腰椎椎間板ヘルニア

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整形外科医が日常の臨床でしばしば治療を行い、一般的にもよく知られている疾患の1つとして、腰椎椎間板ヘルニアがあります。

 

好発年齢は20〜40歳代で、男女比は2〜3:1と男性に多く、最近ではタイプⅨ、Ⅺコラーゲンの遺伝子多型性の関与など遺伝的背景があることが分かっています。また喫煙との関係も指摘されており、1日10本のタバコで約20%ヘルニアのリスクが上がるとの報告もあります。

 

好発部位はL4/5、L5/S1ですが、年齢とともに高位腰椎すなわちL2/3、3/4での発症も増えてきます。

 

症状は突然生じる腰痛と続いて起こる下肢痛が特徴的です。脊柱管狭窄症の症状とは少し違って、座っている状態や臥位でも痛いことが多いです。SLRテストが有用ですが、高齢の方のヘルニアでは必ずしも陽性にはなりません。またヘルニアの高位の神経支配領域に異常を認めます。例えばL5/S1のヘルニアであれば、アキレス腱反射が減弱し、母趾の屈曲筋力が低下、ひどい人では爪先立ちが困難になったりします。

 

脱出したヘルニアは2~3ヶ月で自然に退縮し吸収されることはよく知られています。つまりこの時期を薬物治療やブロックで乗り切れば治ることが多いため、“良性の疾患”とも言えるかもしれません。ただしこの時期を過ぎて症状が続く場合は、長期化する可能性も高く、手術を考える1つの目安の時期でもあります。

 

画像上自然退縮しやすいヘルニアにはいくつかの特徴があります。ヘルニアのサイズが大きく、靭帯を破り硬膜外まで突出している遊離脱出タイプです。ただし遊離脱出タイプかどうかはMRIでは鑑別つかないことも多いです。また造影MRIでヘルニアの周辺がring上に造影されるタイプも自然退縮が多いと言われています。

 

事故後に撮影したMRIでヘルニアがみつかり、事故との因果関係を相談され、意見書を求められることが多くあります。事故でヘルニアが発症したとの報告も散見しますが、ほとんどが2000年以前の古い報告です。私が知る限りでは外傷とヘルニア発症の因果関係について述べたエビデンスレベルの高い論文はありません。事故前に撮影したMRIがあって、事故後に明らかにヘルニアが突出していれば当然因果関係は証明できますが、そのような人は皆無です。逆にもともとヘルニアがなかったということも証明は不可能です。実際のところは、無症候性のヘルニアが外傷によって症候性になったと推測されるため、そういった主旨の意見書を作成していくことになります。

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