頚椎捻挫(むちうち)やストレートネックに悩む方は少なくありません。どちらも首の痛みや違和感を引き起こしますが、実際には異なる病態であり、原因や治療法も異なります。
では、頚椎捻挫とストレートネックはどのように違い、どのような共通点があるのでしょうか?
本記事では、頚椎捻挫とストレートネックの基本的な違いに加え、症状や治療法、さらにはストレートネックが頚椎捻挫に与える影響について詳しく解説します。
また、頚椎症との違いや後遺障害の認定についても触れて、正しい知識を身につけていただけるようにまとめました。首の不調に悩む方はもちろん、適切な対策を知りたい方にも役立つ内容となっています。
最終更新日: 2025/1/25
Table of Contents
ストレートネックとは?その原因と主な症状
ストレートネックの定義と特徴
通常、頸椎(首の骨)は前方に緩やかなカーブ(前弯)を描き、頭の重さを効果的に支えています。
しかし、ストレートネックではこの前弯が失われて、頚椎が真っ直ぐ、あるいは逆に後弯してしまう状態です。
ストレートネックになると、頭が前方に突き出し、首や肩に過度な負担がかかります。
ストレートネックの一般的な原因
ストレートネックの主な原因は、長時間の不良姿勢です。特に、スマートフォンやパソコンの使用時に前かがみの姿勢を続けることで、頚椎の自然なカーブが失われます。
また、デスクワークや長時間の運転など、同じ姿勢を保つ生活習慣も、ストレートネックの発生に影響します。
ストレートネックの典型的な症状
ストレートネックの主な症状には、首や肩のこり、痛み、頭痛などがあります。
ストレートネックの診断方法
ストレートネックの診断は、医療機関での問診や視診、触診、そしてレントゲン撮影によって行われます。
レントゲン画像で頸椎のカーブが直線的になっているかを確認して、症状や生活習慣と照らし合わせて、総合的に判断します。
頚椎捻挫(むちうち)とストレートネックの違い
頚椎捻挫とストレートネックの病態の違い
頚椎捻挫(むちうち)は、交通事故などで首に急激な衝撃が加わり、筋肉や靭帯が損傷する外傷性の傷害です。
一方、ストレートネックは、長時間の不良姿勢や生活習慣により、頚椎の自然な前弯が失われ、首のカーブが直線的になる状態です。
つまり、頚椎捻挫は急性の外傷、ストレートネックは慢性的な姿勢不良が主な原因です。
症状の類似点と相違点
両者とも首や肩の痛み、こり、頭痛などの症状を呈しますが、頚椎捻挫では事故直後から痛みや可動域制限が顕著に現れます。
ストレートネックでは、長期間の姿勢不良により徐々に症状が進行して、慢性的な首や肩のこり、頭痛、めまいなどが見られます。
頚椎捻挫とストレートネックでは、症状の出現タイミングや進行の仕方に違いがあります。
ストレートネックは頚椎捻挫(むちうち)になりやすい?
ストレートネックの状態では、頚椎のクッション機能が低下しているため、交通事故などで衝撃を受けた際に、通常よりも首にかかる負担が大きくなります。
その結果、頚椎捻挫(むちうち)を起こしやすいとされています。日常的にストレートネックの予防や改善に努めることが、頚椎捻挫の症状が長引くリスクの軽減につながります。
頚椎症とストレートネックの違い
頚椎症は、主に加齢や長年の負担による頚椎の変性が原因であり、神経圧迫による症状が特徴です。
一方、ストレートネックは、不良姿勢による頚椎のカーブの消失が原因で、筋肉の緊張や血行不良による症状が中心です。
治療法も異なり、頚椎症では薬物療法やリハビリテーション、場合によっては手術が検討されます。
ストレートネックでは、姿勢改善や生活習慣の見直しが主な対処法となります。
ストレートネックで想定される後遺障害
ストレートネックは後遺障害として認定される?
