医療画像鑑定は、交通事故の後遺障害において重要な役割を果たす専門サービスです。しかし、その具体的な内容や利用方法、費用について十分に理解している方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、医療画像鑑定がどのように後遺障害認定に役立つのかを中心に、その基本知識から信頼できる専門家の選び方、具体的な事例や費用の目安までを詳しく解説しています。
これから医療画像鑑定を検討している方や、より効果的な活用方法を知りたい方に向けて、必要な情報を分かりやすく整理しました。
交通事故の後遺障害に悩む方々が、自分に最適な医療画像鑑定サービスを見つけ、より納得のいく結果を得るための一助になれば幸いです。
最終更新日:2025/1/24
Table of Contents
医療画像鑑定とは何か
医療画像鑑定の概略
医療画像鑑定とは、レントゲン検査、CT検査、MRI検査などの医療用画像を専門家が詳細に分析して、その所見や診断について報告するサービスです。主治医とは別の立場から、中立的かつ専門的な意見を得ることができます。
医療画像鑑定が重要な理由
後遺障害認定審査への訴求力の高さ
整形外科や脳神経外科などの各科専門医が、自賠責保険の後遺障害認定基準の視点から、CT検査やMRI検査などの画像を鑑定して報告書を提供します。
自賠責保険の後遺障害認定基準に準拠していることから、認定審査への訴求力の高さを期待できます。
異議申し立て成功には新規医証が必要
異議申し立てで後遺障害が認定されるためには、新たな医証が必要です。新規医証無しで異議申し立てしても、後遺障害に認定されません。
医療画像鑑定は、自賠責保険への異議申し立てに際して、新規医証として使用できます。
信頼できる医療画像鑑定の選び方
鑑定医師の専門医資格が重要
医療画像鑑定を依頼する際、担当医師が各領域で日本専門医機構認定の専門医であることが重要です。
例えば、整形外科の事案であれば、整形外科専門医であることが最低限必要であり、さらに脊椎脊髄外科専門医や手外科専門医であることが望ましいです。
医療画像鑑定の評判と口コミのチェック方法
医療画像鑑定の評判や口コミをチェックする方法として、年間の取扱い事案数が多いことが信頼性の指標となります。
また、医療画像鑑定を利用したことがある知り合いの弁護士に、評価を確認することも重要です。
交通事故では整形外科と脳神経外科が望ましい
自賠責保険の審査では、大学や日赤などの公的機関病院に勤務している整形外科や脳神経外科の専門医が、画像検査を確認するケースが多いです。
そのため、同じ科である整形外科や脳神経外科の専門医による医療画像鑑定が、適正な評価を受けるためには有利になります。
<参考>
【日経メディカル】画像鑑定が一人歩き?!交通事故でトラブルが多発する3つの理由
医療画像鑑定のメリット
専門医の援護射撃を得られる
医療画像鑑定は、整形外科や脳神経外科などの各科専門医が、画像検査の所見と後遺症との関連性を評価して、報告書として提供します。
主治医以外の専門的な視点からの意見を得ることができ、後遺障害認定や異議申し立ての際に、有効な資料となります。
医師意見書よりも安価
医療画像鑑定は、主に画像検査の評価であるため、医師意見書と比較して作成費用を抑えられる傾向があります。
例えば、医師意見書の作成費用は約17~30万円(税抜)ですが、医療画像鑑定はこれよりも低価格で提供されます。
医療画像鑑定の注意点
医師意見書と医療画像鑑定の違い
医療画像鑑定は、画像所見と後遺症の関連性を述べるものであり、身体所見や臨床経過は、評価の対象外です。
一方、 医師意見書は、画像所見だけでなく、身体所見や臨床経過など多角的な情報を基に後遺症の存在を説明します。
治療経過や因果関係が争点の事案では効果が低い
医療画像鑑定は、画像所見に基づく評価が中心であるため、治療経過や症状と事故との因果関係が主要な争点となる事案では、十分な効果を発揮しません。
そのような事案の異議申し立てでは、より包括的な情報を含む医師意見書の作成が適切です。
医療画像鑑定でも診断書の精査が必要
自賠責保険の後遺障害認定審査は、画像検査だけで行われるわけではありません。むしろ、画像検査の占めるウェートよりも、事故態様、通院経過、診断書の記載内容の方が大きいのが実情です。
