交通事故でケガを負い、通院が15日以上に及ぶと、慰謝料や治療費の負担、後遺障害の認定など、さまざまな問題が気になってくるはずです。
「このまま通院を続けて慰謝料は増えるの?」「治療費はいつまで補償されるの?」「障害等級は関係あるの?」など、分からないことが多く、不安を感じている方も少なくないでしょう。
本記事では、事故後に通院が15日を超えた場合の慰謝料の相場や計算基準、等級認定や治療費の扱いなど、知っておきたい重要な情報を分かりやすく解説しています。
損をしないためにも、正しい知識を身に着けておきましょう。
最終更新日: 2025/7/1
Table of Contents
通院15日以上で受けられる事故の慰謝料相場
通院日数が15日のケース
実際に通院した日数が15日であれば、自賠責保険基準では「通院期間×4,300円」と「(実通院日数×2)×4,300円」を比較して、少ない方の算定が適用されます。
例えば通院期間が45日、実通院日数が15日のときは「(実通院日数×2)×4,300円」が適応されて、12万9,000円となります。
一方、弁護士基準(裁判基準)では、軽傷なら通院1か月で19万円、2か月で36万円、3か月で53万円と、期間に応じた相場が設定されています。
弁護士基準では主に通院期間が重視されますが、実通院日数が極端に少ない場合は減額されることもあります。
通院期間が15日のケース
通院期間が15日間に及ぶが実通院日数は少ないケースでは、自賠責基準で1万7,200円~6万4,500円(実通院日数による)、弁護士基準では軽傷で約9万5,000円、重傷で約14万円が目安となります。
たとえ通院日数が2~4日の軽傷であっても、弁護士基準による請求では約95,000円が認められる一方、自賠責基準での補償は大幅に低くなるため、大きな差が生じます。
慰謝料の計算方法
自賠責基準
自賠責基準では、入通院慰謝料は1日につき4,300円(2020年4月以降の事故)で計算されます。
対象日数は「治療期間」と「実通院日数×2」のうち少ない方を適用します。
たとえば治療期間60日で実通院日数25日の場合、対象日数は50日となり慰謝料は215,000円となります。
また、総支払限度額は、傷害+治療費+休業損害などを含めて120万円です。
弁護士基準
弁護士(裁判基準)は過去判例に基づき、慰謝料相場が大幅に引き上げられます。
軽傷の通院では通院1ヶ月で約19万円、3ヶ月で約53万円、重傷なら通院3ヶ月で約73万円、6ヶ月で約116万円が目安です(入院の場合はさらに高額)。
保険会社提示額の2~3倍になるケースもあり、示談交渉では非常に有利になります。
有利な弁護士基準(裁判基準)を目指そう
弁護士基準(裁判基準)で請求するには、まず弁護士への依頼が必要です。
任意保険会社の基準では補償が限られますが、弁護士基準では過去判例をもとに妥当な相場を主張できます。
結果的に自己負担や過小請求を防ぎ、示談交渉がスムーズで納得のいく金額獲得につながります。
15日以上の通院をお勧めできない理由
自賠責基準では15日で慰謝料は最大になる
自賠責保険の基準では、1ヶ月あたりの実通院日数が15日以上になると、それ以上通院しても追加慰謝料は発生せず“頭打ち”となります。
例えば、通院が10日で43,000円→15日で129,000円に達し、それ以上の通院は4,300円×15日の同額に固定されます。つまり、経済的には「月15日」が換金上限の日数となるわけです。
弁護士基準では慰謝料減額の可能性あり
弁護士基準では通院期間の長さが慰謝料に影響しますが、実通院日数が少ないケースでは減額されるリスクがあります。
特に「通院はしているが頻度が低い」「間隔が空きすぎ」という印象を与えると、法廷では“常識的な治療実績”が認められず、慰謝料が下がる可能性があると指摘されています。
通院15日以上は一括対応打ち切りリスクを高める
通院期間が長期化すると、保険会社が治療費の支払いを打ち切る場合があります。
一括対応打ち切りは、通院日数に限らず、治療の必要性や症状の経過によって判断されます。
一括対応が打ち切られると、以降の費用は立替えて後日の請求が必要になり、精神的・金銭的な負担が増す可能性があります。
治療費が自己負担になる可能性がある
保険会社の判断で治療費の支払いが終了すると、被害者はやむを得ず自己負担で治療を続けなければならず、経済的に大きな負担となります。
後日請求に向けて医師の診断書や治療記録を保全する必要がありますが、一時的な立替費用の負担は避けられません。
交通事故で望ましい通院日数は?
