骨折した時に、早く治す方法はあるのでしょうか。もし、骨が折れていることに気付かずに、放置するとどうなるるのでしょうか?
本記事は、交通事故で負った骨折を早く治す方法と、骨折の放置はどうなるのかを理解するヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/13
Table of Contents
骨折を早く治す方法
骨折を早く治すためには以下の方法があります。基本的には規則正しい生活習慣です。
- 骨折部の固定
- 骨折部の安静
- 栄養分の豊富な食事
- 十分な睡眠
- ストレスを溜めない
骨折部の固定
骨折では、たとえ骨のヒビであっても、ギプスやシーネなどの外固定が必要です。
<参考>
【医師が解説】ギプス・シーネ・シャーレの違いと後遺障害|交通事故
骨折部の安静
骨折部の固定と同じぐらい重要なことに、骨折部の安静があります。痛みを我慢して使い続けていると、骨折がずれてしまう可能性があります。そうなると後遺症が残るケースがあるので注意が必要です。
栄養分の豊富な食事
骨折が治るためには、タンパク質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養が必要です。
十分な睡眠
骨折を早く治すためには、質の良い十分な睡眠が必要です。
ストレスを溜めない
都市伝説のように聞こえるかもしれませんが、ストレスを溜めないことも重要です。私たち整形外科医が骨折の治療をしていると、神経質な患者さんほど骨の治りが悪いことに気付きます。
骨折を早く治すためには、ストレスを溜めないことも重要です。前向きな気持ちで毎日を過ごしましょう!
難治性の骨折を治す方法
通常の骨折を治す方法ではありませんが、どうしても治らない骨折の治療法として以下の方法があります。
- 難治性骨折電磁波電気治療法
- 超音波骨折治療法
- 副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)
- 高気圧酸素療法
難治性骨折電磁波電気治療法
健康保険を使える効果が証明されている難治性骨折の治療法です。骨折部の近くに電極シールを貼って、経皮的に電磁波を照射します。電磁波と言っても、患者さんは痛みや振動を感じることはありません。
尚、難治性骨折電磁波電気治療法を実施できるのは、遷延癒合や偽関節に限られます。通常の骨折を治す治療法ではありません
<参考>
【医師が解説】偽関節の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
超音波骨折治療法
超音波骨折治療法も難治性骨折電磁波電気治療法と同様に、健康保険を使える効果が証明されている難治性骨折の治療法です。
骨折部の近くに端子を装着して、経皮的に超音波を照射します。患者さんは痛みや振動を感じることはありません。
超音波骨折治療法を実施できるのも、遷延癒合や偽関節に限られます。通常の骨折を治す治療法ではありません。
副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)
副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)は骨粗鬆症の治療薬であり、骨折の治療は健康保険の適応外です。このため、骨折治療を目的として副甲状腺ホルモン製剤が処方されることはありません。
しかし、骨折してしまった重度の骨粗鬆症患者さんに、骨粗鬆症の治療目的で副甲状腺ホルモン製剤を処方すると、目に見えて骨癒合が促進する症例が多いです。
高気圧酸素療法
高気圧酸素療法とは、圧力の高い部屋で100%酸素を吸入することで、全身に酸素を供給する治療です。骨折の治療に対して保険適応はありませんが、骨折部に大量の酸素が供給されるため、骨癒合が促進すると言われています。
骨折が治らない時の後遺症
骨折した時には、どのような後遺障害が残りうるのでしょうか。主な後遺障害は、痛み(局部の神経障害)と関節の動きが悪くなること(機能障害)です。
神経障害
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
骨折を放置すると、骨がずれてしまう可能性があります。特に関節内まで骨折線が及んでいる時には、少しでもずれると痛みが残ってしまう可能性があります。
<参考>
【医師が解説】後遺障害が12級に等級認定されるポイント|交通事故
14級9号:局部に神経症状を残すもの
骨折がずれないで治っても痛みが残るケースがあります。このような事案では、他の要素次第では14級9号に認定される可能性があります。
<参考>
【医師が解説】後遺障害が14級に等級認定されるポイント|交通事故
運動障害
12級6号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
肩関節・肘関節・手関節などの関節内の骨折が少しでもずれると、関節可動域が3/4以下になる可能性があります。
12級7号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
股関節・膝関節・足関節などの関節内の骨折が少しでもずれると、関節可動域が3/4以下になる可能性があります。
上肢の肩関節・肘関節・手関節など比べると、下肢の関節の方が体重がかかるためずれやすく、後遺症も残りやすいです。
【弁護士必見】骨折の放置はどうなる?
骨のヒビでも後遺障害になる可能性がある
骨にヒビが入っただけだと、骨折部がずれていないから後遺障害には認定されないと思いがちです。
しかし、レントゲン検査で骨折線が映っていると、すでに骨折部に僅かな「ずれ」が存在していることを意味します。
特に、骨折していることに気付いていない、もしくは見逃されている場合には、受傷から1ヵ月ほどしてから骨折が大きくずれて慌てるケースも珍しくありません。
関節内骨折では骨のヒビでも後遺症が残りうる
関節内に骨折線が及ぶ関節内骨折では、ごくわずかな骨のずれでも、痛みや関節可動域制限が残る可能性があります。
特に股関節、膝関節、足関節などの常に体重のかかる下肢の関節では、12級7号や12級13号に認定される可能性を念頭に置いて事案に臨む必要があります。
<参考>
【医師が解説】関節内骨折の後遺症が等級認定されるヒント|交通事故
まとめ
骨折を早く治すためには以下の方法があります。
- 骨折部の固定
- 骨折部の安静
- 栄養分の豊富な食事
- 十分な睡眠
- ストレスを溜めない
一方、どうしても治らない骨折の治療法として以下の方法があります。
- 難治性骨折電磁波電気治療法
- 超音波骨折治療法
- 副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)
- 高気圧酸素療法
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尚、患者さんからの医療に関するお問い合わせは固くお断りしています。医療に関しては主治医に、交通事故の後遺障害に関しては弁護士に相談してください。
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