B型肝炎給付金制度について調べている方の中には、「自分は感染していないけれど、給付金の対象になるのか知りたい」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
特に、無症状で自覚がない場合でも、制度の恩恵を受けられるのか気になるところです。本記事では、B型肝炎給付金制度の詳細や、無症候性キャリアの方が対象になる可能性について、分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/1/17
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B型肝炎の無症候性キャリアは「感染してない」のではない!
無症候性キャリアはウイルスが潜伏した状態
B型肝炎ウイルス(HBV)に感染しても、症状が現れないままウイルスが体内に存在し続ける状態を「無症候性キャリア」と呼びます。
この状態では、B型肝炎ウイルスは肝細胞内に潜伏して、免疫系の攻撃を受けにくいため、感染者には自覚症状がありません。
しかし、B型肝炎ウイルスは体内で活動を続けており、将来的に肝炎を発症するリスクがあります。
慢性肝炎や肝硬変になる可能性がある
無症候性キャリアの方の約10~15%が、将来的に慢性肝炎を発症する可能性があります。これは、免疫系がウイルスを排除しようとする過程で、肝細胞が損傷を受けるためです。
慢性肝炎が進行すると、肝硬変や肝がんに至るリスクも高まります。そのため、無症候性キャリアであっても、定期的な検査と医師の指導の下で健康管理を行うことが重要です。
B型肝炎給付金は無症候性キャリアでも請求できる?
無症候性キャリアで貰える給付金
B型肝炎ウイルスに感染しているものの、症状が現れていない「無症候性キャリア」の方でも、給付金を請求することが可能です。
給付金の額は、感染からの経過期間に応じて異なります。具体的には、感染から20年未満の場合は600万円、20年以上経過している場合は50万円が支給されます。
無症候性キャリアでも請求するべき理由
無症候性キャリアの方が給付金を請求すべき理由は、以下の点にあります。
1. 肝炎が悪化するリスク
症状がない状態でも、将来的に慢性肝炎や肝硬変、肝がんなどの重篤な疾患に進行するリスクが存在します。
2. 給付金で治療できる
給付金を受け取ることで、定期的な検査や早期治療の費用に充てることができ、健康管理に役立てることが可能です。
3. 給付金の請求には時効がある
給付金の請求には時効があり、特に感染から20年を超えると支給額が大幅に減少するため、早めの手続きが重要です。
B型肝炎給付金制度とは
B型肝炎給付金の概要
B型肝炎給付金制度は、過去の集団予防接種における注射器の使い回しによりB型肝炎ウイルス(HBV)に感染した方々を救済するための制度です。
この制度では、HBVに持続感染している方や、その相続人に対して給付金が支給されます。
給付金の対象者と条件
給付金の対象者は、以下の条件を満たす必要があります。
■ HBVに持続感染していること
6か月以上の間隔をあけた2回の検査でHBs抗原が陽性であること。
■ 集団予防接種等を受けたこと
満7歳になるまでに予防接種やツベルクリン反応検査を受けていること。
■ 母子感染でないこと
母子感染以外の経路で感染したこと。
■ 他の感染原因がないこと
集団予防接種以外の明確な感染原因がないこと。
給付金申請の手順と必要書類
給付金の申請手順は以下のとおりです。
1. 必要書類の収集
血液検査結果、母子健康手帳、予防接種台帳、医療記録(カルテ)などを準備します。
2. 訴訟の提起
国を相手に国家賠償請求訴訟を提起し、和解を目指します。
3. 和解成立後の給付金請求
和解が成立したら、社会保険診療報酬支払基金に給付金を請求します。
B型肝炎給付金の支給額とその範囲
給付金の支給額は、病態や感染からの経過期間に応じて異なります。
例えば、死亡・肝がん・肝硬変(重度)の場合は3,600万円、慢性B型肝炎の場合は1,250万円、無症候性キャリアの場合は600万円が支給されます。
ただし、感染から20年以上経過している場合は、支給額が減額されることがあります。
肝炎が悪化したら追加の給付金を貰える
病態が進行し、例えば慢性肝炎から肝硬変に悪化した場合、追加の給付金を請求することが可能です。
