医療訴訟では既存障害の評価が難しい

投稿日:2021年4月24日 更新日:

日本整形外科学会では、学会員に対して毎月ニュースが届きます。その中に医事紛争に関する連載記事があります。2021/4/15号は、手術中に併発した神経損傷がどのように評価されるのか? についての記事でした。

 

状況は下記のごとくです。

  • 両側の変形性股関節症に対して、左側の人工股関節全置換術(THA)を施行した
  • 術中に坐骨神経を一部切断したために、左足関節機能障害を残した
  • 原告(患者さん)は、身体障害者障害程度等級表での等級(2級)を主張
  • 被告(医療機関)は、自動車損害賠償保障法施行令別表第2の等級(4級)を主張

 

判決は、①後遺障害等級は自動車損害賠償保障法の後遺障害認定基準に則って等級でなされる ②既存障害との差額が補償される金額となる といったものでした。

 

①後遺障害等級は自動車損害賠償保障法の後遺障害認定基準に則って等級でなされるは当然ですが、②既存障害との差額が補償される金額となるに関しては、私の中では盲点でした。

 

たしかに言われてみれば、もともと股関節機能障害が高度だったので手術を施行しました。全く正常の状態で手術をしたわけではないので、術後合併症のために股関節機能障害が残存したとしても、現時点での等級がそのまま補償金額になるわけではないので素因減額は必至です。

 

そして、実際の問題点としては、既存障害程度は正確に評価されていない事案がほとんどであることです。医師は手術によって障害が発生することを前提に診療録を記載しているわけではないので、事後的に既存障害を評価することが難しいのです。

 

このあたりの既存障害の評価は、各領域の臨床医でなければ困難です。もしお困りの類似事案があれば、弊社まで気軽にご相談ください。

 

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