後遺障害診断書を医師が拒否する理由と対策

投稿日:2019年11月23日 更新日:

ときどき、主治医から後遺障害診断書の作成を拒絶される事案の相談を受けます。医師法第十九条二項では「診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。」とされていますが、この法律を知らないものと推察されます。

 

ただ、杓子定規に法律を振り回して医師に診断書作成を迫っても、実務的に有効な後遺障害診断書を作成してもらうことは難しいです。実臨床でも「後遺障害診断書作成を拒否されたから受診した」という事案を散見します。困ったものですが、どうして診断書作成拒否が発生するのかを考えてみます。

 

理由1:診断書作成経験が無い

マイナー科医師ではあり得る話です。しかし、耳鼻科・眼科・歯科の医師であっても、がんばって後遺障害診断書を作成する場合は大半です。最もタチの悪いのは内科や外科で開業している医師です。これらの医師は自賠責での診療はちゃっかり行うものの、最後の後遺障害診断書の段階で「経験が無い」という理由で後遺障害診断書作成を突っぱねるケースがあります。

 

たしかに外傷に関する専門知識に乏しいことは事実ですが、最後の最後で後遺障害診断書作成を拒否されるのでは、被害者もたまったものではありません。これを防ぐためには、科違いの医師の元で治療することは避けるべきでしょう。具体的には整形外科専門医や脳神経外科専門医ではない医師です。これらの医師では、仮に後遺障害診断書を作成してくれても内容が不正確なことが多いため、著しく不利になるケースが後を絶ちません。

 

理由2:経過が全く分からない

整形外科開業医でありがちなケースです。初診時に受診してから1回も再診せず、ひたすら接骨院に行って、最終の症状固定の段階でひょっこり再診されると、医師の立場では非常に困ります。これまでの経緯がブラックボックスでほぼ初診に近いので、いきなり後遺障害診断書作成のために受診されても書きようが無いのです。

 

このようなケースでは、私でさえも後遺障害診断書を作成することを躊躇します。時間の融通が利くので接骨院併用も仕方ない面もありますが、医療機関を受診することを忘れていけません。また、地域によっては接骨院を併用していると、後遺障害診断書作成を拒否される場合があります。医師会主導なので医師が悪いとも一概には言えません。やはり、接骨院メインは控えた方が望ましいでしょう。

 

理由3:自賠責診療に対する独自の基準をもっている

最もタチの悪いケースで、まれに整形外科開業医でみかけます。後遺障害診断書は作成しないというポリシーをもっているようで、受傷後5ヵ月で強制的に症状固定して保険診療に切り替えます。そして治る目途もないまま延々と保険診療を続けるパターンです。

 

このような悪意?をもっている医師にあたると対応しようがありません。運悪くそのような医師に遭遇した場合には、転院するしか方法がありません。同じ医師として恥ずかしい限りです...。

 

ここまでみてきたケースに当てはまらないようにするには下記を推奨します。

  • 症状に合わせて専門医(整形外科専門医、脳神経外科専門医など)を受診する
  • 四肢・脊椎外傷の場合には整形外科専門医ではない外科系開業医は避ける
  • 接骨院をメインにしても、医療機関もかならず受診しておく
  • 病院ではなく開業医を選択する

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