交通事故で足関節骨折を負い、後遺症が残ったにもかかわらず、後遺障害に認定されないケースは少なくありません。
こうした際に有効なのが「画像鑑定」です。画像鑑定は、各科の専門医が画像検査を詳しく分析して、後遺症の医学的根拠を補強する報告書です。
本記事では、足関節骨折における画像鑑定の意義、取得方法、活用法、さらに医師意見書との使い分けまでを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/11/15
Table of Contents
- 1 足関節骨折で画像鑑定が必要な背景
- 2 足関節骨折の画像鑑定を活用する方法
- 3 足関節骨折の画像鑑定を入手する流れと準備
- 4 弁護士が押さえるべき足関節骨折の画像鑑定の活用術
- 5 足関節骨折の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
- 6 足関節骨折の画像鑑定でよくある質問
- 6.1 足関節骨折の画像鑑定では、どのような画像(X線・CT・MRI)が必要ですか?
- 6.2 骨折の癒合状態や関節面の変形は、画像鑑定でどの程度詳しく評価できますか?
- 6.3 医師の診断書と画像鑑定の結果が異なる場合、どちらが重視されますか?
- 6.4 画像鑑定で「変形癒合」や「関節面の不整」が確認できれば、後遺障害等級に影響しますか?
- 6.5 手術後(プレートやスクリュー固定後)でも、画像鑑定は有効ですか?
- 6.6 画像鑑定で「可動域制限」の原因を特定できますか?
- 6.7 事故前の変性(関節症)と事故による損傷は、画像で区別できますか?
- 6.8 鑑定医はどのような専門分野の医師が担当しますか?(整形外科・放射線科など)
- 6.9 画像鑑定を行う際、診療情報提供書や手術記録も提出すべきですか?
- 6.10 どの画像検査(CT/MRI/レントゲン)が判断に有利か?
- 7 まとめ
- 8 関連ページ
- 9 資料・サンプルを無料ダウンロード
足関節骨折で画像鑑定が必要な背景
足関節骨折の後遺障害が非該当になる主な原因
足関節骨折で後遺障害に認定されない理由として最も多いのが、「骨癒合良好」とされて非該当になるケースです。
実際には、骨が癒合していても、足関節の可動域制限や痛みが残ることは珍しくありません。
また、「画像所見が不明瞭」「事故と因果関係が無い」といった理由で非該当となることも多いです。
また、関節内骨折で関節面に不整が残っている場合でも、診断書にしっかり記載されていなければ、後遺障害に認定されにくい傾向にあります。
<参考>
足首骨折(足関節脱臼骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
画像鑑定とは何か?
画像鑑定とは、各科の専門医が、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査を詳細に分析して、後遺症と整合する異常所見の有無をまとめた報告書です。
画像鑑定の目的は、診断書だけでは満たすことができない、後遺障害認定基準の医学的根拠を示すことにあります。
整形外科や脳神経外科などの各科の専門医が、第三者的な視点から画像検査を読影するため、後遺障害認定の審査で重視されます。
交通事故や労災事故で画像鑑定が持つ影響力
画像鑑定は、異議申し立てや裁判において、後遺症の存在を画像所見で裏付ける強力な証拠となります。
後遺障害認定では、自覚症状だけでなく客観的な医学的根拠が求められるため、専門医による画像鑑定は審査を有利に進める要素となります。
特に、足関節骨折では、関節面の段差、変形治癒、骨癒合不全などの所見を明確に示すことが、後遺障害認定の鍵となります。
画像鑑定に含まれる具体的な評価項目
足関節骨折の画像鑑定には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- ポイントとなる画像
- レントゲン、CT、MRIなどの所見
- 画像所見と後遺症の関連性
- 整形外科専門医による総括
これら以外にも、画像所見が足関節骨折の後遺障害認定基準を満たしていることをコメントするケースもあります。

足関節骨折の画像鑑定を活用する方法
異議申し立てで後遺症の医学的根拠を示す
非該当や想定より低い等級認定に対して異議申し立てを行う際、画像鑑定は後遺症の存在を医学的に証明する補強資料となります。
整形外科専門医が各種の画像検査を詳細に評価して、骨折部の癒合状態、関節面の不整、可動域制限の原因となる可能性を詳しく解説します。
画像所見が、足関節骨折の後遺障害認定基準を満たしていることを、専門医が証明することで、異議申し立て成功の可能性が高まります。
訴訟で後遺症の存在を立証する資料として活用
裁判では、後遺症の存在や程度、足関節骨折と後遺症との因果関係などが争点になりやすいです。
画像鑑定では、画像上での関節面の段差、骨硬化、変形治癒などを示して、後遺症の存在や事故との因果関係を解説できるケースが多いです。
画像所見が争点になっている事案では、画像鑑定は当方の主張を裏付ける重要な医学的証拠になります。
<参考>
【日経メディカル】医療鑑定の後遺障害認定における位置付けは?
