シュモール結節と圧迫骨折は、どちらも脊椎に関連する状態ですが、その原因や発生メカニズム、そして画像診断での見分け方には大きな違いがあります。
交通事故などの外的要因によって引き起こされることが多い圧迫骨折に対し、シュモール結節は主に加齢や遺伝的要因によるものです。
本記事では、シュモール結節と圧迫骨折の違いについて、詳しく解説しています。また、シュモール結節が後遺障害に認定される可能性についても触れています。
最終更新日: 2024/12/18
Table of Contents
シュモール結節(Schmorl結節)とは?
シュモール結節の定義と基本的な特徴
シュモール結節は、椎間板の髄核が椎体終板を越えて椎体内に突出する状態です。1928年にSchmorlによって初めて報告されました。
主に胸椎や腰椎に発生し、画像診断で偶然発見されることが多いです。多くの場合、無症状ですが、急速に発生した場合には疼痛を伴うことがあります。
シュモール結節の原因と発生メカニズム
シュモール結節の原因は、椎間板の髄核が椎体内に突出することです。シュモール結節の発生メカニズムには、以下のような原因が関与していると言われています。
加齢
椎間板の損傷や変性が進むことで、シュモール結節が発生しやすくなります。
過度の負荷
重い物を持ち上げたり、頻繁に重い運動を行うことで、椎間板に負荷がかかり、シュモール結節が発生することがあります。
遺伝的要因
一部の人々は、遺伝的な要因によりシュモール結節を発症しやすい傾向があります。
シュモール結節と圧迫骨折の違い
シュモール結節と圧迫骨折の原因の違い
シュモール結節は、椎間板の髄核が椎体内に突出する状態で、主に加齢や遺伝的要因、外傷、感染、骨粗鬆症などが原因です。
一方、圧迫骨折は、外的な力が椎体に加わることで発生します。交通事故や転倒などの外傷が主な原因です。
シュモール結節と圧迫骨折の症状の違い
シュモール結節は多くのケースで無症状ですが、急速に発生した場合には疼痛を伴うことがあります。
一方、圧迫骨折は、受傷時から強い腰痛や背部痛があります。体を動かすと激しい痛みが生じますが、安静時は痛みが軽減するのが特徴です。
画像診断におけるシュモール結節と圧迫骨折の見分け方
レントゲン検査
レントゲン検査では、シュモール結節は椎体内に髄核が突出している様子が確認できますが、急性期の場合は見逃されることがあります。
一方、圧迫骨折は受傷時から椎体の高さの減少や終板の陥凹として認識されるケースが多いです。
CT検査
CT検査では、シュモール結節は椎体内の骨透亮像として観察され、周囲に骨硬化が伴うことがあります。
一方、圧迫骨折では、椎体の変形や骨折線が比較的明瞭に映し出されます。
MRI検査
MRI検査は、シュモール結節の診断において最も有用です。椎間板から椎体内に髄核が入り込む様子や、急性期には浮腫や炎症を反映した信号変化が見られます。
圧迫骨折では、骨髄浮腫がT1強調像で低信号、T2強調像で高信号として現れます。
シュモール結節の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
シュモール結節を圧迫骨折と誤診している事案が多い
整形外科医にとって、シュモール結節は珍しくありませんが。しかし、交通事故などの外傷では、しばしば圧迫骨折と誤診されます。
シュモール結節は胸椎や腰椎に多いですが、特に胸椎ではレントゲン検査で肋骨が重なりやすいため、両者の鑑別が難しいケースがあります。
交通事故という外傷後に背部や腰が痛くて、レントゲン検査で椎体が変形していると、シュモール結節を圧迫骨折と誤診するのも仕方ない面があります。
CT検査やMRI検査を施行すれば、シュモール結節と圧迫骨折を鑑別できます。しかし、開業医では、これらの検査を依頼しにくいのが実情です。
また、CT検査やMRI検査においても、時間が経過すると、圧迫骨折とシュモール結節の鑑別が難しくなるケースがあります。
<参考>
【日経メディカル】「いつの間にか骨折」悪化と判断され慰謝料が減額?!
シュモール結節では14級9号が上限
シュモール結節は、外傷を契機に発症する可能性を完全には否定できません。しかし、多くのシュモール結節は、交通事故とは関係の無い私病です。
仮に、交通事故を契機に発症した有痛性のシュモール結節と判断されても、後遺障害等級は14級9号が上限になります。
シュモール結節と圧迫骨折の鑑別は争点になりやすい
シュモール結節は比較的よく見られる病態のため、圧迫骨折との鑑別が問題になりやすいです。
弊社でも、シュモール結節と圧迫骨折の鑑別が争点になった事案をたくさん取り扱ってきました。
被害者側、保険会社側とも数多く経験していますが、必ずしもシュモール結節を圧迫骨折と誤診した事案ばかりではありません。
圧迫骨折の可能性が高いにもかかわらず、強硬にシュモール結節であると主張している事案も散見されます。
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シュモール結節と圧迫骨折の鑑別で弊社ができること
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<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
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<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
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<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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シュモール結節と圧迫骨折の違いでよくある質問
圧迫骨折かどうか確かめる方法は?
圧迫骨折を確かめるためには、まずレントゲン検査が一般的です。レントゲンでは椎体の高さの減少や変形が確認できます。
さらに、CT検査やMRI検査を行うことで、骨折の詳細な状態や骨髄浮腫の有無を確認できます。特にMRI検査は、急性期の骨折や骨髄浮腫の診断に有効です。
椎体辺縁分離とは?
椎体辺縁分離は、椎体の辺縁部分が分離する状態を指します。これは、外傷や過度の負荷が原因で発生することが多く、特にスポーツ選手に多く見られます。
症状としては、腰痛や背中の痛みが一般的です。診断にはレントゲンやCT検査が用いられます。
脊椎血管腫とは何ですか?
脊椎血管腫は、脊椎に発生する良性の血管腫瘍です。通常は無症状で、偶然の画像診断で発見されることが多いです。
しかし、まれに大きくなり脊髄や神経を圧迫することで痛みや神経症状を引き起こすことがあります。診断にはMRIが有効で、治療は症状に応じて行われます。
シュモール結節と圧迫骨折の違いのまとめ
シュモール結節とは、椎間板の髄核が椎体終板を越えて椎体内に突出する状態です。1928年にSchmorlによって初めて報告されました。
主に胸椎や腰椎に発生し、画像診断で偶然発見されることが多いです。多くの場合、無症状ですが、急速に発生した場合には疼痛を伴うことがあります。
原因としては、加齢による椎間板の変性や過度の負荷、遺伝的要因があります。重い物を持ち上げたり頻繁に重い運動を行うことがきっかけになることもあります。
シュモール結節は、交通事故後に圧迫骨折と誤診されることが多いです。特に胸椎では肋骨が重なりやすく、レントゲン検査で鑑別が難しいことがあります。
シュモール結節が交通事故を契機に発症した場合でも、後遺障害等級は最大14級9号となります。
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