交通事故で負ったケガが治らずに後遺症が残ったら、後遺障害の認定を申請できます。後遺障害の等級は1~14級まであり、後遺症の重さに応じて決まります。
ただし、後遺障害申請すれば、必ず希望の等級が認定されるわけではありません。認定されなかったり(非該当)、思ったより低い等級になるケースもあります。
認定結果に納得できなければ、異議申立てすることが可能です。本記事は、交通事故の異議申立ての方法や成功のコツを詳しく説明しています。
最終更新日: 2024/9/26
Table of Contents
交通事故の異議申立てとは
交通事故の異議申立ては3種類
交通事故の異議申立てには、以下の3種類があります。
- 自賠責保険への異議申立て
- 紛争処理機構への異議申立て
- 訴訟
自賠責保険への異議申立て
自賠責保険への異議申立ては、最初に行うべき方法です。自分の主張をまとめた異議申立書と、その根拠となる資料(新たな診断書や検査など)を添えて提出します。
これらの書類の提出先は、事前認定なら加害者の任意保険会社、被害者請求なら加害者の自賠責保険会社です。
異議申立ては何度でもできますが、基本的には最初の異議申立てが最も重要です。理由は、審査を担当する「損害保険料率算出機構」の仕組みにあります。
自賠責保険会社に請求があると、その書類は自賠責損害調査事務所に渡されて審査されます。
複雑なケースや高次脳機能障害は地区本部や本部で、異議申し立てや高次脳機能障害の一部は、最上位の審査会で慎重に審査されます。
異議申立てでは、いきなり最上位の部署が審査を行われるため、2度目以降の異議申立てで結果が変わる可能性は非常に低いのです。
紛争処理機構への調停(紛争処理)
紛争処理機構は、自動車損害賠償保障法により「指定紛争処理機関」とされており、自賠責保険に関するトラブルを解決します。2002年に設立された裁判外紛争処理機関(ADR)です。
紛争処理機構に申請すると、公正で中立な第三者が判断をしてくれるのが利点ですが、申請は一度きりしかできません。
また、紛争処理機構での審査には時間がかかり、通常は自賠責保険への異議申し立てよりも長く、場合によっては6か月以上かかることもあります。
このため、紛争処理機構へ申請する際には、後遺障害等級を確定する最後の手段なので、時間がかかることを理解する必要があります。
訴訟(裁判)
自賠責保険や紛争処理機構で満足のいく結果が得られなかった場合には、最終手段として裁判に頼る方法があります。
裁判では、自賠責保険で決まった後遺障害等級に縛られない判断が下されることもあるため、状況によっては有力な手段になります。
デメリットは、裁判は月に1回程度のペースで進み、解決までに1年以上かかるケースがあります。また、裁判を起こすには、訴える金額に応じた申立手数料が必要です
また、訴訟といえども、後遺障害等級の判断にあたっては、障害等級表 (労働者災害補償保険法施行規則別表. 第1)を重視します。
更に、訴訟では認定された等級や非該当の結果をベースに進むため、自賠責保険の判断がゼロベースになるわけではない点に注意が必要でしょう。
異議申立ての基本的な流れ
交通事故の異議申立ては、以下の手順で進めます。
- 異議申立て書や必要な書類を用意
- それらの書類を審査機関に提出
- 再審査が行われ、結果が通知される
どのような資料が必要か
交通事故の異議申立てに必要な資料は以下の通りです。
- 異議申立書(必須)
- 新しい証拠資料(任意)
新しい証拠資料とは、画像検査、診断書、検査結果、医師意見書、事故の状況に関する資料などがあります。
異議申立てでよくある誤解
交通事故の異議申立てでよくある誤解として「異議申立てが却下されたら裁判しかない」があります。
異議申立てには回数制限はありません。このため、異議申立てして結果が変わらなくても、諦める必要はないです。
ただし、漫然と異議申立てを繰り返しても意味はありません。有効な新しい証拠資料が無ければ、異議申立てが成功する確率はゼロだからです。
異議申立てを成功させるには、経験豊富な弁護士と有効な新しい証拠資料が必須だと考えるべきでしょう。
交通事故の異議申立てを成功させるポイント
後遺障害認定通知書の確認
自賠責保険に後遺障害申請や異議申立てを行うと、審査結果を記載した後遺障害認定通知書が送付されてきます。
後遺障害認定通知書は定型文が多く、また日本語としておかしな表現も散見されるため、一見すると重要ではなさそうに思えます。
しかし、後遺障害認定通知書に記載されている内容の精査は、異議申立てを成功させるために必須と言えます。
問題点は、定型文の裏に存在する自賠責保険の意図を正確に理解する知識と経験が、ほとんどの人に無い点です。
<参考>
【医師が解説】後遺障害認定通知書は異議申立て成功に重要|医療鑑定
診断書の内容・検査結果と不足した資料がないかを確認する
後遺障害認定通知書の確認の次に重要な点は、診断書や検査結果が後遺障害認定に必要な条件を満たしているのか、です。
文章にすると簡単に見えますが、必要な条件を満たしているのかを確認するためには、医療と後遺障害認定基準に関する深い知識が必要です。
実質的にこの条件をクリアできるのは、後遺障害認定基準を熟知した整形外科や脳神経外科の専門医だけです。
その理由は、医療の知識をクリアするには実臨床の経験が必須である一方、後遺障害認定基準の熟知は勉強すれば誰でもクリアできるからです。
<参考>
【医療鑑定】年間1000例の後遺障害相談|交通事故、労災、遺言能力
異議申立てには実質的な時効がある
異議申立ての期限は特に決まっていませんが、自賠責保険の請求や相手への損害賠償請求には時効があります。
損害賠償請求の時効は、症状固定から3年以内とされています。このため、実質的な異議申立ての時効は、症状固定から3年以内となります。
専門家への相談の重要性
ここまで説明してきたように、交通事故の異議申立てを成功させるためには、極めて高度な知識と経験が必要です。
優秀な弁護士への依頼は必須であるのはもちろんのこと、医療と後遺障害認定基準に精通した医師への相談は不可欠でしょう。
交通事故の異議申立てでお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
交通事故の異議申立てで弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故の異議申立てを成功させるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故の異議申立てでお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
まとめ
交通事故の異議申立てには、主に3つの方法があります。まず、自賠責保険に対して異議申立てを行い、結果に納得できない場合は紛争処理機構に申請します。最終手段として裁判を起こすことも可能です。
異議申立てには有効な新しい証拠資料が必要で、成功には専門家のサポートが不可欠です。また、損害賠償請求には症状固定から3年以内の時効があるため、早めの対応が求められます。
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