自賠責保険に対して後遺障害等級認定の申請を行うと、1ヵ月程度で後遺障害認定通知書(後遺障害等級事前認定結果のご連絡)が送られてきます。
想定していた後遺障害等級が認定されなかった時には、後遺障害認定通知書に記載されている内容を分析して対策を練る必要があります。
本記事は、後遺障害認定通知書の分析法を理解するヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/16
Table of Contents
後遺障害認定通知書とは
事前認定の結果が出る期間は1ヵ月
後遺障害認定通知書は、後遺障害等級(事前認定)結果のご連絡とも言います。自賠責保険に対して事前認定で後遺障害等級認定の申請を行うと、1ヵ月程度で送られてきます。
尚、事前認定とは、加害者の任意保険会社が、被害者に代わって後遺障害認定申請を行うことを言います。
<参考>
【医師が解説】交通事故の後遺障害|認定確率を上げるポイント
後遺障害等級と認定理由が記載されている
後遺障害認定通知書には、後遺障害等級とその等級が認定された理由が記載されています。非該当になった場合には非該当理由について記載されています。
後遺障害認定通知書が重要な理由
異議申し立ての対策を練るための資料
想定していた後遺障害等級が認定されなかった時には、後遺障害認定通知書に記載されている内容を分析して、異議申し立ての対策を練る必要があります。
後遺障害認定通知書には、その等級(もしくは非該当)になった理由が記載されています。異議申し立てする際には、その理由をクリアするための対策が必要です。
後遺障害が等級認定されない主な原因
弊社で取り扱った数千事案の後遺障害認定通知書を分析した結果、想定された後遺障害が認定されない原因として、以下のようなものがありました。
- 後遺障害診断書や診断書の記載内容の不備
- 医療機関への通院が不充分
- 症状に一貫性が無く交通事故との因果関係を証明できない
- 画像検査で有意な所見が無い
- 症状を証明できる画像検査などの各種検査が実施されていない
<参考>
【医師が解説】後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故
後遺障害認定通知書の問題点
後遺障害認定通知書の問題点は、定型文を使いまわしている点にあります。具体的には、等級が認定された理由は記載されているものの、個々の事案に即した表現ではなく、無理やり定型文を当てはめて記載されています。
日本語としておかしな表現も散見され、何を言っているのか分からない事案まで存在します。また、定型文なので、どの事案を見ても似たような言い回しが使われています。
画一的な内容の後遺障害認定通知書が多く、表面的には後遺障害認定通知書の分析など無意味に思えます。もちろん、実際には後遺障害認定通知書の分析が異議申し立て成功の基本です。
【弁護士必見】後遺障害認定通知書の分析法
非該当事由が通院状況の場合
初診遅れ、通院頻度の少なさ、通院間隔が空いている、症状固定までの期間などの通院状況に問題のある事案では「治療状況」というキーワードが頻用されます。
このキーワードが出てきた場合には、通院状況に問題が無いのかを確認して、その対策を練る必要があります。
非該当事由が医学的所見の場合
画像所見の乏しさや治療経過に問題のある事案では「○○を認め難く」というキーワードが頻用されます。ここで注意するべきは、記載されている内容に信憑性が無いことです。
例えば、「骨折や脱臼を認めがたく」と記載されている事案であっても、実際にはしっかりと骨折している事例に事欠きません。問題は、いかにして審査側に有意所見を認めてもらうかです。
【弁護士必見】後遺障害の異議申し立て成功のポイント
後遺障害認定通知書の分析が基本
後遺障害の異議申し立てを成功させるためには、非該当や想定していた後遺障害が認定されなかった原因を正確に把握する必要があります。その原因を理解したうえで、後遺障害認定に足りない部分を埋めていく作業が異議申し立ての基本です
挽回不可能な項目もありますが、医療的な領域も含めて、適切な対策を練ることによって挽回可能な項目も少なくありません。
異議申し立てでは新たな医証が必要
異議申し立ては何度でもできるため、漫然と異議申し立てを繰り返している事案を散見します。しかしこれでは、何度異議申し立てしても、後遺障害が認定される可能性はありません。
弊社の経験でも、異議申し立てを成功させるためには、新たな医証が必須です。新たな医証とは、以下のようなものを指します。
- 新たな画像検査
- 新たな各種検査
- 主治医の診断書
- 主治医への医療照会書
- 医師意見書
- 画像鑑定報告書
尚、弁護士意見書や本人上申書などは新たな医証には該当しないので注意が必要です。
まとめ
後遺障害認定通知書(後遺障害等級事前認定結果のご連絡)には、後遺障害等級と認定理由が記載されています。このため、後遺障害認定通知書は、異議申し立ての対策を練るための資料として非常に重要です。
後遺障害認定通知書の分析法として、キーワードに注目する方法があります。キーワードによって、非該当事由が通院状況なのか医学的所見なのかを判断します。
想定していた後遺障害が認定されずにお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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