橈骨遠位端骨折は、手首の骨折です。転倒や事故によって、比較的多くの人が経験する骨折の一つでしょう。
骨折と聞くと「どれくらいで治るのか」「後遺症は残らないのか」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
特に、日常生活や仕事への影響を考えると、治癒までの期間や治療方法をしっかりと理解しておくことが重要です。
本記事では、橈骨遠位端骨折の種類や症状、治療方法、平均的な治癒期間について詳しく解説しています。
また、骨折後のリハビリや職場復帰の目安、生活上の注意点、後遺症についても触れて、安心して治療できる情報を提供しています。
最終更新日: 2025/3/19
Table of Contents
橈骨遠位端骨折とは
橈骨遠位端骨折の種類と受傷原因
橈骨遠位端骨折は、受傷時の手首の位置や外力の方向によって、以下のように分類されます。
コーレス骨折(Colles骨折)
手を伸ばして転倒して、手のひらを地面についた際に発生する骨折で、骨折部が手の甲側にずれるのが特徴です。
スミス骨折(Smith骨折)
手首を屈曲させた状態で転倒して、手の甲を地面についた際に発生する骨折で、骨折部が手のひら側にずれるのが特徴です。
橈骨遠位端骨折の症状は?
橈骨遠位端骨折が発生すると、以下のような症状が現れます。
1. 疼痛と腫脹
骨折した直後から、手首周辺に強い痛みと腫れが生じて、手首の動きが制限されます。少しの衝撃でも、かなりの痛みを感じます。
2. 変形
骨折部のずれによって手首が変形するケースがあります。特にコーレス骨折では「フォーク様変形」と呼ばれる特徴的な形状が見られます。
3. 機能障害
手首や手指の動きが制限されて、物を握るなどの日常動作が困難になる可能性があります。
橈骨遠位端骨折の治療と治癒期間
治療方法と選択肢
橈骨遠位端骨折の治療は、骨折の程度や患者の年齢、活動レベルにより異なります。一般的な治療法としては、保存療法と手術療法があります。
保存療法では、橈骨遠位端の骨折部位を適切な位置に徒手整復して、ずれが生じないように、ギプスやシーネで固定します。
手術療法は、骨片のずれが大きい場合や関節内骨折の場合に選択され、プレートやスクリューを用いて内固定を行います。
平均的な治癒期間は3ヶ月
橈骨遠位端骨折の治癒期間は、治療法や患者の年齢、全身状態により異なりますが、一般的には以下の通りで、いずれも場合も全治3ヶ月程度です。
保存療法の場合、4~8週間のギプス固定後、2ヶ月程度のリハビリテーションが行われます。
手術療法の場合は、約3週間のシーネ固定期間後、リハビリテーションが開始されます。骨癒合には通常1.5~2ヶ月を要します。
治療過程中のリハビリテーション
リハビリテーションは、骨折治療の重要な一環です。固定期間中から指や肘の可動域訓練を開始します。
固定除去後は手首や前腕の関節可動域の改善、筋力強化を目的としたリハビリテーションを行います。
早期のリハビリテーション開始は、関節の拘縮や筋力低下を防ぎ、機能回復を促進します。
職場復帰時期や日常生活への戻り方
職場復帰の時期は、骨折の重症度や仕事内容により異なります。デスクワークなどの軽作業の場合、受傷後1週間以内での復帰が可能なこともありますが、痛みの程度によります。
立ち仕事や軽作業の場合、受傷後4~6週間、重労働の場合は2.5~3.5ヶ月程度が目安とされています。日常生活への復帰は、医師と相談しながら、無理のない範囲で進めることが重要です。
橈骨骨折をした場合の生活上の注意点
橈骨骨折後の痛み管理の方法
橈骨遠位端骨折後の痛みを適切に管理することは、回復過程において非常に重要です。初期治療として、医師は静脈麻酔などを使用して痛みを和らげて、骨折の整復を行います。
固定中でも、指や肘の適度な運動を行うことで、血流を促進し、むくみや痛みの軽減に役立ちます。
運動後に熱感や痛みが生じた場合は、患部を冷やすことで症状を和らげることができます。これらの方法を組み合わせて、痛みを効果的に管理することが推奨されます。
日常生活で避けるべき行動と動作
骨折後の回復期には、再受傷や合併症を防ぐために、以下の行動や動作を避けることが重要です。
まず、患部への過度な負荷を避けるため、重い物を持ち上げたり、手首を酷使する動作は控えるべきです。
また、ギプスやシーネで固定中は、患部を濡らさないよう注意が必要です。
さらに、転倒や衝撃を避けるため、滑りやすい場所での活動や激しい運動は控えることが望ましいです。
橈骨遠位端骨折の後遺障害等級
交通事故で橈骨遠位端骨折(手首骨折)を受傷すると、自賠責保険から後遺障害に認定される可能性があります。
橈骨遠位端骨折は、上肢の外傷で後遺症を残しやすい代表的な傷病です。ここでは橈骨遠位端骨折で施行するべき検査を考えてみましょう。
そのためには、橈骨遠位端骨折ではどのような障害を残す可能性があるのかを知る必要があります。
手関節の機能障害
手関節の機能障害(可動域制限)は、橈骨遠位端関節面の不整が原因となる事案が多いです。
等級 | 認定基準 |
8級6号 | 上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