「通院の理想」は月10日程度とされることが多いです。このペースであれば自賠責基準でも弁護士基準でも適正な慰謝料を得やすく、治療費打ち切りのリスクも低くなります。
「通院15日以上=過剰通院」と判断されやすいため、医師の指示を重視しつつ合理的な頻度が望ましいとされています。
尚、通院頻度や期間は、医師の指示や症状の経過に基づき適切に判断する必要があります。慰謝料を目的として通院日数を調整することは推奨されません。
弁護士基準で適正な慰謝料を得るポイント
通院期間が重要
弁護士基準では、実際の通院日数よりも“通院期間”(治療開始~終了まで)が慰謝料の算定に重視されます。
通院期間が長ければ高額な慰謝料への道が開かれ、自賠責や任意基準より有利です。
ただし治療期間中は、通院の頻度があまりにも少ないと、その期間が通算されず、慰謝料の減額が生じる可能性があります。
少なすぎる通院日数は慰謝料が減額される
通院期間が長くても、月10日以下など実際の通院頻度が低いと、弁護士基準でも減額リスクがあります。
具体的には“1ヶ月あたりの通院回数が著しく少ない”と、積極的治療がなかったと見なされて、慰謝料算定で実通院日の3~3.5倍を期間とされるため注意が必要です。
過失割合の交渉が重要
事故の損害賠償では慰謝料に加え「過失割合」も賠償額に影響します。過失割合が高いほど賠償額は減りますが、弁護士による交渉で適正な割合へ修正が可能です。
弁護士は判例や事案の状況をもとに相手保険との交渉を行い、有利な割合を勝ち取ることで慰謝料も含めた全体額を増やせます。
自賠責保険の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷したケガの後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
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画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
自賠責保険の後遺障害認定でお悩みの患者さんへ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では労災事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
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事故の通院15日以上でよくある質問
通院日数を増やすほど慰謝料は増える?
自賠責基準では「実通院日数×2」か「治療期間」の少ない方×4,300円が慰謝料の計算式となります。
このような方式のため、通院日数が少な過ぎると慰謝料が制限され、通院を増やし過ぎても額が伸びないケースがあります。
また、弁護士基準では通院期間で算定されるため、通院日数を稼いでも補償に限度があることに注意が必要です。
20日通院の慰謝料はいくらですか?
通院20日の場合、自賠責基準では「40日×4,300円」で約129,000円となります。一方、弁護士基準では軽傷で約190,000円、重傷で約280,000円が目安となります。
弁護士基準を用いることで、自賠責基準よりかなり高額な保険金を得る見込みがあります。
事故の通院はいつまで続きますか?
通院期間は医師の診断と経過次第ですが、「治癒」または医学的に改善の見込めない「症状固定」に達するまでです。
それ以降の通院は「治療期間」に含まれず、入通院慰謝料の算定から除外されます。その後、後遺障害が認定されれば別途後遺障害慰謝料が請求可能です。
むちうちの通院費が120万円を超えたらどうなる?
むちうちで治療費や慰謝料など合計が120万円を超えても、自賠責保険の支払いはそこまでです。
超過分は、加害者の任意保険か加害者本人の負担となり、任意保険に未加入の場合は被害者が直接請求する必要があります。
交通事故で45日通院したら慰謝料はいくらですか?
通院45日のケースでは、自賠責基準では「90日×4,300円」で約387,000円が上限です。
弁護士基準では軽傷で約530,000円、重傷で約730,000円と大幅に高くなります。この違いが示談交渉の成否に影響します。
10対0事故でむちうち3ヶ月で示談金はいくらくらい?
10対0事故でむちうち通院3ヶ月の場合、自賠責基準では「45日×2=90日」で約387,000円で、弁護士基準なら軽傷53万円、重傷73万円程度が相場です。
10対0の明らかな無過失であれば、これらの基準に則った示談が期待できます。
事故で通院すると慰謝料は1日単位でもらえる?
慰謝料は1日単位で算出され「1日=4,300円(自賠責)」として扱われます。
ただし、自賠責基準では通院日数×2または通院期間の少ない方が「日数」として認定されるため、実際に通った日数そのままは反映されないケースもあります。
まとめ
交通事故の慰謝料は、自賠責基準では「通院日数×2」または「通院期間」の少ない方に4,300円をかけて計算され、15日で約13万円が上限となるケースが多いです。
一方、弁護士基準では通院期間に基づいて計算され、軽傷でも1か月で約19万円、3か月で約53万円と大幅に高くなります。
ただし、実際の通院頻度が少ないと減額の可能性も。適切な通院と弁護士の活用が重要です。
自賠責の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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