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腱板断裂のMRI所見は?流れや費用も解説|交通事故の後遺障害

腱板断裂は、肩の痛みや運動制限を引き起こす傷病の一つです。特に交通事故やスポーツによる負傷で発生することが多く、適切な診断と治療が求められます。

 

診断にはさまざまな方法がありますが、正確な評価のためにMRI(磁気共鳴画像法)が重要な役割を果たします。MRIで、腱板の損傷の程度や断裂の有無を詳細に把握できます。

 

本記事では、腱板断裂のMRI所見について詳しく解説して、正常な腱板との違いや典型的な画像の特徴、他の病変との鑑別方法についてもご紹介します。

 

また、MRI検査の流れや費用など、実施を検討されている方が気になる情報も分かりやすく説明しています。

 

 

最終更新日: 2025/2/27

 

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腱板断裂のMRI所見

腱板断裂とは

腱板断裂は、肩関節を安定させる重要な役割を持つ腱板が損傷した状態です。腱板は肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つの筋肉から構成され、これらが上腕骨頭を覆うように付着しています。

 

腱板断裂の主な原因は、加齢による変性や繰り返しの機械的刺激、外傷などであり、特に40歳以上の男性に多く見られます。症状としては、夜間痛や動作時の痛み、肩の可動域制限などが挙げられます。

 

 

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MRI画像における正常な腱板の見え方

MRI(磁気共鳴画像法)は、腱板の状態を詳細に評価するための有用な検査手段です。正常な腱板は、MRI画像上で均一な低信号(黒色)として描出されて、厚みが均等で滑らかな構造を示します。

 

特にT2強調画像では、腱板は低信号で描出され、周囲の筋肉や脂肪組織と明確に区別されます。この正常な構造を理解することで、異常所見との比較が容易になります。

 

 

腱板断裂の典型的な画像所見

腱板断裂が生じると、MRI画像上で以下のような特徴的な所見が見られます。

 

  • 断裂部位では、腱板の連続性が途絶えて、高信号(白色)として描出されることが多い
  • 断裂の程度に応じて、腱板の厚みの減少や形状の変化が認められる
  • 断裂が進行すると、上腕骨頭の上方移動や、棘上筋の萎縮・脂肪変性などの二次的変化も観察される

 

 

 

 

MRI画像鑑定のポイント

MRI画像を評価する際には、以下のポイントに注意が必要です。

 

  1. 腱板の連続性や厚み、信号強度の変化を確認
  2. 棘上筋や棘下筋などの筋肉の萎縮や脂肪変性の有無を評価
  3. 上腕骨頭の位置や形状、肩峰下滑液包の炎症や液体貯留の有無

 

これらの情報を総合的に判断することで、腱板断裂の有無や程度、適切な治療方針の決定に役立てることができます。

 

 

他の病変との鑑別方法

腱板断裂は、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)や石灰性腱板炎など、他の肩関節疾患と症状が類似しているため、鑑別診断が重要です。

 

肩関節周囲炎では、肩の可動域制限が主な症状であり、MRIでは腱板の断裂は認められません。

 

一方、石灰性腱板炎では、腱板内に石灰沈着が見られ、MRIやX線画像で高信号の石灰化病変として描出されます。

 

これらの特徴を踏まえ、詳細な問診や身体所見、適切な画像検査を組み合わせて、正確な診断を行うことが求められます。

 

 

 

 

MRIは腱板断裂の診断に必須

腱板断裂でMRIが必須である理由

腱板断裂の診断において、MRI(磁気共鳴画像法)は極めて重要な役割を果たします。MRIは、腱板の状態を詳細に可視化できるため、断裂の有無や程度、部位を正確に把握できます。

 

特に、腱板断裂は症状が他の肩関節疾患と類似している場合が多く、臨床症状や他の検査だけでは正確な診断が難しいケースがあります。そのため、MRI検査は腱板断裂の確定診断に必須とされています。

 

 

MRIと他の画像診断法の比較

腱板断裂の診断には、MRI以外にもX線や超音波(エコー)などの画像診断法が用いられます。X線検査は骨の異常を確認するのに有用ですが、軟部組織である腱板の詳細な評価には適していません。

 

超音波検査はリアルタイムでの動的観察が可能で、腱板の損傷をある程度評価できますが、検査者の技術や経験に依存して、深部の構造や微細な損傷の検出には限界があります。

 

一方、MRIは高解像度で腱板を含む軟部組織の状態を多角的に評価でき、断裂の有無や程度、周囲組織の変化も詳細に把握できます。これらの特徴から、MRIは腱板断裂の診断において最も信頼性の高い画像診断法とされています。

 

 

 

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腱板断裂でMRIを実施する流れ

腱板断裂を診断する流れ

腱板断裂の診断には、問診や身体診察、画像検査が組み合わされます。まず、患者の症状や受傷機転を詳しく聴取して、肩の動きや痛みの程度を評価します。

 