ただし、追加給付金の請求は、病態の進行を知った日から5年以内に行う必要があります。手続きは訴訟を経ずに行えるため、迅速に給付金を受け取ることができます。
B型肝炎給付金をもらえない一般的な理由
B型肝炎給付金訴訟では、母子手帳やカルテが残っていないケースが多いです。母子手帳やカルテがない状況でも、B型肝炎感染の因果関係を立証する必要があります。
この場合、医師による「医師意見書」が役立つ可能性があります。医師意見書では、過去の病歴を詳しく分析して、B型肝炎に罹患した根拠を示します。
尚、医師意見書を作成する医師は、B型肝炎の専門知識を持つ、日本肝臓学会認定専門医に依頼することが推奨されます。お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
<参考>
C型肝炎給付金とB型肝炎給付金の違い
C型肝炎給付金とB型肝炎給付金は、いずれも過去の医療行為による感染被害者を救済するための制度ですが、対象者や条件、支給額などにいくつかの違いがあります。
感染の原因
B型肝炎給付金
過去の集団予防接種で注射器の使い回しが原因でB型肝炎ウイルス(HBV)に感染した方を対象にしています。
C型肝炎給付金
主にフィブリノゲン製剤や血液凝固因子製剤といった特定の血液製剤の使用によりC型肝炎ウイルス(HCV)に感染した方を対象にしています。
給付金の対象者
B型肝炎給付金
HBVに持続感染している方、またはその遺族が対象です。ただし、母子感染など集団予防接種以外の原因の場合は対象外です。
C型肝炎給付金
感染が確認された方で、国が指定する特定の血液製剤の使用が証明できる場合が対象です。
給付金の支給額
B型肝炎給付金
病態や経過期間に応じて異なり、無症候性キャリアは最大600万円、慢性肝炎は1,250万円、死亡・肝がんなどは3,600万円が支給されます。
C型肝炎給付金
重篤度に応じて給付金が支払われ、例えば、死亡または肝がんの場合は最高4,000万円、慢性肝炎の場合は1,200万円が支給されます。
証明に必要な書類
B型肝炎給付金
医療記録、母子手帳、予防接種台帳などで集団予防接種との因果関係を証明します。
C型肝炎給付金
指定された血液製剤の使用を示す医療記録や証明書が必要です。
手続き方法
賠償請求訴訟を提起して、和解を成立させた後に給付金を申請します。
<参考>
C型肝炎給付金をもらえない人が取り組むべき対策|医師意見書
B型肝炎給付金でよくある質問
B型肝炎の給付金がもらえないケースは?
給付金が支給されない主なケースは以下のとおりです。
1. 生年月日が対象期間外
昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に生まれていない場合、集団予防接種の対象外とみなされることがあります。
2. 成人後の感染
成人してから感染した場合、集団予防接種以外の感染経路と判断され、給付金の対象外となることがあります。
3. 特定のウイルス型への感染
「ジェノタイプAe」という種類のウイルスに感染している場合、給付金の対象外となることがあります。
4. 集団予防接種以外での感染
母子感染や性行為、針刺し事故など、集団予防接種以外の明確な感染原因がある場合、給付金の対象外となることがあります。
B型肝炎給付金のデメリットは?
給付金申請自体に大きなデメリットはありませんが、以下の点に注意が必要です。
手続きの負担
申請には多くの書類準備や手続きが必要で、個人で行う場合、時間と労力がかかります。
検査費用の負担
申請に必要な医療検査の費用が自己負担となる場合があります。
まとめ
B型肝炎ウイルス(HBV)に感染しても症状がない「無症候性キャリア」でも、将来肝炎や肝硬変を発症するリスクがあります。感染者には、健康管理のため定期検査が重要です。
無症候性キャリアの方もB型肝炎給付金の対象で、申請期限を過ぎると支給額が減額されるため早期申請が推奨されます。
給付金は治療費や検査費用に充てられ、健康維持に役立ちます。また、悪化した場合には追加の給付金を受け取れる制度も整っています。
証明書類として母子手帳や医療機関の診療記録(カルテ)が重要ですが、母子手帳や古いカルテは存在しないことが多いため、医師意見書が代替となる場合があります。
B型肝炎給付金請求訴訟で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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