足関節骨折の画像鑑定を入手する流れと準備
依頼から受け取りまでの手順
足関節骨折の画像鑑定の取得には、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
尚、弊社では、画像所見の有無を無料で判定する簡易読影を実施しています。画像所見が無い可能性があっても、安心してご依頼いただけます。
ただし、無料の簡易読影で所見があっても、そのまま画像鑑定に進むことはお勧めできません。画像所見は認定基準の一部に過ぎないからです。
足関節骨折の画像鑑定が有効かを判断するために、等級スクリーニング®で後遺障害に認定される可能性について分析することをお勧めしています。
無料簡易読影や等級スクリーニングの結果で画像鑑定に進む場合には、見積金額の了承から約3週間で初稿(画像鑑定報告書案)が提出されます。
足関節骨折の画像鑑定報告書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に画像鑑定の原本が発送される流れが一般的です。
画像鑑定の作成に必要な医療資料
足関節骨折の異議申し立てで使用する画像鑑定の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 交通事故証明書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
画像鑑定の作成に必要な資料の受け渡しは、オンラインストレージ(無料)もしくは郵送となります。
弊社では、安全性や利便性から、オンラインストレージの利用を強く推奨しています。
ご依頼の際には、無料で利用できるオンラインストレージの使用方法を、簡単にご説明させていただきます。
画像鑑定費用の相場
概要 | 価格 |
基本料金(通常) | 8.8万円 |
基本料金(単純) | 7万円 |
基本料金(複雑) | 12.8万円 |
訴訟加算 | 2万円 |
多部位加算(3部位以上) | 1万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
電子化加算 | 5,000円 |
顧問契約有り | -1万円 |
画像鑑定報告書の作成にかかる費用は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 画像検査の分量
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 納品時期
- 電子データではない事案
整形外科領域における一般的な事案では、7~8万円台の料金負担で、各領域の専門医による画像鑑定報告書の作成が可能です。
弊社の画像鑑定作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定が完成するまでの期間
足関節骨折の画像鑑定を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には3週間ほどで初稿(画像鑑定報告書案)が納品されます。
画像鑑定報告書案への修正依頼に、整形外科専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
弁護士が押さえるべき足関節骨折の画像鑑定の活用術
足関節骨折で後遺障害認定されるポイント
足関節骨折で後遺障害認定を目指すには、自覚症状だけでなく、客観的な医学的な裏づけが不可欠です。
足関節骨折の画像鑑定によって、後遺症の客観的証拠が補強されると、後遺障害認定の審査が有利に働きやすいです。
一方、足関節骨折の後遺障害に認定されるためには、画像所見だけではなく、以下の後遺障害認定基準を全て満たす必要があります。
- 足関節骨折と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
すべての後遺障害認定基準を満たしている足関節骨折の事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの認定基準が存在します。
画像鑑定の価値は、足関節骨折の後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、画像鑑定を受任する医療鑑定会社が、足関節骨折の後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
足関節骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
足首骨折(足関節脱臼骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
医師意見書と画像鑑定をどう使い分けるか
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であるのに対して、医師意見書は「画像検査も含めた総合的な後遺症の評価」を実施します。
足関節骨折の後遺障害が非該当になった原因が、画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
足関節骨折の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
弁護士向けサービスの詳細
弊社では、交通事故で受傷した、足関節骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
足関節骨折の後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、足関節骨折の画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者向けのサポート内容
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、足関節骨折の後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

足関節骨折の画像鑑定でよくある質問
足関節骨折の画像鑑定では、どのような画像(X線・CT・MRI)が必要ですか?