10級10号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
手関節の可動域が、健側の可動域の1/2以下に制限されているものをいいます。
12級6号:一上肢の三大関節の一関節の機能に障害を残すもの
手関節の可動域が、健側の可動域の3/4以下に制限されているものをいいます。
手関節の神経障害
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
この場合の神経症状とは痛みのことです。画像所見等で客観的に痛みの存在を証明できるものをいいます。
14級9号:局部に神経症状を残すもの
画像所見等で客観的に痛みの存在を証明できないものの、受傷時の態様や治療経過から痛みの存在が説明つくものをいいます。
長管骨の変形障害
12級8号:長管骨に変形を残すもの
手関節では、主に尺骨茎状突起に偽関節を残したものをいいます。稀に橈骨茎状突起に偽関節を残すものもあります。
橈骨遠位端骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
橈骨遠位端骨折(手首骨折)が原因で後遺障害が残るケースでは、障害の発生する傷病は以下の3つに分けられます。
- 橈骨遠位端骨折
- 尺骨茎状突起骨折
- TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷
橈骨遠位端骨折で必要な検査
橈骨遠位端の障害では、関節のズレがあるかどうかが重要です。そのため、以下の検査が必要となります。
CT検査(3方向)
矢状断、前額断、冠状断の3つの視点から撮影します。特に矢状断が、関節面のズレを確認しやすいです。
レントゲン検査(両側2方向)
骨の全体像を確認して、後遺障害の原因を特定します。CT検査よりも、外傷性関節症の診断に有効な場合もあります。
一方、MRIは橈骨遠位端の痛みの原因を特定するのには向いていません。
<参考>
尺骨茎状突起骨折で必要な検査
尺骨茎状突起骨折は、TFCC損傷とほぼ同時に発生することが多いため、ほぼ一緒に考えられます。
レントゲン検査(両側2方向)
偽関節(骨が正しくくっつかない状態)が確認できれば追加検査不要です。判断が難しい場合は、追加でCT検査を実施します。
TFCC損傷の検査
TFCC損傷は、MRI検査が必須です。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 事故との因果関係を示すため、急性期に撮影するのが理想的
- 手術例ではMRI検査は不要(プレートがあると正確に診断できない)
- 保存療法(ギプス固定)を行った場合はMRIが有効
- 高精度な3テスラMRIの使用が推奨される
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<参考>
橈骨遠位端骨折の後遺障害認定で弊社ができること
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<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
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<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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橈骨遠位端骨折の後遺障害認定で損害賠償金を請求できる
橈骨遠位端骨折で後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
橈骨遠位端骨折の後遺障害慰謝料とは
橈骨遠位端骨折で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
橈骨遠位端骨折の後遺障害逸失利益とは
橈骨遠位端骨折の後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。手首骨折(橈骨遠位端骨折)の後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
まとめ
橈骨遠位端骨折(手首の骨折)は、転倒時の手のつき方によって「コーレス骨折(手のひらをついた場合)」と「スミス骨折(手の甲をついた場合)」に分類されます。
主な症状は、痛み、腫れ、変形、動かしにくさなどです。治療はギプス固定(4~6週間)か手術(術直後からリハビリテーション)で、全治には約3ヶ月かかります。
後遺症が残る場合、検査が必要で、関節のズレ(転位)はCT検査やレントゲン検査、TFCC損傷はMRI検査で診断します。
橈骨遠位端骨折の後遺障害認定でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
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