意見書や画像鑑定報告書にも間違いは多い

投稿日:2020年10月3日 更新日:

交通事故、労災事故、医療訴訟の際に、医師が作成する意見書や画像鑑定報告書は大きな影響を及ぼします。弊社でも多数の事案の相談が寄せられますが、その中にはすでに同業他社の医師のよって作成された意見書や画像鑑定報告書が散見されます。弊社に持ち込まれるぐらいなので、当然結果が思わしくない事案が多いです。そのような結果になってしまった原因は主に下記2つと思われます。

 

  1. クライアントに対して過剰に忖度している
  2. 医学的に間違っている

 

①のクライアントに対して過剰に忖度しているケースは非常に多いと感じています。弊社が創業した頃にも某放射線科医師による画像鑑定報告書が問題になっていました。自賠責の中でも有名だったようで、知り合いの某基幹病院の部長が、その医師が作成した画像鑑定報告書について愚痴っていたことを覚えています。今ではその会社の画像鑑定報告書をあまり見かけなくなりましたが、類似の事案はまだまだ多いです。

 

問題点は、外部からはその意見書や画像鑑定報告書の真贋が分かりにくいことです。先日も脳神経外科領域の医療訴訟で、すでに係争中の事案についての相談が寄せられました。ある医師が作成した意見書を拠り所にして訴訟が提起されたようですが、弊社の脳神経外科専門医2名の見解では、難度が高い手術であるため結果が思わしくないものの、治療方針や手術手技には問題の無い事案でした。

 

それにもかかわらず訴訟を提起してしまったため苦戦しているようです。このケースでは、脳神経外科専門医なら医療側無責であることは誰でもわかるレベルなのですが、残念ながら脳神経外科専門医以外では判断できません。このため、弁護士側からは忖度されていることを知るのは非常に困難です。

 

その医師の現在のポジション(現役の臨床医か否か)やこれまでの経歴(本当にその傷病の治療経験があるのか)を確認しても、忖度されているのか否かは分かりません。最も確実なのは複数の医師の意見を聴取して裏を取ることだと思います。交通事故や労災事故ではそこまでする必要は無いと思いますが、医療訴訟では、医療側無責の事案にもかかわらず訴訟提起してしまうと、関係者全員の負担が重くなるので慎重な対応が必要だと思われます。

 

②の医学的に間違っていることも比較的よくみかけます。例えば、肩関節のHAGL損傷を単なる打撲と診断したり、腱板の筋腱移行部の腱成分を脂肪変性や腱板損傷と診断したりすることです。脊椎の髄節支配を十分に理解していないため、高位違いの神経根症状で論理展開している意見書もありました。

 

医学的に間違っていることは、その医師の現在のポジション(現役の臨床医か否か)やこれまでの経歴(本当にその傷病の治療経験があるのか)を確認すれば、ある程度の信憑性は判断できるかもしれません。しかし、あまりに立派過ぎる経歴の医師は要注意で、すでに現役を退いて10~20年以上経過している医師や、実際にはその領域の臨床に携わっていなかった元大学教授等の医師も散見されます。

 

損保側医師では、週1回程度のアルバイトでしか臨床に携わっていない人もいるため、医学的に誤っている意見書を散見します。このように何を信じてよいのか分からない状況なのですが、弊社でさえも過去には医学的に間違っていることを報告したことがあります。創業当時は私ひとりで業務をこなしていたため、整形外科といえども専門範囲外のことについては、いくつか医学的に誤っていたのです。

 

その時の反省から、弊社内に各分野のスペシャリストを擁して、かつスペシャリストでも手に余る事案に関しては提携しているその分野の専門医に依頼することにしています。また、意見書・画像鑑定報告書では、専門医2名以上の複数名によるダブル・トリプルチェックを行い、医学的な間違いを撲滅することを心がけています。

 

この過程で感じたことは、やはりどんなに優秀であっても、ひとりの医師では限界があることです。医学的な間違いに対する解決法は複数医師による確認だと強く感じています。医学的な間違いに気づかないまま意見書や画像鑑定報告書を作成すると不利益を被るのは弁護士やそのクライアントです。その点を念頭において複数専門医によるチェック体制を維持していきたいと思います。

 

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