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ギプス・シーネ・シャーレの違いと後遺障害|交通事故の医療鑑定

骨折や脱臼の治療では、ギプス・シーネ・シャーレなどで手足を外固定するケースが多いです。一方、ギプス・シーネ・シャーレは手足を固定する道具ですが、それぞれに違いがあります。

 

本記事は、ギプス・シーネ・シャーレの違いと、これらの外固定材料が交通事故の後遺障害認定に及ぼす影響を知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/5/27

 

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ギプスとは

ギプスは外固定の一種

骨折の治療では、骨折した部分を固定する必要があります。固定する方法には、以下の2種類があります。

 

  • 内固定:ネジなどの金属で骨を直接固定する
  • 外固定:ギプスなどで皮膚の外から固定する

 

 

内固定とは、骨折の手術を指します。最近では、チタン製のプレートやネジを使用して、骨折部を強固に固定します。

 

 

ギプスの種類

かつては、包帯に石膏を含ませて固定する石膏ギプスが主流でした。しかし現在では、グラスファイバーを原料としたギプスにほぼ置き換わっています。

 

しかし、石膏ギプスが完全に無くなったわけではありません。小児股関節などの特殊な領域で使用されるケースがあります。

 

 

水で固まるギプスがメジャー

前述のグラスファイバー製のギプスは、水に濡らすと数分ほどで固まり始めます。最終的には30分程度で完全に固まります。

 

 

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シーネとは

シーネは取り外しできる

シーネとは、添え木(副子)のことです。ギプス包帯を手足にあった長さにして折り重ねて、骨折部や脱臼部に当てて包帯で巻いて固定します。

 

シーネは取り外しできることが特徴です。骨折部が安定すると、医師の許可のもと入浴時に外すことも可能です。

 

一方、シーネを包帯で固定するのは少し難しく、ある程度の技術が必要です。本当の意味できっちりした包帯を巻くことができるのは、熟練した整形外科医師のみです。

 

私の個人的経験では、ベテラン看護師と言えども真に固定性のある包帯を巻ける人は見たことがありません。

 

整形外科医師が入浴時のシーネの着脱を許可するのは、そのような事情も踏まえた上で、ある程度適当な固定力でも問題無くなった時期です。

 

 

シーネ固定の巻き直しは毎日必要か?

熟練した整形外科医師以外が、シーネ固定の包帯を完璧に巻くことは不可能です。このため、60点ぐらいの固定力でもOKな状態にならないとシーネ固定を開始しません。

 

そして一般の方がシーネの包帯を巻くと、必ずと言ってよいほどすぐに弛みます。このため、毎日巻き直した方が、固定力がリセットされるため望ましいと言えるでしょう。

 

 

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シャーレとは

シャーレも取り外しできる

シャーレも、添え木(副子)の一種です。全周性にギプス包帯を巻いた後に、半分に割って包帯で固定します。形状はシーネに似ていますが、より体にフィットしているのはシャーレです。

 

シャーレもシーネと同様に取り外しできることが特徴です。骨折部が安定すると、医師の許可のもと入浴時に外すことも可能です。

 

 

シャーレ固定の巻き直しは毎日必要か?

シーネと同様に、一般の方が包帯を巻くと必ずと言って良いほど弛みます。このため、毎日巻き直した方が、固定力がリセットされるため望ましいと言えるでしょう。

 

 

ギプス・シーネ・シャーレの違い

 

ギプス・シーネ・シャーレはすべて、グラスファイバー製で素材は同じです。しかし、ギプスは全周性に巻くため、患者さんが取り外すことができません。

 

一方、固定性はギプス固定が最強と言えます。シーネとシャーレは患者さん自身で着脱可能なので、固定性はギプスよりも落ちます。

 

 

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【弁護士必見】ギプス固定期間と後遺障害の関係

 

交通事故診療の観点からは、以下の2つの点でギプス固定時期は重要です。

 

  • ギプス固定期間は慰謝料に影響する
  • ギプス固定期間は後遺障害認定で加味される

 

 

ギプス固定期間は慰謝料に影響する

治療にかかる慰謝料は、入院や通院の実日数と治療期間によって決まります。そしてギプス固定していた期間は、実日数に加算されます。

 

保険会社は、ギプス固定期間を通院ではなく入院期間として計算する例が多いです。数週間にわたってギプス固定するケースが多いので、被害者に有利になります。
 

 

ギプス固定期間は後遺障害認定で加味される

長期間にわたってギプス固定されると、関節可動域制限などの後遺症を残しやすいです。自賠責保険は、ギプス固定期間を考慮して関節可動域制限の蓋然性を判断します。

 

ギプス固定を○○日以上実施すると○○級に認定されやすい等のストレートな影響力はありません。しかし、ギプス固定期間が長いと機能障害に認定されやすい印象を受けます。

 

 

 

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シーネはギプス扱い

ここで問題になるのは、シーネ固定やシャーレ固定はギプス固定と同等に扱われるのかという論点です。

 

診療報酬では、シーネ固定=ギプス固定、シャーレ固定=ギプス固定 × 1/2です。少なくともシーネ固定はギプス固定と同様に扱って良いと思われます。

 

また、シャーレ固定であっても、実質的にはシーネ固定と変わりません。実臨床の肌感覚としては、シャーレ固定もギプス固定と同等に扱って良いのではないでしょうか。

 

 

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まとめ

 

ギプスは、水に漬けると数分で固まり始めるグラスファイバー製です。完全に固まるまで30分ほどかかります。

 

ギプスは全周性なので自分で外すことができません。一方、シーネとシャーレは自分で着脱することができます。

 

固定性はギプスが最も強固です。シーネやシャーレは弛むので、毎日巻き直した方が良いでしょう。

 

ギプス固定期間は慰謝料と後遺障害認定に影響を与えます。そして、シーネはギプスと同等として扱われます。

 

ギプスやシーネでお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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