交通事故で発生する背骨の外傷では、圧迫骨折の有無が争点になることがあります。MRI検査で圧迫骨折と間違われやすい所見に、Modic change(Modic変性)があります。
本記事は、Modic changeを理解することで、圧迫骨折の傷病名を信じてしまい誤った方針を採らないためのヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/13
Table of Contents
Modic change(椎体終板変性)とは
Modic change(椎体終板変性)は、加齢による背骨の退行性変化です。MRI検査では、約14%の人で観察されるほど、よく見かける所見です。
Modic changeは腰痛の原因となる可能性のあるMRI検査の画像所見ですが、圧迫骨折ではありません。
Modic changeの分類
MRI検査の所見によって3種類に分けられます。Type 2が最も多く、次にType 1で、Type 3が最も少ないです。
Modic Type1
T1強調像で低信号、T2強調像で高信号です。椎体が変性する急性期に発生する浮腫性変化だと言われています。
Modic Type2
T1強調像で高信号、T2強調像で等信号~高信号です。椎体の変性が急性期から慢性期に移行すると、椎体は脂肪変性します。MRI検査では、脂肪髄を見ていると言われています。
Modic Type3
T1強調像、T2強調像とも低信号です。変性が更に進むと、椎体は骨硬化します。MRI検査では、骨硬化や線維化を見ていると言われています。
Modic changeの症状
Modic changeは、背骨の加齢性変化です。このため、Modic changeは腰痛の原因となります。
しかし、脊椎の圧迫骨折で感じる痛みとはレベルが異なります。Modic changeによる腰痛は、圧迫骨折のような激烈な痛みではなく、慢性的に続くじわじわとした痛みです。
Modic changeの経過
Modic changeのMRI検査の画像所見は、時間の経過とともにtype 1 ⇒ type 2 ⇒ type 3の順番で変化すると言われています。
【弁護士必見】Modic changeを圧迫骨折と間違うケースが多い
Modic変性(Modic change)は、圧迫骨折とよく間違われます。前述のようにModic変性には3タイプありますが、
- Type1(T1強調像で低信号、T2強調像で高信号)
- Type2(T1強調像で高信号、T2強調像で等信号~高信号)
は、整形外科医や放射線科医でも、読影で「圧迫骨折」「椎体骨折」と誤診するケースが後を絶たちません。
おそらく、Modic変性による圧迫骨折誤診は保険会社の要注意チェックポイントにリスティングされています。
このため、自賠責保険が圧迫骨折であると誤診した事案を否認するケースが多発しています。
Modic変性と圧迫骨折や椎体骨折の鑑別は、MRI検査だけでは判断できない事案があります。そのような事案ではレントゲン検査やCT検査の所見が鍵となります。
まとめ
交通事故で発生する背骨の外傷では、MRI検査で圧迫骨折と間違われやすい所見に、Modic changeがあります。
Modic changeを圧迫骨折と間違えると、いくら労力を割いても圧迫骨折として後遺障害が等級認定される可能性はありません。
整形外科医や放射線科医が誤診することも多いので注意が必要です。Modic changeを圧迫骨折と間違えてしまい、誤った方針で事案を進めないように注意する必要があります。
圧迫骨折を否定されてお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
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