。
例えば、左殿部からふくらはぎのしびれであれば、左S1神経根の圧迫所見があるかを確認します。
画像所見と症状の間に整合性が認められれば、後遺障害認定審査での評価が高まります。
事故前からの腰椎変性(加齢変化)と事故の関係はどのように判断されますか?
加齢性変化は誰にでもありますが、事故を契機にして症状が出現・悪化していれば、事故との因果関係が認められる可能性があります。
レントゲンとMRI検査のどちらが腰椎捻挫の後遺障害認定で重要ですか?
レントゲンは骨の構造を確認するには有効ですが、軟部組織や神経損傷の評価にはMRI検査が有効です。
後遺障害認定では、MRI検査による異常所見が「医学的証明」に該当するため、MRI検査がより重要視されます。
事故直後にMRIを撮っていない場合、後から撮影しても意味がありますか?
事故からかなり時間が経過してMRIを撮像しても意味はあります。早い方が望ましいですが、症状固定直前でもMRIを撮像する意味はあります。
MRIで「異常なし」と言われたのに痛みが続くのはなぜですか?
靭帯や筋膜の微細な損傷は、MRI検査といえども画像所見に現れにくいため、痛みが続く可能性はあります。
まとめ
腰椎捻挫は、レントゲンやMRI検査で異常が見つかりにくいため、後遺障害に認定されにくい傷病です。
そのため、脊椎外科専門医が画像検査を詳細に分析して、症状と一致する異常所見を示す画像鑑定が重要な役割を果たします。
画像鑑定は、後遺障害認定や異議申し立て、裁判などで「医学的根拠」を補強する有力な証拠となります。
画像鑑定の依頼には診断書や画像データなどが必要で、費用は一般的に7~8万円台、結果は3週間前後で得られます。
腰椎捻挫の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。