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交通事故の腱板断裂の問題点
後遺障害の素因減額についての話題です。人間は加齢性変化から逃れることはできません。臨床的には40歳を超えたあたりから、加齢による変性の影響が全身で顕在化してきます。
最も顕著な部位は脊椎でしょう。日常臨床でも、40歳以上の患者さんの頚椎や腰椎の画像所見で全く正常な人の割合は急激に減少します。このため、中高年の方が交通事故に遭ったときには、ベースに脊椎の変性が存在することは必定です。
いわゆる無症状であった変性所見が事故を契機に顕在化するパターンですが、訴訟の実務では同年代の変性所見から大きく逸脱しない範囲であれば、これらの変性所見のために素因減額されることはありません。
一方、脊椎以外では肩関節の腱板に加齢による変性を認めやすいです。群馬大学が行った疫学調査では、50歳台から急激に腱板の変性断裂が増加します。しかも無症候性が多いので、事故を契機に発見される傾向にあります。
後遺障害がみとめられる条件として、事故と腱板損傷との因果関係は重要です。これは受傷後1ヵ月以内に施行したMRIである程度確認できることが多いです。ここで事故との因果関係が証明できれば、もともとあった無症候性腱板断裂や腱板変性の素因減額が問題になります。
結論的には年齢相応の変性や断裂であれば、素因減額の対象にはならないようです。もちろん、高頻度のテニスやサーフィンなどを日常的に行っていた場合はこの限りではありませんが、通常の生活を送っていた場合には、無症候性腱板断裂があったとしても素因減額の対象にはならないことは覚えておいて損はないでしょう。
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