このような事情を知っていると、医療画像鑑定でも後遺障害診断書・事故態様・診断書などの情報が重要であることを理解できると思います。
画像所見は、氷山の一角に過ぎません。説得力のある医療画像鑑定を作成するには、画像検査以外の周辺情報の精査が不可欠なのです。
等級スクリーニング®のすすめ
等級スクリーニング®は、後遺障害等級が認定される可能性を、各科専門医が後遺障害認定基準に準じて精査するサービスです。
等級スクリーニング®では、事故態様、通院経過、診断書、画像検査などの資料を総合的に評価します。
等級スクリーニング®によって、後遺障害等級の見込みだけではなく、医師意見書や医療画像鑑定の選択、不足している検査などの確認などが可能となります。
異議申し立てや被害者請求の際には、医師意見書や医療画像鑑定の依頼に先立って、等級スクリーニング®の利用が推奨されます。
もしお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医療画像鑑定の依頼からの流れ
医療画像鑑定に必要な資料
異議申し立てや訴訟で使用する医療画像鑑定を作成するために必要な資料を以下に示します。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。
ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。
医療画像鑑定が納品されるまでのフロー
医療画像鑑定をご依頼後の大まかな流れは、以下の通りです。
- 弊社による資料確認
- 無料の簡易読影結果のご連絡
- 等級スクリーニング®の見積書を提出
- 入金確認後、等級スクリーニング®結果を提出(電子データ)
- 医療画像鑑定の見積書を提出
- 3週間以内に医療画像鑑定初稿を納品
- 医療画像鑑定に修正点があれば調整
- 依頼者の了承を得た時点で請求書送付
- 医師の署名・捺印入り医療画像鑑定原本を郵送
無料の簡易読影では、画像所見の有無、後遺障害診断書に記載されている症状との整合性についてご報告いたします。
一方、無料の簡易読影で有意所見があったからと言って、画像鑑定を作成する価値があるわけではありません。
医療画像鑑定を作成する価値があるのかを確認するために、等級スクリーニング®の実施を推奨しています。尚、等級スクリーニング®は初回事務所様は無料にて承っております。
もちろん、等級スクリーニング®が不要とのことであれば、初めから医療画像鑑定のお見積りをいたします。
しかし、有意な見通しが得られなかった場合、高額の医療画像鑑定の作成費用が無駄になる可能性があります。
そのため当社では、全事案について、等級スクリーニング®の利用を強くお勧めしています。
無料の簡易読影サービス
医療画像鑑定は費用がかかるため、後遺障害診断書に記載されている症状を証明しうる所見があるかが重要なポイントです。
弊社ではすべての事案で、症状の原因となる画像所見の有無についての無料の簡易読影を行っています。
各科専門医が、各種の画像検査を簡易的に読影して、以下についてメールにて簡潔にお知らせいたします。
- 画像所見の有無
- 画像所見と後遺障害診断書の自覚症状は合致するか
医療画像鑑定に進むことを断念しても、この段階では費用が発生しません。無料の簡易読影を行う理由は、クライアントとの長期的な信頼関係構築、および医療画像鑑定の中立性担保が目的です。
クライアントに無駄な出費をさせないことは、弊社にとっても大きなメリットだと考えています。
医療画像鑑定の納品までの期間
医療画像鑑定を作成する期間は、お見積りを了承いただいた時点から初稿提出までの約3週間です。
オプションとして、7営業日以内の特急対応が可能な事案もございます。特急対応が可能な事案に関しては、+1~3万円で7営業日以内に画像鑑定報告書の初稿を提出いたします。
医療画像鑑定の後遺障害認定事例
弊社では、多数の医療画像鑑定を実施しており、その結果、後遺障害の認定件数も着実に増加しております。
以下に、医療画像鑑定が後遺障害の認定に効果的であった事例を紹介しています。興味のある方は、ご参照ください。
医療画像鑑定の費用一覧
医療画像鑑定の費用(税抜)
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8万円 |
基本料金(単純) | 5万円 |
基本料金(複雑) | 12万円 |
