医療訴訟の現実

投稿日:2020年7月18日 更新日:

弊社では交通事故および労災事故の事案を主に取り扱っていますが、最近になって医療訴訟の相談が多数寄せられるようになってきました。基本的には顧問契約を締結いただいている法律事務所様しか対応していませんが、既存取引先の法律事務所様からの折り入っての相談ではお受けするケースもあります。

 

それらの事案をみていて感じたことは、やはり医療訴訟は難しいということです。その理由は下記の3点に絞られます。

  1. 純粋に確認するべき医証の量が膨大である
  2. 基礎疾患が悪いため結果が悪くなった事案が多い
  3. 標準医療が行われていることがほとんど

 

①に関しては当然のことですが、交通事故や労災事故と異なり、看護記録も含めたほぼすべての医証を深いレベルで読み込む必要があります。普段の臨床業務で医証の解読に慣れている弊社医師をもってしてもなかなか骨の折れる業務です。

 

②に関しては、結果が悪いから医療訴訟を検討するわけですが、結果が悪くなった原因の大部分が患者さんの基礎疾患の悪さであることが多いです。つまり、起こるべくして起こった悪い結果であり、医療者側に落ち度は無いケースが多いのです。

 

③に関しては、昨今の第一線で臨床にあたっている医師は非常に勉強熱心なので、明らかな医学的・医療的落ち度を見かけるケースはほとんどありません。結果が悪いから「こうすればよかったのではないのか?」という議論になるのですが、後追いでみて他の選択肢の方が望ましかった例でも、医学的に過ちではないため責任を追及することは困難です。

 

一部の医療訴訟専門法律事務所様を除いて、持ち込まれる医療訴訟は、医療機関側の責任を問えないものがほとんどです。法律事務所様にとっても医療訴訟は多大な労力が必要だと思いますが、そもそも訴訟の対象にならない事案がほとんどであるため注意が必要だと思います。

 

一方、企業がクライアントの法律事務所様から被告側の立場で医療訴訟が持ち込まれることもあります。この場合、原告側に医師のサポートが無い場合は、そもそも争点が存在しないことが多いことが特徴です。荒唐無稽なことが訴状に記載されていることが多く、医学的に反論することは容易です。

 

このように医療訴訟は難しいのが現実です。結果が悪いから訴訟提起となるのですが、そもそも医療者側に問題の無いことが多いので、原告・被告・弁護士の誰も得しない状況を回避するためにも、あらかじめ医師に相談することが望まれます。

 

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