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強直(きょうちょく)と拘縮の違いは?|交通事故の後遺障害

交通事故などで関節の周囲に大きなケガをすると、関節がほとんど動かなくなる可能性があります。関節が動かない状態には、強直(きょうちょく)と拘縮があります。

 

本記事は、強直と拘縮の違いを理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/7/18

 

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強直(きょうちょく)とは

 

関節の外傷や全身性炎症疾患のために、関節内の骨、軟骨、関節包などの関節構成体が傷んでしまい、腕や足の関節がほとんど動かなくなることがあります。この状態を強直(きょうちょく)と言います。

 

 

knee pain

 

 

強直には3種類ある

線維性強直

関節包、腱、靭帯などの関節内組織が、線維性に癒着したために高度の可動域制限を残した状態です。交通事故などの外傷では、最もよく見かけるタイプの強直です。

 

 

骨性強直

関節面が骨同士で癒合してしまい、関節の可動性が完全に失われた状態です。外傷では珍しく、強直性脊椎炎や関節リウマチといった全身性の炎症疾患で見られます。

 

 

軟骨性強直

骨性強直までには至らず、関節の軟骨が癒着した状態です。

 

 

強直の症状

 

強直の症状は、高度の関節可動域制限です。強い力を加えても、関節はほとんど動きません。関節を動かさなければ痛みはありませんが、無理やり動かそうとすると痛みを感じます。

 

 

強直と拘縮の違い

 

関節内の骨、軟骨、関節包などの関節構成体に原因があって、関節がほとんど動かなくなった状態を強直(ankylosis)と呼びます。

 

一方、関節外の靭帯などの軟部組織に原因があって、関節が動きにくくなった状態を拘縮(contracture)と呼びます。

 

 

 

nikkei medical

 

 

強直の診断

 

レントゲン検査で、ある程度判断できるケースが多いです。線維性強直や軟骨性強直では、関節裂隙(関節の隙間)が狭くなる傾向にあります。

 

一方、骨性強直では骨同士が繋がるため、関節裂隙(関節の隙間)が無くなって一つの骨になってしまいます。

 

関節内骨折に続発した強直では、CT検査を施行すると関節面の不整や関節裂隙の狭小化をはっきりと確認できるケースが多いです。

 

 

<参考>
【医師が解説】関節内骨折の後遺症が等級認定されるヒント|交通事故

 

 

inquiry

 

Traffic accident patient

 

 

関節の強直で考えられる後遺障害

機能障害

8級6号:1上肢の三大関節中の1関節の用を廃したもの

 

関節が全く動かないか、これに近い状態(関節可動域の10%程度以下)です。実臨床では、ここまで高度の関節可動域制限をきたすケースはあまり見かけません。

 

 

8級7号:1下肢の三大関節中の1関節の用を廃したもの

 

関節が全く動かないか、これに近い状態(関節可動域の10%程度以下)です。実臨床では、ここまで高度の関節可動域制限をきたすケースはあまり見かけません。

 

 

小関節(手指)について

 

  • 4級6号:両手の手指の全部の用を廃したもの
  • 7級7号:1手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの
  • 8級4号:1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの
  • 9級9号:1手の手指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの
  • 10級6号:1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの
  • 12級9号:1手の手指、中指又は監視の用を廃したもの
  • 13級4号:1手の小指の用を廃したもの
  • 14級7号:1手の母指以外の手指の遠位指節間関節(=DIP関節)を屈伸することができなくなったもの

 

 

小関節(足指)について

 

  • 7級11号:両足の足指の全部の用を廃したもの
  • 9級11号:1足の足指の全部の用を廃したもの
  • 11級8号:1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
  • 12級11号:1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
  • 13級10号:1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
  • 14級8号:1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

 

 

【弁護士必見】関節強直の後遺障害認定ポイント

 

肘関節、手関節、股関節などでは、関節がほとんど動かなくなって強直してしまった事案を稀に見かけます。

 

このような事案では、骨性強直であれば争いになりません。しかし、交通事故による外傷をきっかけにして骨性強直を併発するケースはほとんどありません。

 

外傷では繊維性強直する事案がほとんどなので、その可動域制限の信憑性が争われる可能性があります。

 

このような事案では、関節内骨折の程度、関節の外固定期間、治療経過などを総合的に判断して、関節の強直の信憑性を判断することになります。

 

 

<参考>
【医師が解説】用廃は後遺障害に認定されにくい|医療鑑定

 

 

 

nikkei medical

 

 

まとめ

 

関節の外傷や老化のために、腕や足の関節がほとんど動かなくなることがあります。これを強直(きょうちょく)と言います。

 

強直は、関節内の骨、軟骨、関節包などの関節構成体に原因があって関節がほとんど動かなくなった状態です。

 

一方、関節外の靭帯などの軟部組織に原因があって関節が動きにくくなった状態を拘縮と呼びます。

 

関節の強直でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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Traffic accident patient

 

 

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