次に、X線検査で骨の異常を確認して、腱板断裂が疑われる場合にはMRI検査を行います。MRIは軟部組織の詳細な画像を評価して、断裂の有無や程度を正確に把握するために有用です。

 

 

MRIの費用と保険適用

MRI検査の費用は、撮影部位や使用する装置の性能によって異なります。一般的に、3割負担の保険適用で約5,000円から15,000円程度が目安とされています。

 

ただし、医療機関や地域によって費用は変動するため、受診前に確認することをおすすめします。

 

 

MRIを受けるタイミング

腱板断裂が疑われる場合、早期のMRI検査が推奨されます。特に、痛みが強い、肩の可動域が制限されている、外傷後に症状が出現したら、速やかに医療機関を受診して、適切な診断と治療を受けることが重要です。

 

 

MRIを受ける際の注意点

MRI検査を受ける際には、以下の点に注意が必要です。検査中は強力な磁場が使用されるため、金属製のアクセサリーや電子機器は外します。

 

また、閉所恐怖症の方は事前に医師に相談してください。検査中は動かないように指示されますが、リラックスして臨むことで高品質な画像が得られ、正確な診断につながります。

 

 

腱板損傷の後遺障害等級

機能障害(肩関節の可動域制限)

等級

認定基準

8級6号

上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

10級10号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

12級6号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

8級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

 

  • 関節が強直したもの。但し、肩関節にあっては、肩甲上腕関節が癒合し骨性強直していることがエックス線写真等により確認できるものを含む
  • 関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態(他動では可動するものの、自動運動では関節の可動域が健側の可動域角度の10%以下になったもの)にあるもの
  • 人工骨頭置換術が施行されており、かつ肩関節の可動域が2分の1以下に制限されるもの

 

 

8級6号に該当する可能性がある傷病は、上腕骨近位端骨折です。上腕骨近位端骨折では、高い確率で肩関節の可動域制限をきたします。

 

一方、腱板損傷で8級6号に認定されるケースは、ほとんど存在しません。

 

 

 

10級10号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

 

  • 肩関節の可動域が健側と比べて2分1以下に制限されるもの

 

 

関節の可動域が健側の可動域の1/2以下に制限されているものです。腱板断裂のために肩の動力源が無くなって可動域制限が出現するケースと、痛みで肩を動かさなかったために関節拘縮をきたすケースがあります。

 

<参考>
肩関節拘縮(拘縮肩)の原因と画像所見|交通事故の後遺障害

 

 

 

12級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

  • 肩関節の可動域が健側と比べて4分3以下に制限されるもの

 

 

腱板損傷では、肩関節の可動域制限を残す可能性があります。特に高齢者では、肩関節の可動域制限を残しやすいです。

 

<参考>
腱板損傷で12級が後遺障害認定されるポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

 

神経障害(肩関節の痛み)

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

 

受傷後早期のMRI検査で腱板損傷の存在が明らかな場合には、12級13号に認定される可能性があります。

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

 

自賠責認定基準12級13号を満たさない撮像時期や画像所見であっても、MRI検査で腱板断裂を認めれば14級9号に認定される可能性があります。

 

 

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腱板損傷の後遺障害認定のポイント

交通事故と腱板損傷の関係が争われやすい理由

腱板損傷は、50歳前後から無症状のまま進行することが多く、四十肩や五十肩に含まれるケースもあります。

 

30代や40代では自然に症状が軽快するケースもあり、気付かないまま過ごす人も少なくありません。

 

そのため、交通事故による損傷か、それ以前からの加齢による変化なのかが問題になりやすいのです。

 

<参考>
【日経メディカル】その腱板断裂、ホントに交通事故の後遺症?

 

 

 

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交通事故による腱板損傷を証明する方法

後遺障害として認定されるには、事故が原因で腱板損傷が発生したことを示す必要があります。

 

そのためには、診断時期、MRI画像所見、事故の状況などを詳しく証明することが重要です。

 

腱板損傷と交通事故との因果関係を証明するには、いくつかのポイントがあります。詳細については、以下のコラム記事を参照いただければ幸いです。

 

<参考>
腱板損傷と交通事故の因果関係を証明する方法|後遺障害の医療鑑定

 

 

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腱板損傷の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で受傷した腱板損傷が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

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等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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腱板損傷の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

Traffic accident patient

 

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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まとめ

 

腱板断裂は、肩の安定に重要な腱板が損傷する状態で、加齢や外傷が原因となります。MRIは診断に必須で、腱板の損傷具合を詳細に確認できます。

 

正常な腱板は黒く均一に映りますが、断裂があると白く映るのが特徴です。MRIはX線や超音波よりも正確な診断が可能です。

 

費用は保険適用で5,000~15,000円程度。検査中は金属を外し、動かないよう注意が必要です。早期のMRI検査で適切な治療につなげることが大切です。

 

腱板損傷の後遺障害認定には、交通事故との因果関係の証明が必要となるケースが多いです。肩腱板損傷でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

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