WADの画像診断

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WADは基本的に骨傷のない病態ですが、初診時には除外診断を行う必要があるためレントゲン検査はほぼ全例で行います。ただしレントゲン検査での骨折診断率は70~85%と言われており、すべての骨傷が分かるわけではありません。以前はWAD患者さんの頚椎側面像での前弯消失(後弯化)が、筋肉のスパスムと関係があると言われていました。しかしその後、年代別に健常者とWAD患者さんのレントゲンの比較をした研究で前弯消失の頻度が両群間で変わらなかったことから、WAD患者さんの前弯消失は病的意義を持たないと最近では考えられています。

 

MRIでは椎間板、靭帯、神経などが描出され、多くの情報が得られます。したがって頚椎疾患では必須の検査になっていますが、急性期のWADでMRIを撮影すべきかどうかについては意見が分かれるところです。WAD患者さんと健常者を比較した研究では両群とも椎間板の変性、後方突出といった所見は年齢とともに頻度が高くなるのですが、両群間に有意差は認められませんでした。またMRI所見とWAD患者さんの臨床症状との間には有意な関連がなかったことから、急性期のWAD患者さんでの椎間板所見や脊髄圧迫所見はほとんどの場合は加齢性変化と結論づけています。

 

まだ実用化はしていませんが、微小炎症を可視化する方法として特殊なPET検査である11C-DDE PET/CTという検査があります。この検査を行うとWADで生じている疼痛部位に取り込みが行われるため、将来的にWADを客観的に画像診断で評価ができる時代になるかもしれません。

 

現在のところWADを画像診断だけで評価するのはやはり困難です。一般的なWADの患者さんの後遺症認定では、自覚症状の一貫性、画像所見と症状の整合性を根拠に主張していくのが王道と思われます。

 

 

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