訴訟加算 | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 1~3万円 |
電子化加算 | 5千円~ |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成に必要な料金は、基本料金(8万円)をベースとして下記の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
画像検査の分量は、単純(単純X線像のみの事案)、通常(1部位のMRI)、複雑(複数部位のMRI、長期間にわたる複数回の検査)の3種類に分かれています。
すべての条件がそろった場合(顧問契約有り+異議申立て+画像検査の分量が単純X線像のみ+弁護士特約無し)は、5万円+税で画像鑑定報告書の作成を承ります。
整形外科領域における一般的な事案では、8万円+税の費用負担で各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
画像検査の分量
- 単純(単純X線像のみの事案):5万円
- 通常(1部位のMRI):8万円
- 複雑(複数部位のMRI、長期間にわたる複数回の検査):12万円
訴訟事案に対する加算
訴訟事案加算:+1万円
訴訟事案においては
- 依頼者の主張に対する医学的整合性の確認
- 相手側の準備書面、医師意見書、画像鑑定などの確認
- 鑑定医師の精神的負担
など、画像鑑定報告書の作成に緻密な準備、大きな労力、精神的負担を要することから、追加料金が発生します。
顧問契約による割引
顧問契約有りの事案:-1万円
顧問契約を締結いただいている法律事務所様の事案は、一律1万円の値引きをいたします。
納品時期による加算
特急対応加算:+1~3万円
通常は画像鑑定報告書の初稿の提出までに約3週間の期間を要します。一方、特急対応の場合には、7営業日以内に納品を行います。
電子データではない事案に対する加算
電子化加算:+5000円~
フィルム等の画像検査の場合は、弊社内で電子化する業務が発生するため追加料金が発生します。尚、クラウドサービスを通じて、電子化した画像データを追加料金内で提供します。
医療画像鑑定でよくある質問
医療の画像検査にはどんな種類がありますか?
医療の画像検査には、以下の主な種類があります。
レントゲン検査
X線を用いて体内の構造を撮影し、骨折や肺炎などの診断に用いられます。
CT検査
X線を用いて体の断面画像を作成し、詳細な構造を確認できます。
MRI検査
強力な磁場と電波を使用して、体内の詳細な画像を取得します。
超音波検査
高周波の音波を使って体内の臓器や血流を観察します。
核医学検査
放射性同位元素を体内に投与し、その分布を画像化して臓器の機能や病変を評価します。
MRIとCTではどちらが正確ですか?
MRI検査とCT検査は、それぞれ得意とする分野が異なります。検査の目的や評価する部位によって、適切な検査方法が選択されます。
CT検査
骨や肺などの硬組織の描出に優れており、撮影時間が短いのが特徴です。
MRI検査
軟部組織のコントラストが高く、脳や脊髄、関節、軟部腫瘍の評価に適しています。
医用画像とは何ですか?
医用画像とは、病気の診断や治療のために、人体内部の構造や機能を画像として可視化する技術を指します。
具体的には、X線画像、CT画像、MRI画像、超音波画像、核医学画像などが含まれます。これらの画像は、疾患の早期発見や治療効果の評価に不可欠な情報を提供します。
まとめ
医療画像鑑定とは、専門医がレントゲンやMRIなどの医療用画像を詳細に分析し、中立的な意見を提供するサービスです。
後遺障害認定や異議申し立てにおいて、新たな証拠として利用されることが多く、その専門性が重要視されます。
信頼できる医療画像鑑定を依頼するには、担当医が整形外科や脳神経外科などの専門資格を持っていることが重要です。
医療画像鑑定には、医師意見書に比べて費用が安いというメリットがある一方で、治療経過や事故との因果関係を争点とする場合には効果が限定的です。
そのため、等級スクリーニング®の活用により、必要な資料や方向性を事前に確認することが推奨されます。
もしお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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