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CRPSにも軽重がある
最近、CRPS症例の依頼が重なりました。もちろんそれぞれ別事案ですが、同時期に原告側と被告側の立場でいくつかの依頼を受けたので、所感を少しまとめてみました。
実臨床では、CRPSの診断を比較的容易につける傾向にあります。その理由は、2008年厚生労働省研究班による複合性局所疼痛症候群のための判定指標でCRPSが判定されることが多いからです。
この判定指標の目的は、できるだけ早期にCRPS症例を拾い上げて治療を開始することです。CRPS以外の症例が多少紛れ込むことよりも、CRPS症例を取りこぼさず早期から治療を開始することを重視しているのです。
このため、後遺障害診断書にCRPSと記載されている事案を比較的頻回にみかけます。被害者の方も自分がCRPSだと思っているので、後遺障害ではCRPSが認定されるものと考えています。
ところが自賠責認定基準では、適正な賠償業務のためにCRPSを厳密に判断します。CRPSにはいくつかの認定基準や判定指標がありますが、自賠責認定基準はダントツで厳しい基準なのです。
この厳密さがCRPSをめぐるトラブルの一因になっています。CRPSと言っても、実際にはひとつの病態ではないと感じています。いくつかの亜型があり、またその程度もそれぞれです。
自賠責認定基準に合致するCRPSは全体の中では少数派であり、多くのCRPSは自賠責認定基準を満たすほど重度ではないのです。CRPSにも軽重があることは、意外と原告・被告側とも見落としている論点だと感じています。
自賠責認定基準を満たすほどの重度のCRPS事案では、大学病院などのペインクリニック科から離脱できないことが多いです。このような症例はCRPS全体の中では少数派であり、自賠責認定基準を満たす事案の多くはこのような状況であることを知っておいて損はないでしょう。
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