交通事故コラム詳細

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2023.3.5

精神

【医師が解説】交通事故加害者の心のケアはどうする?|交通事故

交通事故では被害者がクローズアップされがちですが、交通事故の加害者にも心のケアが必要なケースが多いです。
 

本記事は、交通事故加害者の心のケアが必要な理由を理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/4/20

 

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交通事故加害者にかかる3つのストレス

法的な責任

交通事故の加害者は、法的な責任を負わなければなりません。具体的には、民事責任、刑事責任、行政責任です。いずれも、交通事故被害者の生活を一変させる可能性があります。

 

 

金銭的な責任

多くの事案で保険会社が負担するものの、無保険のケースでは膨大な金額の損害賠償金が発生します。

 

 

被害者への謝罪

倫理的な観点で、交通事故の被害者への謝罪が必要です。謝罪しなかったり表面的な謝罪では、被害者の態度を硬化させて示談交渉が難航します。

 

道徳的に考えても被害者への謝罪は必須ですが、交通事故の加害者には相当なストレスになります。被害者への謝罪法は以下の3つのパターンが考えられます。

 

 

直接面会して謝罪

 

最も効果的ですが、交通事故加害者の心理的負担も大きいです。また、面会を拒否されることもあるため、事前に約束する必要があります。

 

 

謝罪文を郵便

 

被害者が入院している場合には面会できないことも多いです。その際には、謝罪文を郵送します。

 

謝罪文の草稿には充分な時間をかける必要があります。誤解を与える文面になったり、謝罪の気持ちが伝わらない可能性があるからです。

 

 

弁護士を通じて謝罪する

 

交通事故被害者が面会を拒否する場合には、弁護士を通じて謝罪することもできます。ただし、直接面会する場合と比較して、誠意が伝わりにくい欠点があります。

 

 

mental care

 

 

交通事故加害者の心理的後遺症

トラウマ

トラウマは心の傷(心的外傷)

 

トラウマとは、トラウマ体験で負った心の傷(心的外傷)です。トラウマは、単なるストレスではありません。トラウマ体験が、後の人生に大きな影響を及ぼしている状態です。

 

 

トラウマ体験

 

交通事故や暴力被害などの生命や存在に強い衝撃をもたらす出来事(外傷性ストレッサー)による体験を、トラウマ体験と呼びます。

 

 

外傷性ストレッサーの例

 

その人の生命、存在に強い衝撃をもたらす出来事として、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 自然災害:地震、火災、台風、洪水、津波、火山の噴火など
  • 社会不安:テロ事件、暴動、戦争など
  • 生命の危機に関わる体験:交通事故、暴力、犯罪、性的被害など
  • 喪失体験:家族や友人の死、大切な物の喪失など

 

 

トラウマ反応

 

トラウマ体験のために発生した精神的な変調を、トラウマ反応と呼びます。トラウマ反応は、一過性で軽い症状の人が大半です。

 

また、受け止め方には個人差があるため、同じ外傷性ストレッサーに遭っても、全ての人にトラウマ反応が起きるわけではありません。

 

しかし、一部の人は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる精神的後遺障害を発症します。

 

 

トラウマ反応の症状

 

トラウマ体験によって、いろいろなトラウマ反応が生じます。トラウマ反応では、以下のような心理的反応が発生します。

 

  • 感情や思考の変化
  • 身体の変化
  • 行動の変化

 

 

PTSD

 

 

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

PTSDの概要

 

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder: 心的外傷後ストレス障害)とは、命の危険を感じる状況に遭遇した後に、自分の意志とは関係なく、その場面を思い出したり悪夢を見ることが続く状態です。

 

恐怖体験のフラッシュバックや悪夢が続くことによって不安や緊張が高まり、その辛さのために現実感が無くなるケースも多いです。

 

 

PTSDの症状

自分の意志とは関係なく辛い記憶を思い出す

交通事故から時間が経過して普通に日常生活を送っていても、突如として交通事故の恐怖体験を思い出します。一度だけではなく何度も繰り返すケースが多いです。

 

その際には、恐怖だけでなく、苦痛、怒り、哀しみ、無力感といった感情と共に、もう一度交通事故に遭ったかのように生々しく思い出すことさえあります。

 

 

常に精神的に緊張している

交通事故の記憶を思い出していない時でも、常に気が張りつめているためイライラしています。

 

小さなことにも驚きやすくなり、極端に警戒心が強くなります。また、不眠などの症状を訴えるケースが多いです。

 

 

無意識のうちに思い出す状況を避ける

何度も交通事故を思い出すうちに、そうした記憶がよみがえるきっかけを避けるようになります。記憶がよみがえるきっかけは、本人が意識していない場合もあります。

 

無意識のうちに交通事故の記憶を思い出す状況を避けるようになるため、日常生活が制限されてしまい社会生活を送れなくなるケースも少なくありません。

 

 

感覚が麻痺する

交通事故の記憶で苦しむことを避けるために、感情や感覚が麻痺してしまうこともあります。

 

身近な人に対しても、受傷前のような愛情や優しさなどの感情を抱けなくなったり、心を許すこともできなくなるケースが多いです。

 

 

辛い症状が続いて治らない

 

これまで挙げたような症状がいつまでも続いたり、むしろ悪化する傾向さえあります。

 

 

PTSD

 

 

交通事故加害者への心のケア

医師による適切な治療が必要

交通事故加害者は、いろいろな意味で辛い立場に追いやられます。PTSDの発症が疑われる際には、精神科や心療内科医師による治療が必要です。

 

 

交通事故加害者家族の治療が必要なケースも

交通事故の加害者家族に対する嫌がらせが発生する可能性があります。もし、誹謗や中傷などで精神障害を負った場合には、精神科や心療内科医師による診察が必要でしょう。

 

 

<参考>
【医師が解説】PTSDの後遺症が等級認定されるポイント|交通事故

 

 

 

nikkei medical

 

 

まとめ

 

交通事故加害者には、法的な責任、金銭的な責任、被害者への謝罪の3つのストレスがかかります。

 

交通事故加害者の心理的後遺症として、トラウマ(心的外傷)とPTSD(心的外傷後ストレス障害)が挙げられます。

 

交通事故加害者への心のケアでは、精神科や心療内科医師による適切な治療が必要でしょう。

 

交通事故でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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