外傷性頚部症候群は、痛みやしびれが長期間続くこともありますが、後遺障害が非該当となるケースも少なくありません。
しかし、非該当=終わりではなく、原因を正しく把握して必要な医証を整えることで、後遺障害の等級変更が認められる可能性は十分にあります。
実際、自賠責保険の判断は提出資料の内容に大きく左右されるため、適切な手順を踏めば、後遺障害認定結果が変わることも珍しくありません。
本記事では、外傷性頚部症候群が非該当になる原因、等級変更が認められるための条件や重要なポイントを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/12/14
Table of Contents
- 1 外傷性頚部症候群の後遺障害を等級変更するには?
- 2 外傷性頚部症候群の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
- 3 外傷性頚部症候群の後遺障害が非該当でよくある質問
- 3.1 頚椎のMRIで異常がなくても等級が取れるケースはあるのでしょうか?
- 3.2 痛みやしびれが続いているのに認定されなかったのはおかしくないですか?
- 3.3 主治医に追加の診断書をお願いしたいのですが、どのように頼めば良いですか?
- 3.4 可動域制限を理由に等級を狙う場合、どんな検査方法が必要ですか?
- 3.5 後遺障害診断書のどの部分が特に重要で、どこが修正ポイントになりますか?
- 3.6 異議申し立てにはどんな追加資料を準備すれば効果的ですか?
- 3.7 初回申請で非該当になった理由はどこを見れば分かりますか? 医師の所見が原因でしょうか?
- 3.8 事故の衝撃が小さいと非該当になるのか
- 3.9 非該当から14級への等級変更の確率は?
- 3.10 6ヶ月未満の治療期間で認定されるか
- 4 まとめ
- 5 関連ページ
- 6 資料・サンプルを無料ダウンロード
外傷性頚部症候群の後遺障害を等級変更するには?
外傷性頚部症候群が非該当になる6つの原因
外傷性頚部症候群が非該当と判断される典型例として、以下のような原因が挙げられます。
- 画像上の異常所見がない
- 治療経過や症状経過に一貫性がない
- 症状固定までの期間が6ヶ月に満たない
- 後遺障害診断書の記載内容が不十分
- 事故態様が軽微
- 「肩こり」などの後遺障害対象外の症状
いずれも「医学的な説明可能性」が弱いと評価されることに通じるため、初回申請時から意識して医証を整えることが重要です。
<参考>
外傷性頚部症候群が後遺障害認定されない理由は?対処法も解説|交通事故
非該当となった原因を調査する
非該当から等級変更を目指すには、まず自賠責保険から届く等級認定結果通知書に記載された非該当理由を丁寧に読み解くことが出発点です。
代表的な指摘は、「外傷性の異常所見がない」「治療経過に一貫性がない」「事故態様からは重い後遺症は想定しがたい」といったものです。
これらを医学資料と照らし合わせて、どの点が立証不足であったのかを分析することで、異議申し立てで補強すべきポイントが明確になります。

後遺障害の認定基準を満たすための医証を集める
外傷性頚部症候群で等級変更を狙う際は、自賠責保険の後遺障害認定基準に沿って、新たな医証を収集することが重要です。
具体的には、MRI検査での神経圧迫所見、スパーリングテストなどの神経学的検査所見、治療経過の連続性を示す診療録などを整理します。
さらに、医師意見書や画像鑑定報告書を活用して、症状と画像・検査所見の整合性を専門的に証明することで、後遺障害認定基準を満たします。
<参考>
自賠責保険に異議申し立てする
後遺障害が非該当または想定より低い等級の場合、損害保険料算出機構に対して異議申し立てを行うことで、等級変更を目指すことができます。
異議申し立てでは、新たな診断書や画像検査、医師意見書、画像鑑定報告書などを提出して、前回審査で不足していた医学的根拠を補強します。
一度認定された後遺障害等級が、異議申し立てで下がることは通常ないとされるため、慎重に準備しつつも積極的に活用すべき手段です。
尚、外傷性頚部症候群が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
外傷性頚部症候群の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
裁判をおこす
異議申し立てでも等級変更が認められない場合、訴訟を提起して後遺障害の存否や等級相当性を裁判所に判断してもらう選択肢があります。
裁判では、自賠責保険の後遺障害認定基準にはとらわれずに、実際の被害者の後遺症の状態が判断されます。
自賠責保険で非該当とされた事案でも、裁判では証拠の出し方で結果が変わる可能性があります。
外傷性頚部症候群の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
弁護士向け専門サポート
弊社では、交通事故で受傷した外傷性頚部症候群の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

外傷性頚部症候群の後遺障害が非該当でよくある質問
頚椎のMRIで異常がなくても等級が取れるケースはあるのでしょうか?