ストレートネックは、交通事故などの外傷や日常の不良姿勢により発症することがあります。この状態が後遺症として残った場合、後遺障害の認定が問題となります。
後遺障害認定の可否や等級は、症状の程度や医学的証拠の有無によって異なります。
例えば、画像診断や神経学的検査で神経症状が確認できる場合、14級9号(局部に神経症状を残すもの)に該当する可能性があります。
しかし、ストレートネックは日常生活の習慣によっても生じるため、交通事故との因果関係が争点になります。
14級9号:局部に神経症状を残すもの
局部とは頚椎(首)のことです。神経症状は首の痛みに限らず、上肢のしびれや痛み、めまい、頭痛、嘔吐感など多岐にわたります。
症状の回復が見込めないと医師が判断した状態(症状固定)が前提となり、認定要件としては、常に痛みがあること(症状の常時性)が必要です。
「天気が悪い時に痛い」といったように、症状が一時的に消失する場合は認定されません。
また、交通事故と後遺症との因果関係が認められる必要があり、車体の損傷が小さい軽微な事故の場合は、認定されないケースが多いです。
<参考>
【日経メディカル】むち打ちの後遺障害が非該当になる理由
ストレートネックの後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
14級9号は、救済等級としての位置づけがあり、比較的多くの患者さんが認定される可能性があります。
受傷から約半年間の通院を続け、その間の通院回数が一定の基準を満たしていれば、認定の可能性が高まります。
また、交通事故の規模や画像所見(頚椎のレントゲン検査やMRI検査)も重要な判断材料となります。
最も重要なことは、受傷直後から後遺障害診断書の作成に至るまで、症状に一貫性と持続性があることです。
症状に一貫性があることの証明には、自賠責保険が医師から取り付ける頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移についてという書類の記載内容に注意を払う必要があります。
一方、異議申立てでは、症状の一貫性も含めた総合的な主張が必須です。弊社ではすべての対策を網羅した医師意見書サービスを提供しています。
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<参考>
頚椎捻挫の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、頚椎捻挫の後遺症が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
頚椎捻挫の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
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弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
【14級9号】頚椎捻挫の後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者:60歳
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:14級9号(局部に神経症状を残すもの)
交通事故後に頚部痛と両手のしびれを自覚されていました。受傷から半年間通院されましたが、頚部痛と両手のしびれは改善せず、後遺障害診断書が作成されましたが、非該当と判定されたため、弊社に相談がきました。
弊社の取り組み
MRIを脊椎脊髄外科専門医が読影したところ、頚椎後縦靭帯骨化症が存在していることが明らかになりました。診療録を確認すると、受傷当日から頚部痛と両手がしびれると記載されていました。
身体所見、画像所見および診療経過について、医師意見書を作成して異議申立てを行ったところ14級9号が認定されました。
頚椎捻挫で後遺障害認定されると損害賠償金を請求できる
頚椎捻挫で後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
頚椎捻挫の後遺障害慰謝料とは
交通事故で頚椎捻挫の後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
頚椎捻挫の後遺障害逸失利益とは
頚椎捻挫の後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。
後遺障害逸失利益の計算式
後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
頚椎捻挫とストレートネックでよくある質問
ストレートネックの治療方法は?
ストレートネックの改善には、主に以下の方法が効果的とされています。
姿勢の改善
日常生活で正しい姿勢を意識して、長時間の前傾姿勢を避けることが重要です。
ストレッチと筋力トレーニング
首や肩周りの筋肉を柔軟に保ち、適度な筋力をつけることで、首の自然なカーブを取り戻す助けになります。
生活習慣の見直し
長時間のスマートフォンやパソコンの使用を控え、適度な休憩を取り入れることが推奨されます。
ストレートネックと頸椎の関係は?
正常な頸椎(首の骨)は、前方に緩やかなカーブ(前弯)を描いており、頭の重さを効果的に支える構造になっています。
ストレートネックは、この前弯が失われて、頚椎が真っ直ぐまたは逆に弯曲した状態になります。
この変化によって、首や肩に過度な負担がかかり、痛みやこり、頭痛などの症状を引き起こすことがあります。
ストレートネックは障害者に該当しますか?
ストレートネック自体は、一般的に障害者認定の対象とはなりません。
しかし、交通事故が原因でストレートネックが生じて、日常生活に支障をきたす神経症状や機能障害が残ったら、後遺障害が認定される可能性があります。
尚、後遺障害に認定されても、いわゆる障碍者(障害者)の認定ではありません。
頚椎捻挫とストレートネックのまとめ
ストレートネックとは、首の骨(頸椎)が本来のカーブを失い真っ直ぐになる状態です。
スマートフォンやパソコンの長時間使用など、不良姿勢が主な原因で、首や肩のこり、痛み、頭痛を引き起こします。
診断にはレントゲンが用いられ、姿勢の改善やストレッチが予防につながります。
交通事故などで起こる頚椎捻挫とは異なりますが、ストレートネックの状態では衝撃に弱く、頚椎捻挫になりやすいため注意が必要です。
頚椎捻挫でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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