C型肝炎給付金の請求訴訟を考えている方にとって、カルテの有無は大きな関心事です。C型肝炎と診断されたものの、カルテが手元にない場合、請求訴訟が棄却される可能性が高いです。
本記事では、C型肝炎給付金の基本情報から、カルテがない場合の対処法、さらには医師意見書の有用性について詳しく解説します。
最終更新日： 2024/12/24
Table of Contents
C型肝炎給付金の基本情報
C型肝炎給付金とは？その制度について
C型肝炎給付金は、フィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与により、C型肝炎ウイルスに感染した方々を救済するための制度です。
1994年頃まで、C型肝炎ウイルス不活化処理が不十分でした。この時期までに、これらの製材を投与された方は、C型肝炎ウイルスに感染している可能性があります。
この制度は、感染被害者が適切な補償を受けられるように設けられており、給付金の請求期限は2028年1月17日まで延長されています。
C型肝炎給付金の対象者
C型肝炎給付金の対象者は、手術・出産に伴う大量出血や新生児出血症などの特定の医療行為により、C型肝炎ウイルスに感染した方です。
具体的には、フィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与を受けたことにより感染した方が対象となります。
裁判所で和解・調停が成立するか、判決が確定した場合に給付金の支給が認められます。
＜参考＞
【厚生労働省】C型肝炎特別措置法に基づく給付金の請求について
C型肝炎給付金の金額
C型肝炎給付金の金額は、症状の進行度に応じて異なります。
- 慢性C型肝炎が進行して肝硬変や肝がんに罹患、死亡：4000万円
- 慢性C型肝炎に罹患：2000万円
- 無症候性キャリア：1200万円
また、C型肝炎の症状が進行した場合には、追加給付金が支給されることもあります。
訴訟で必要な書類
C型肝炎給付金を請求訴訟では、フィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与を受けたことを証明できる以下の書類が必要です。
- カルテ
- 医師の診断書
尚、厚生労働省では、厚生労働省のサイトで、1994年以前にフィブリノゲン製剤を納入した医療機関名を公表しています。
＜参考＞
【厚生労働省】Ｃ型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ（フィブリノゲン製剤納入先医療機関名の再公表について）
カルテなしでC型肝炎給付金をもらう方法
C型肝炎給付金をカルテなしでもらうのは難しい
訴訟では、フィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与を受けたことを証明できる書類を提出する必要があります。
しかし、1994年より以前のカルテや医証を入手するのは、通常困難を極めます。その理由は、医師法の規定でカルテの保管期間は5年間と定められているからです。
実質的に、1994年以前のカルテが保管されている可能性は極めて低いと考えるべきでしょう。
裁判所は、カルテが無いと、フィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与によってC型肝炎に罹患したと判断できません。
カルテなしの場合に考えられる代替書類
カルテがない場合、代替書類として以下のものが考えられます。
- 投与された病院の診断書
- 当時の主治医の証言
- 医師意見書
これらの書類を揃えることで、給付金の申請が可能になることがあります。
投与された病院の診断書
投与された病院の診断書は、カルテの代わりに使用できる重要な書類です。
診断書には、治療内容や投与された薬剤の情報が記載されるのが理想です。これらの情報が記載されれば、感染との因果関係を証明できます。
しかし実際には、病院の診断書はカルテを参照して記載されます。カルテが存在しないと、診断書の作成が困難なケースが多いです。
当時の主治医の証言
当時の主治医の証言も、カルテの代わりに使用できる証拠の1つです。主治医が治療の経緯や感染の事実を証言することで、給付金の申請がスムーズに進む可能性があります。
しかし、数十年前の主治医を探し出すのは通常困難です。すでに医師が死亡しているケースも珍しくありません。
医師意見書という選択肢
C型肝炎訴訟では、カルテが存在しないケースが多いので、カルテなしでC型肝炎罹患との因果関係を証明する必要があります。
このようなケースでは、第三者の医師が作成する医師意見書が有効になる可能性があります。
医師意見書では、過去の病歴を詳細に検討して、フィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与がされた可能性を証明します。
尚、医師意見書を作成する医師は、C型肝炎に精通した日本肝臓学会認定専門医であることが望ましいです。
＜参考＞
C型肝炎給付金のカルテなしケースでよくある質問
C型肝炎の給付金がもらえない人はなぜもらえないのでしょうか？
C型肝炎給付金がもらえない理由は、主に証拠不足や申請手続きの不備によるものです。カルテがない場合、感染の事実や治療の経緯を証明するのが難しくなります。
C型肝炎のカルテの保存期間は？
医療機関によって異なりますが、一般的にカルテの保存期間は5年から10年です。しかし、保存期間が過ぎた場合でも、他の証拠を提出することで給付金の申請が可能になることがあります。。
C型肝炎を放っておくとどうなる？
C型肝炎を放置すると、慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行するリスクがあります。早期発見・早期治療が重要であり、適切な治療を受けることで症状の進行を防ぐことができます。
まとめ
C型肝炎給付金は、フィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤の投与でC型肝炎ウイルスに感染した方々を支援する制度です。
1994年までにこれらの製剤を投与された方が対象で、請求期限は2028年1月17日まで延長されています。
給付金の金額は、慢性C型肝炎や肝硬変、肝がんの進行度に応じて4000万円から1200万円まで異なります。
給付金の請求にはカルテや医師の診断書が必要で、カルテが無い場合は診断書や主治医の証言、医師意見書が代替書類として利用されます。
C型肝炎給付金請求訴訟で、カルテが無くてお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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