交通事故コラム詳細

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自動車乗車中に膝前十字靭帯損傷を受傷することは無い|交通事故の後遺障害

 

今週の交通事故関連の話題

 

前回は自動車乗車中の交通事故では、膝関節の内側半月損傷を受傷することは少ないことを指摘しました。今回はこれと関連して、前十字靭帯損傷(ACL損傷)を併発することもほぼ無いことについて説明したいと思います。前十字靭帯は膝関節内部にある靭帯で、大腿骨に対して脛骨(下腿)が 前方に脱臼するのを防いでいます。

 

前十字靭帯損傷の受傷機転には接触型と非接触型があります。接触型は、サッカーやラグビー他の選手とコンタクトして膝に直接外力が加わり損傷するものです。交通事故はこちらに該当しますが、着座している状況で下腿に前方方向の力が加わることは想定しがたいです。通常は、ダッシュボード損傷といって、下腿に後方方向への外力が加わり、前十字靭帯損傷ではなく後十字靭帯損傷を受傷します。

 

もう一つは「非接触型」といって、走行中の急激な方向転換やジャンプ着地時などに、膝関節に大きな力が加わって捻転することで受傷するものです。このような動作は、やはり着座している状況で発生することはありません。したがって、自動車に乗車している際に前十字靭帯損傷を受傷することはまず無いと言えるのです。

 

一方、バイク乗車中の事故であれば、大きな外力が膝関節にかかるので、前十字靭帯損傷や内側半月損傷を受傷する可能性は十分にあります。同じ交通事故と言っても、自動車乗車中の事故とバイク乗車中の事故では、受傷する確率が大きく異なるのです。

 

2020/11/13 追記

本ブログ記事で、自動車乗車中に前十字靭帯損傷や内側半月損傷を受傷することは無いと記載しましたが、今週になって自動車乗車中に受傷した事案を経験しました。身体所見・画像所見とも、自動車乗車中の事故であることに疑いの余地がありません。

 

この事案の存在を受けて、自動車乗車中であっても事故規模が大きい場合には、前十字靭帯損傷や内側半月損傷を受傷する可能性があるという結論に訂正させていただきます。

 

 

 

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