足関節骨折の画像鑑定では、レントゲン検査が基本になります。一方、足関節骨折の詳細な評価には、CT検査が有効です。
CT検査はレントゲンよりも骨折部を詳細に描出でき、3次元的な評価も可能なため、治療だけでなく後遺障害認定でも必要な検査です。
MRI検査は、新鮮骨折か陳旧性骨折かや、軟部組織損傷の評価に有用です。画像鑑定では、これらの画像を組み合わせて総合的に評価します。
骨折の癒合状態や関節面の変形は、画像鑑定でどの程度詳しく評価できますか?
整形外科専門医が、CT検査の矢状断、前額断、冠状断の3方向再構成像を用いて、関節面の段差や不整、骨折部の癒合状態を詳しく評価できます。
特に、関節内骨折では、関節面の段差が将来的な変形性関節症の原因となるため、画像鑑定で正確に評価することが重要です。
医師の診断書と画像鑑定の結果が異なる場合、どちらが重視されますか?
画像鑑定は、専門医が後遺障害認定基準に準拠して評価するため、診断書より詳細で客観的な内容となる傾向にあります。
ただし、画像鑑定だけでは臨床診断が欠けるため、主治医の診断書と画像鑑定を組み合わせることで、より説得力のある証拠となります。
画像鑑定で「変形癒合」や「関節面の不整」が確認できれば、後遺障害等級に影響しますか?
はい、大きく影響します。変形癒合や関節面の不整は、可動域制限や痛みの原因となる器質的損傷として評価されます。
これらの所見が画像鑑定で明確に示されれば、後遺障害認定基準を満たす客観的証拠となり、適切な後遺障害認定につながる可能性が高まります。
手術後(プレートやスクリュー固定後)でも、画像鑑定は有効ですか?
有効です。プレートやスクリュー固定後でも、関節面の段差、骨癒合の状態、関節可動域制限の原因などは画像検査で評価できます。
むしろ、手術記録と画像所見を照合することで、より詳細な評価が可能になります。
画像鑑定では、金属製(チタン製)の内固定材料の影響を考慮しながら、後遺症の原因を医学的に解説します。
画像鑑定で「可動域制限」の原因を特定できますか?
特定できます。足関節の可動域制限は、関節面の不整、軟部組織の癒着、ギプス固定による筋肉や靭帯の拘縮など、複数の原因があります。
画像鑑定では、関節面の不整から評価して、可動域制限が事故による器質的損傷に起因することを医学的に証明します。
尚、軟部組織の癒着やギプス固定による筋肉や靭帯の拘縮は、診療録から治療経過を抜粋して、医師意見書で蓋然性を主張する必要があります。
事故前の変性(関節症)と事故による損傷は、画像で区別できますか?
はい、区別できます。MRI検査では、新鮮骨折か陳旧性骨折かを判別できるため、事故による損傷か加齢性変化かの区別が可能です。
また、事故直後からの画像所見の経時的な変化を追跡することで、事故との因果関係を証明できます。
鑑定医はどのような専門分野の医師が担当しますか?(整形外科・放射線科など)
足関節骨折の場合、整形外科専門医や足の外科専門医が担当します。これらの医師は、臨床経験が豊富です。
放射線科専門医が担当する場合もありますが、整形外科の臨床的な視点が重要なため、整形外科専門医による画像鑑定が望ましいとされています。
画像鑑定を行う際、診療情報提供書や手術記録も提出すべきですか?
はい、提出すべきです。診療情報提供書や手術記録は、画像所見を臨床経過と照合するために重要な資料です。
これらの資料があることで、画像鑑定の信頼性が高まり、より詳細で説得力のある報告書が作成できます。
どの画像検査(CT/MRI/レントゲン)が判断に有利か?
骨折の評価にはCT検査が最も有利です。CT検査は骨折の形状や関節面の段差を3次元的に評価できるため、後遺障害認定で重視されます。
MRI検査は新鮮骨折や軟部組織の評価に優れています。レントゲンは基本的検査ですが、微細な骨折や関節面の不整は見落とされやすいです。
まとめ
足関節骨折では、骨癒合が良好でも痛みや可動域制限が残ることが多く、診断書だけでは後遺障害が非該当となる例が少なくありません。
画像鑑定は、レントゲン・CT・MRIを専門医が分析して、後遺症を裏付ける医学的根拠を示す重要な資料です。
特に関節面の段差や変形治癒などを明確に示すことで、異議申し立てや裁判で強力な証拠となります。
後遺障害認定では、自覚症状に加え客観的な画像所見が欠かせず、画像鑑定は後遺障害認定成功の鍵を握る手段といえます。
足関節骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。