外傷性頚部症候群では、MRIなどの画像検査で明らかな異常が映らなくても、14級9号が認定されるケースがあります。
その場合、事故態様、症状の一貫した経過、神経学的検査など、画像検査以外の医証で評価されることがポイントです。
一方、画像所見が全くない場合は認定ハードルが高くなるため、可能な範囲で、症状を医学的に説明できる材料を増やすことが望ましいです。
痛みやしびれが続いているのに認定されなかったのはおかしくないですか?
痛みやしびれが強く続いても、自賠責保険の審査では「医学的に説明できるか」「症状経過に一貫性があるか」という客観的要素が重視されます。
画像所見や身体所見が乏しい、受診間隔があいている、症状に一貫性がないと評価されると、症状自体は事実でも非該当とされます。
そのため、「おかしい」と感じた場合には、非該当理由を分析して、不足している医証を整えたうえで、異議申し立てを検討することが重要です。
主治医に追加の診断書をお願いしたいのですが、どのように頼めば良いですか?
主治医に追加の診断書を依頼する際は、症状と検査所見の関係を詳しく説明してほしいなど、具体的に伝えることが大切です。
例えば、症状の部位・程度、後遺障害認定基準で重視されるポイントを整理したメモやフォームを渡すと、医師も書きやすくなります。
可動域制限を理由に等級を狙う場合、どんな検査方法が必要ですか?
外傷性頚部症候群では、頚椎の可動域制限が後遺障害に認定される可能性はありません。
後遺障害診断書のどの部分が特に重要で、どこが修正ポイントになりますか?
外傷性頚部症候群の等級変更を狙う場合、後遺障害診断書では以下の記載内容が特に重視されます。
- 症状の内容と部位
- 神経学的所見
- 画像所見
- 障害内容の増悪・緩解の見通し
修正ポイントとしては、後遺障害の対象にならない症状(例:首がだるい)を、頚部痛などの具体的な症状に修正してもらうよう依頼します。
また、画像検査の結果を一律に「異常なし」とせず、変性所見などがあれば適宜記載してもらいましょう。
異議申し立てにはどんな追加資料を準備すれば効果的ですか?
異議申し立てで等級変更を狙う際は、後遺障害認定基準で不足している点を補う、新たな医証を提出することが効果的です。
具体的には、追加のMRI検査や新たな診断書、医師意見書、画像鑑定報告書などが挙げられます。
これらを通じて、非該当理由で指摘された弱点を一つずつ潰していくことが、異議申し立て成功の鍵となります。
初回申請で非該当になった理由はどこを見れば分かりますか? 医師の所見が原因でしょうか?
初回申請の非該当理由は、自賠責保険から送付される等級認定結果通知書に記載されています。
そこに「外傷性の異常所見がない」「症状の経過を鑑みると後遺障害に該当しない」などの趣旨が簡潔に示されています。
多くの事案では、画像検査の結果、診断書の記載内容、事故態様、治療経過など、全体を通じた「立証不足」が原因となっています。
もっとも、診断書に症状の記載が乏しい、神経学的所見が十分に書かれていないといった点がマイナスに働くこともあります。
このため、非該当理由を踏まえて主治医と相談して、必要な補足資料や修正を行うことが望まれます。
事故の衝撃が小さいと非該当になるのか
事故の衝撃が比較的小さい場合、自賠責審査では「この程度の衝撃で後遺症が残るとは考えにくい」と評価されて非該当になりやすいです。
ただし、物損状況、被害者の体位、既往症の有無、経過などを総合的に評価されるため、軽微な物損は必ず非該当というわけではありません。
非該当から14級への等級変更の確率は?
外傷性頚部症候群の後遺障害認定自体が全体で約5%程度とされ、そのうち14級9号が大多数を占めるといわれています。
一般的に、後遺障害の異議申し立てが認められて、等級が変更される全国平均の成功率は、約10%程度とされています。
6ヶ月未満の治療期間で認定されるか
外傷性頚部症候群では、6ヶ月未満で打ち切られた場合は、後遺障害が非該当とされやすい傾向があります。
弊社の経験では、6ヶ月に数日届かない程度であれば問題ないケースが多いですが、2週間足りない事案は非該当率が極めて高くなります。
まとめ
外傷性頚部症候群が非該当となる主な原因は、画像所見に乏しい、通院頻度の不足、事故が軽微など、医学的説明が不足している点にあります。
等級変更を目指すには、まず非該当理由を確認して、画像所見や診療録などを整理して、認定基準に沿った医証を補強することが重要です。
異議申し立てでは認定基準に不足する点を医学的資料で丁寧に補い、それでも認定されない場合は裁判で実際の後遺症を主張する道もあります。
外傷性頚部症候群の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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